【台湾:婚姻平權を追う】アジア最大のパレードがまもなく!「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」10月28日(土)に登場!

2016台灣同志遊行に登場したパレードカー(撮影:Kazuki Mae)

台湾の婚姻平權(婚姻平等の権利)を巡る動きをご紹介する【台湾:婚姻平權を追う】。台湾に暮らす人のみならず、世界が注目するLGBTプライド「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」がいよいよ10月28日(土)に台北で開催されます。アジア最大規模を誇るパレードとして知られている本イベントですが、今年2017年はさらなる参加者の増加が見込まれており、新たな試みも盛り込まれることが発表されています。

台北ってどんな街?

台北の人気観光スポット・迪化街(撮影:Kazuki Mae)

台北の人気観光スポット・迪化街(撮影:Kazuki Mae)

毎年10月最終土曜日にLGBTプライドが開催されている台北は、台湾の首都。街のシンボル・台北101ビルに代表される「信義區」のような目覚ましい発展を遂げる地区を有する一方で、「迪化街」や「龍山寺」など昔ながらの建物や文化が今も色濃く残る歴史的な地区も。現代と過去が融合されたノスタルジックな街並みが、訪れる人々を魅了し続けています。

台北・北投温泉街にある観光スポット「地熱谷」(撮影:Kazuki Mae)

台北・北投温泉街にある観光スポット「地熱谷」(撮影:Kazuki Mae)

一方で、四方を山に囲まれた豊富な自然資源を生かした様々なエリアへも容易にアクセスが可能。温度差の激しい山の気候を利用したお茶の産地として名高い「貓空」や、陽明山より湧き出る良質な温泉を楽しめる温泉街「北投温泉」などは、観光客も多く訪れるスポットとして人気を博しています。さらにMRT(地下鉄)の終点ともなっている「淡水」まで足を運べば、河と海が合流である港町から水平線に沈む美しい夕日を望むこともでき、台北指折りのロマンチックエリアとして市民に愛されています。

台北駅最寄りの人気夜市・寧夏夜市(撮影:Kazuki Mae)

台北駅最寄りの人気夜市・寧夏夜市(撮影:Kazuki Mae)

また、台湾のもう一つの顔と言えば「美食の国」。首都である台北には、小籠包やマンゴーかき氷の名店が立ち並ぶ有名グルメストリート「永康街」を筆頭に、「士林夜市」や「饒河夜市」などローカルフードの屋台がずらりと並ぶ「夜市」が街中に点在。日が昇り始める時間になると「朝ごはん」のお店から蒸籠を蒸す水蒸気が漂い始め、台湾に暮らす人々の毎日の元気を支えています。アジアでも最高レベルに発達している「食」を台湾旅行の楽しみの一つに挙げる方も少なくありません。

LCC(ローコスト・キャリア)の日本各地からの直行便就航によって、経済的、時間的にますますアクセスしやすくなっている台北。気軽に訪れることのできる海外として、旅の目的地人気No.1の地位にもたびたび輝いており、日本ー台湾間の交流はますます緊密なものになりつつあります。

史上最大規模が予測される2017年LGBTプライドのテーマは?

2017年5月には「同性同士の婚姻を認めない現行の法制度は違憲」との見解が発表され、2019年5月末までに同性婚を合法化することが決定。まもなくアジアで初めて「同性婚を認めた国」への仲間入りを果たすことになり、新しい婚姻制度がどのタイミングで施行されるかに注目が集まっています。

そんな記念すべき2017年のテーマは「澀澀性平打開開,多元教慾跟上來 Make Love, Not War―Sex Ed is the Way to Go」。台湾で現在活発に討論がなされている「性別平等教育」にスポットを当てた内容となっています。

「性別平等教育」是指:透過教育認識並尊重各種生理性別、性傾向、性別認同、性別氣質,以及LGBTIQA──性多樣社群的文化差異,藉此消除因歧視而產生的暴力與霸凌,促進性別地位的實質平等。(中略)但(性別平等教育法)施行14個年頭後,不論是性別平等教育,或政府的政策、調、補助的研究等,仍多以「異性戀」、「兩性」為主。(中略)

台灣自詡為「民主」多元的社會,那麼教育的目的和內容,應是培養能獨立思考的人民,在面對日益複雜的社會帶來的挑戰時,學會如何替自己作主;讓不同生命經驗的個體,能在相互尊重、不被差別對待的前提下,進行價的衝突與對話,並反省自我,才能促進社會的進步。

出典:台灣同志遊行公式ホームページ

「性別平等教育」とは、教育を通して身体的な性、性的傾向、性別認識、性別気質、LGBTIQA(多様な性のコミュニティ)の文化的な差異などについて理解を深め尊重すること、またこれにより、差別によって生まれる暴力やいじめをなくし、真の意味での性の平等を促すものです。しかし「性別平等教育法」の施行開始より14年が経った現在においても、教育、政策、調査、またその補助的な研究などにおいては、依然として「異性愛」、「両性」をテーマとしたものに大多数を占められている状態にあります。

