【台湾:婚姻平權を追う】2017年第一弾!台湾東部の LGBTパレード「花東彩虹嘉年華」が9月に開催。

2016花蓮彩虹嘉年華で先頭を行くレインボーフラッグ

台湾の婚姻平權(婚姻平等の権利)を巡る動きをご紹介する【台湾:婚姻平權を追う】。同性婚の合法化が確定してから約3ヶ月。台湾はいよいよ9月よりLGBTプライドシーズンに突入します!2017年の一番手を飾るのは台湾東部の街・花蓮と台東にて開催される「花東彩虹嘉年華」。台北で開催されている「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」は世界的に有名ですが、同じく台湾で開催されている「花東彩虹嘉年華」は一体、どのようなイベントなのでしょうか?

台湾東部・花蓮&台東ってどんなところ?

台湾・花蓮の「太魯閣國家公園(タロコ)」

台湾・花蓮「太魯閣國家公園(タロコ)」の風景(撮影:Kazuki Mae)

「花東彩虹嘉年華」の「花東」とは、台湾東部地域に位置する花蓮県と台東県を合わせた呼び方。台北・台中・台南・高雄など主要都市が西部に集中している台湾にあって、外国人にとってはまだまだ馴染みのない名前であるかもしれませんが、美しい自然資源が残る風光明媚な地域として、台湾では広く認知されています。

世界遺産に匹敵するとも言われている「太魯閣國家公園(タロコ)」は、世界各地から多くの観光客が訪れる花蓮で最も有名な場所。猛々しい岩壁が間近にそびえるダイナミックな風景は、一度見ると決して忘れることのできない大スケールで、訪れる人を魅了し続けています。

また、2006年に公開された同性愛がテーマの台湾映画「盛夏光年(邦題:花蓮の夏)」の舞台としても知られている花蓮。主役を演じた台湾の有名俳優・張孝全(ジョセフ・チャン)と張睿家(ブライアン・チャン)はこの映画への出演で一躍話題となり、「同志天菜(ゲイに大人気のイケメン)」の地位へと一気に上りつめました。

台湾・台東「關山自行車道」

台湾・台東の水田地帯に伸びる檳榔の木(撮影:Kazuki Mae)

花蓮の南に位置する台東は、台湾の原風景が今なお残る貴重な地域。険しい山々の合間をなぞるように南北へと細長く延びる平野は「池上米」に代表される台湾の良質な穀倉地帯として、重要な役割を果たしています。

台湾東部地域は、阿美族や排灣族、魯凱族など、今も多くの「台湾原住民族」が暮らす場所としても知られており、それぞれの部族が独自の文化を発展させてきた土地でもあります。ゲイアイコンとして大人気の歌姫・張惠妹(Amei)や、圧倒的な歌唱力で実力派アーティストとしての道を邁進中のA-Linなど、台湾の有名アーティストには原住民族出身の方が多く、東部出身歌手の音楽シーンでの活躍には目を見張るものがあります。

台東では史上初開催!2017年LGBTプライドのテーマは?

2016花蓮彩虹嘉年華で先頭を行くレインボーフラッグ

2016年「花蓮彩虹嘉年華」で先頭を行くレインボーフラッグ(撮影:Kazuki Mae)

2016年までは「花蓮彩虹嘉年華」として、花蓮で6年連続で執り行われてきたLGBTプライド。2017年はイベント開催の範囲が台東まで拡大されることとなり、「花東彩虹嘉年華」として、初めて2都市での共同開催が実現することになります。台東でLGBTプライドが催されるのは今回が史上初ということで、どのようなイベントになるのかという点にも注目が集まっています。

2017年のテーマは「其實,我也是」。「実は、僕(私)もです」というこの言葉には、「台湾東部にもLGBTは存在しているのだ」という事実を、より多くの方に認知してもらいたいという想いが込められています。

今年的主題:「其實,我也是(Me too)」

每個人內心都有著不同的煩惱,說不出口,而「性別」(認同、氣質、性傾向)也是一樣,這句話(中略)正好也是一個起頭語,開我們之間的連結。(中略)

「花東彩虹嘉年華」作為整合東部性別資源的平台,更希望納入更多更廣的性別族群,無論你是同志、酷兒、性少數族群,或是進行被排拒於主流之外的性實踐,都也有被公平看待、自由現身的機會。

在這個巨大的共同體裡,也許我們永遠不會遇到每一個人,但我們都真實存在。我們上街遊行,捍衛的是彼此的權益。

出典:在後山做運動-RED TURTLE-讓好事不斷發生

今年のテーマは「其實,我也是(Me too)」です。

誰の心の中にもそれぞれ悩みはあるはずですが、それを口に出すことはなかなかできないものです。「性別」(認識、気質、性の傾向)についてもそれは同じで、このフレーズは「きっかけ」として、私たちの関係をつなぐものであります。

