同性ウェディングを経験したカップル「やってよかった」

lgbt couple who had experienced same-sex wedding

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(撮影:CandyPRIDE 魚住光さん)

「やってよかった」

Letibee のウェディングページでよく見るウェディングドレス姿のお二人。彼女たちは、2013年11月、Letibeeのサポートのもと結婚式を挙げた、山瀬さん・まおさんカップルである。その式は朝日新聞にも掲載された。去年の11月24日のWEDDING MEETUPではゲストとしてお二人をお招きし、一般募集で集まった方たちと共にお話をしていただいた。今回はそのイベントでの話を一部お伝えしたい。

「結婚式」を考え始めるまで

代表林(以下「林」):ではまず、お二人がどこで出会ったのかを、教えてください。

山瀬さん(以下「山」):私たちは、ピアフレンズという、女の子が好きな女の子が集まって、ゲームしたりお茶したりして仲良くなろうっていう会で出会いました。そのあと、私のほうから猛アタックしてつきあうことになった次第です。
まおさん(以下「ま」):今は付き合ってから2年半くらい経ったかな。あの時は私が23歳で山瀬が19歳の時だったよね。
山:この人は逃しちゃいけないと思いました。二回目に会った時、その日の終わりに入ったカフェで「つきあってください」って言いながらさっと手紙を渡しました(照)。

林:付き合っていた時に、結婚式とか結婚について、どんな風に考えていましたか?

山:いつかしたいねーって話はわりと初めのころから話してたかな。けど、具体的なプランみたいなのはなかった。どうしたらいいのかわからなかったし。式まではいかなくてもフォトウェディングとかをやっている人はいるから、私たちも写真撮ったりはできるのか、とか。どっちがドレス着るんだろう、それともどっちも着るのかなとか。
ま:しっかり調べたって感じではなく、普通のウェディング写真を見たりはしたけど、同性だからどうとかは考えてなかった。資料をもらったりはしたけど、できたらいいかなくらい。

林:そういった姿勢だったのに、なぜ実際に挙式されたんでしょうか。

ま:外山君(Letibee 代表 外山雄太)と会って、結婚式を挙げる同性カップルを探しているって聞いたとき、「あ、ここにいるー」って思って(笑)。そこから、現実的なものとして考えてみていいのかなと思った。

挙式の様子、周囲の反応

林:結婚式を挙げるまでで、同性カップルだからこそ大変だったことはありましたか?

山:式場から同性だからと断られたときは、「あ、やっぱりそういうことがあるんだ」って少し落ち込んだ。あとは、招待状。LGBT の人の知り合いってニックネームでつながってるから、その呼び名でしかその人を知らないってことがよくあるんですよね。本名も、住所も知らなくて、式挙げますってことをどうやって伝えようかと。アウティング(許可無くセクシュアリティを他の人に暴露してしまうこと)のこともあって、「式に出るのはいいんだけど、実名が出ることにならないか心配」って人もいた。

林:挙式当日の様子はどうだったんですか?

山:当日はすっごいバタバタしてた。朝からお着替えと、メイクと。インターバルでビンゴとかの余興を楽しんでもらってる間にお色直しをして、結婚パーティ。そのあとにアフターパーティ。
ま:式中はごはん食べられなかったね。インターバルの時にお式で出たケーキを急いで掻き込んでた。
山:どのカップルの式でもそうだと思う。
ま:私たちは座っていればよかったんだけど、終わったあとに疲れがどっと来た。
山:終わったあとに鎌倉旅行を入れていて。式が終わって「今から行きまーす」ってなったんだけど、その翌日に結婚指輪落としたりとか、大変だったね!(笑)

林:式を挙げたあと、どうでしたか?

山:それまでは、パートナーがいるって伝えても「まあこれから色んな恋愛をしていくだろうから……」みたいに言われることもあったけど、変わった。これからもこの人達は、長くパートナーシップを作っていくだろうって思われるようになったんじゃないかな。
ま:「おめでとう」よりも「ありがとう」って言われて、LGBT じゃなくても、きっと私の周りの人にとっても、やってよかったんだって思った。その日のことは大事な体験になるんだろうなって。
山:示そうって思わなくてもいいんだけど、私たちは安定してるよってことを知ってほしかったから、そのツールとして、結婚式して本当によかった。

林:みんなの反応は、どうでしたか?