台湾は多様な「民主」社会であると主張するのであれば、教育の目的およびその内容は、自ら考えることのできる人民を養成するものであるべきです。日増しに複雑さを増す社会から挑戦を迫られた時、自分の信念のままに行動できる術を身につけるためにあるべきです。それぞれが異なった背景を持つ個人が、互いを尊重し、差別を受けることがないという前提のもとで、価値観の衝突と対話を行い、自らを反省することの繰り返しによって、社会はようやく進歩できるものであると、私たちは信じています。

訳:Kazuki Mae

同性婚の合法化が決定されたタイミングで「教育」をテーマに押し出した背景には、これから台湾が迎えるであろう新しい社会に向けて、大人たちの意識はもちろんのこと、未来を作っていくことになる子供たちに正しい知識と概念を身につけて欲しいという願いを垣間見ることができます。法制度の整備と国民レベルでの理解を同時に進めていくことこそが、理想的な社会基盤を作る上で必要不可欠であることを、パレードを通じて訴えかけていくことになります。

どのパレードを歩く?今年のルートは3路線!

地図出典:台灣同志遊行公式ホームページ

2017年の台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)は同性婚合法化決定のニュースを受け、昨年を上回る参加者数の大幅な増加が見込まれています。昨年まではパレード路線を2つ設定することでアジア最大規模と言われる参加者数に対応してきましたが、今年はさらにバージョンアップ。新たに1路線が追加され、「北路線」、「南路線」、「西路線」の計3路線でのパレード開催が発表されています。

「北路線」は今回のテーマの主軸となる国の教育制度を司る「教育部」や、新法成立に携わる「立法院」など台湾の公的機関が集まるエリア、「南路線」は「中正紀念堂」や「永康街周辺」など観光客の多く訪れるエリア、そして初の試みとなる「西路線」はゲイタウンとして知られる「西門町」や、かつての出会いの場として有名な「二二八公園」などLGBTゆかりのエリア。「北」=「政治」、「南」=「世界」、「西」=「LGBTコミュニティ」とルートごとに訴求対象を変えられる点からも、3路線になることのメリットは大きいと言えそうです。

2016年「台灣同志遊行」の様子をおさらい。

2016台灣同志遊行のテーマ「一起FUN出來-打破假友善 你我撐自在」(撮影:Kazuki Mae)

2016台灣同志遊行のテーマ「一起FUN出來-打破假友善 你我撐自在」(撮影:Kazuki Mae)

昨年2016年のLGBTプライドは「偽りのフレンドリーに立ち向かおう!」というテーマのもと、8万人以上が總統府前の凱達格蘭大道に集結。この日のために海外から台北へと駆けつけた参加者の姿も数多く見られ、活気に満ち溢れたイベントとなりました。

2016台灣同志遊行の会場へと向かう参加者たち(撮影:Kazuki Mae)

2016台灣同志遊行の会場へと向かう参加者たち(撮影:Kazuki Mae)

2016台灣同志遊行に登場したパレードカー(撮影:Kazuki Mae)

2016台灣同志遊行に登場したパレードカー(撮影:Kazuki Mae)

ド派手な演出や華やかなコスチュームは2016年も健在。誰もが自由に出入り可能なため、参加者と通行人の境界も次第に消失。街が一体となっていくオープンな雰囲気は台北のパレードならではの特徴です。

台灣同志遊行2016

2016台灣同志遊行で巨大レインボーフラッグを掲げるグループ(撮影:Kazuki Mae)

2016台灣同志遊行で傘を指しながら歩く参加者たち(撮影:Kazuki Mae)

2016台灣同志遊行で傘を指しながら歩く参加者たち(撮影:Kazuki Mae)

あいにくのお天気ため途中雨脚の強まる場面もありましたが、それでもパレード隊列は火力全開。人並みは依然として途切れることなく、参加者一丸となってLGBTの権利向上を訴えて街中を練り歩きました。同性婚合法化決定のニュースに湧く2017年は一体どれほどの規模に拡大するのか、イベントのさらなる成長に期待が寄せられています。

アジア最大規模のLGBTプライドはまもなく!10月28日(土)は台北へ集合!

参加者数の記録更新が確実視されている今年のパレードを歩く計画をされているみなさん、ご準備は万端ですか?台湾最大かつアジア最大級のLGBTプライド「台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)」はまもなく、今月最終土曜日の10月28日開催です!秋は台北で、アジア史に残る貴重な瞬間をぜひ体験してみては?

台灣同志遊行(台湾LGBTプライド)
開催日時:2017年10月28日(土)
Web:http://www.twpride.org/
Facebook:https://www.facebook.com/Taiwan.LGBT.Pride/

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2016台灣同志遊行に登場したパレードカー(撮影:Kazuki Mae)

ABOUTこの記事をかいた人

1987年香川県生まれ。旅で訪れた台湾に恋して、2012年に来台。2013年には念願の海外社会人デビューを果たし、現在台北にて広告関連のデザイナーとして奔走中。台湾でのLGBTな日々をつづるブログ『にじいろ台湾』を書いています。