「花東彩虹嘉年華」は、東部のセクリャリティ関連資源を統合したプラットフォームとして機能することを目標に、より多様で幅広いコミュニティからの参入を期待しています。LGBT、クィア、性的マイノリティー、あるいは特別なセクシャリティとして社会から拒絶感を感じてしまっている方々。誰もが公平な扱いを受け、自由に姿を現わすチャンスを持ち合わせています。

この巨大な共同体(社会)の中にあって、私たちはすべての人たちに出会うことは永遠にできないかもしれません。しかし、私たちが存在していることは、疑いようのない真実です。パレードを歩くことによって守るのは、一人一人の権益に他ならないのです。

訳:Kazuki Mae

発展や討論の進む西部地域と比較すると、東部地域ではLGBT理解を促進するために超えるべきハードルがまだまだ数多く存在している現実があります。また、台湾の中でもキリスト教信仰が特に浸透している地域という事情もあり、宗教的要因がセクシャリティをオープンにしにくい要因の一つになっているという議論もみられます。

そのような環境にある中でLGBTプライドを6年間続けてこられたのは、まさに主催者や支持者たちの並々ならぬ努力の賜物。「実は、僕(私)もです」の一言をきっかけにさらなる理解が得られることを願いながら、同性婚の合法化が決まった2017年のパレードも、決して揺らぐことのない確固たる信念のもとに執り行われることになりそうです。

2016年「花蓮彩虹嘉年華」の様子は?

2016花蓮彩虹嘉年華のパレード

2016花蓮彩虹嘉年華のパレード隊列(撮影:Kazuki Mae)

昨年2016年に行われた「花蓮彩虹嘉年華」は、花蓮にある国立東華大學の学生たちが主体となって開催されたLGBTプライド。規模こそ西部各都市で行なわれているパレードには及ばないものの、「何のためにLGBTプライドを歩くのか」という、パレードの本質について改めて考えさせられる非常に意義深いイベントとなりました。

台湾・花蓮のレインボーフラッグを掲げるカフェ

2016花蓮彩虹嘉年華開催期間に合わせてカフェに掲げられたレインボーフラッグ(撮影:Kazuki Mae)

主なスポンサーとなっているのは、地元の商店やレストラン、カフェ、ゲストハウスなど。イベント期間中には各店舗にレインボーフラッグが掲げられ、街のあちこちで支援者の姿を目にすることができました。

パレードのルートも花蓮中心部のスポンサーたちを巡るように設定。レインボーフラッグを掲げるお店の前に差し掛かるたびに、支持者からは応援のメッセージが投げかけられ、参加者全員で感謝の言葉を伝えながら約2時間の道のりを歩いていきました。

2016花蓮彩虹嘉年華の主催者たち

2016花蓮彩虹嘉年華のステージでスピーチをする主催の学生たち(撮影:Kazuki Mae)

パレード終了後には、ステージ上で花蓮に拠点に活動されているアーティストのパフォーマンスも。同性婚を支持する地元出身の政治家の方も駆けつけるなど、一人一人の真摯な思いが溢れわたる中で無事に幕を下ろしました。7回目となる今年の花蓮のパレードではどのような感動が待っているのか、また初開催となる台東ではどのようなイベントに発展するのか、注目が集まっています。

史上初の試みに注目!「花東彩虹嘉年華」は9/23(土)、9/24(日)に開催。

台湾東部2都市で2日続けての開催となる「花東彩虹嘉年華」。花蓮では9月23日(土)、台東では9/24(日)にパレードが予定されています。期間中に台湾へお越しの計画がある方は、東部の大自然に触れる旅行と合わせて参加を検討されてみてはいかがでしょうか。集合場所や時間等はFacebook公式ページにて発表になりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

花東彩虹嘉年華
Facebook:https://www.facebook.com/hlLGBT/

そして、「花東彩虹嘉年華」に続く2017年LGBTプライドシーズンの第2弾は、台北開催のアジア最大級LGBTプライド「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」!パレードは10月28日(土)開催と発表されていますので、参加を予定されている方は旅のプランチェックをお忘れなく!

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ABOUTこの記事をかいた人

1987年香川県生まれ。旅で訪れた台湾に恋して、2012年に来台。2013年には念願の海外社会人デビューを果たし、現在台北にて広告関連のデザイナーとして奔走中。台湾でのLGBTな日々をつづるブログ『にじいろ台湾』を書いています。