山:LGBT のコミュニティで知り合った人たちもアライの人(LGBT当事者ではないが、LGBT を応援するストレートの人)も喜んでくれていた。自分たちの結婚式なのに、他の人たちにとっても大切なものになってくれたことは嬉しかった。
ま:「自分が挙げるならこんな式にしたい」って言ってくれた人もいた。実際目の前でやってるのを見て、「自分もできるんだ」って。

会場よりQ&A

Q、Letibee がいて良かったことは?

山:式を挙げるうえで関わる人たちのなかには、現状ではLGBT の知識がなかったり、偏見がある人もいたりして。そのハードルを取り除いてくれたのがLetibee。すごく繊細に気を遣ってくれた。あと、こちらの意見も汲み取ってくれて。「これが困るんです」ってところから自分たちで説明するのはすごく手間がかかるんですよね。それをLetibee が代わりに、事前にやってくれるっていうのはすごく楽だなって。

Q:なんでそもそも結婚式を挙げたかったのですか?

山:この人とはこれからも連れ添っていきたいって想いがあって。単純にウェディングドレス着たら絶対かわいいだろっていうのもあったけど(笑)、この人が連れ添っていくパートナーですっていうのを写真でもなんでもいいから形にしたいねってなって、最初はフォトブライダルを考えていました。
ま:長く一緒にいることを考えて、記念とか区切りが欲しかった。ヘテロセクシュアル(異性愛者)の人は籍を入れるっていう形があるけど、自分たちにはない。だったら結婚式だけでも挙げようかと。

Q:挙式を具体的なものにしていくなかでのトラブルは?

山:会場の使用を断られたって聞いたときは「あー」ってなったね。あとは、どういう風にプライバシーを守っていくかっていうシステムがなかったから、どうしたら安心してお式に来てもらえるかについて皆で考えました。
ま:式は準備がすごく必要。ドレス決めて、引き出し物決めて、お金はこれしかなくて。そこについては二人でいっぱい話した。

Q:マリッジブルーとかなかったんですか?

山:なかったね~。
ま:うん、特になかった。
山:そういうのは遠慮なくいろいろ話して解消してたから、困ったことはなかったかな。

Q:メディアへの露出が多かったですけど、どう踏ん切りがついたんでしょうか?リスクは気にしなかったんですか?

ま:Letibeeに色々とお世話になるかわりに、いろんなところで顔出すことが前提の話だったから、そこまで。隠れている必要もないのでは?とも思ったし。
山:顔出すのはそれなりに意味があることだなと判断して、割と軽いノリで。仕事に響くとかは考えなかった。ただ、私たちはこうして結婚式を挙げたってだけなので。

Q:準備期間は?

山:9か月くらいかな。

Q:式の内容でお互い譲れないところはあった?

山:これこれこういう理由でこうしたいんですけど、どうですか?と伝えるようにお互いに気を付けていたから、譲れないことは特になかった。
ま:疲れたーって帰り道に泣いたとかはあったけどね。

Q:友人に対しカミングアウトしていましたか?

山:全員が知ってる。大学の友人にも皆にカミングアウトしてました。中高の友達に連絡して普通に話してから、「そういえば言ってなかったー!」ってなったり。

Q:ご両親の反応は?

山:その時にカミングアウトできていたのは父と姉だけだったんです。結局姉が来てくれました。
ま:私の場合、カミングアウトしているのは母にだけ。理解しようとはしてくれているけど、まだ葛藤があるのかも。
山:けど、式が終わったあと、改めて母のところに行ったら「今度ごはん行く?」ってな った。家族に関してはタイミングがあまりよくなかった気がします。まだ二人で暮らしてないから受 け入れにくいことがあるのかもしれない。いつかもう一度、家族も呼んで結婚式ができたらいいですね。

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