LGBT映画の祭典、私たちの映画祭「レインボー・リール東京」開幕!

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2016年7月9日(土)、いよいよ「レインボー・リール東京」が開幕しました!

え?
「レインボー・リール東京」なんて聞いたことがない?

そうですね、実は今年から名称が変わったのです。
「レインボー・リール東京」は2015年までは「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」という名称で25年間も続いている映画祭です。

そう言うとお分かりになりますよね?

今年の映画祭の全ラインナップはこちらの記事をご参照ください。
【映画祭】セクシャルマイノリティ映画の祭典が、今年も東京で開催!〜第25回レインボー・リール東京の魅力

2016年のレインボー・リール東京は、シネマート新宿とスパイラルホールの2会場で、10日間にわたり全13プログラムが上映されます。

 第25回レインボー・リール東京
会場:シネマート新宿スパイラルホール
会期:シネマート新宿 ※連日19時より1プログラム上映
2016年7月9日(土)〜7月15日(金)
スパイラルホール
2016年7月15日(金)〜7月18日(月・祝)
主催:NPO法人 レインボー・リール東京

 

7月15日からの連休を使ったスパイラルホールは、協賛企業のブースが並んだり、今年はOUT IN JAPANの展示が企画されているなど、まさに映画祭! という華やかな雰囲気が楽しめます。
7月9日からはスパイラルホールに先行して、シネマート新宿で毎晩19時から1プログラムずつ連日上映されています。スパイラルホールのような華やかさはないのですが、シネマート新宿は、定員333席の中劇場で、湾曲したスクリーン、音質、緩い傾斜の客席、座りやすいシートなど、映画を見るにはまさにベストの環境です。さらに、映画館ですから飲食物も持ち込みもできるのも嬉しいところ。

広報担当の方に直撃! 映画祭のあれこれ聞いちゃいました

今年の「レインボー・リール東京」の見どころなど、レインボー・リール東京運営委員会広報ご担当の方にお伺いします。

A.映画祭も今年で25周年となるわけですが、なぜ名称を変えられたのでしょうか?

Q.1992年の開始以来、「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」として多くの方々に親しまれてきましたが、実は2001年(第10回)頃から、
『多様なセクシュアリティをテーマとしているのに”ゲイ”、”レズビアン”と同性愛に限定してしまうのはどうなのか』
という議論が始まりました。
それからずっと議題には上がるものの、開催日程を変えるだけでも来客数が大きく変化してしまうため、リスクを考え名称を変えるまでには至りませんでした。
ただ、ここ数年のLGBTを取り巻く環境も大きく変化し、ダイバーシティという言葉も根付き始め、また、永続的に活動を続けていきたい、という思いもあり、NPO法人「レインボー・リール東京」として次のステージに進むことになりました。
名称の由来は、「レインボー」=多様な性、「リール」=映画のフィルムです。

A.今年の上映作品の傾向は?

Q.例年以上に、ジャンルも制作国もバラエティに富んでおり、プログラミング担当が「今までで最高のラインナップ!」と自信を持って推すほど名作ぞろいです。
中でも注目の作品を何本かご紹介します。

『ゲイビー・ベイビー』
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オーストラリアで同性愛者の親を持つ子供たちを追いかけたドキュメンタリーです。
”同性婚”など、親の立場で描かれたドラマはこれまでたくさんあったと思うのですが、子供の視点から「ゲイの親、レズビアンの親のいる家族」について向き合い、しかも実際の家族を追いかけたドキュメンタリーというのが珍しいというか新しい。今の時代だからこそ実現できた映画なのではないか、と思っています。
※7月16日(土)15:40よりスパイラルホールで上映

『パリ 05:59』
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ネタバレになってしまうのであまり多くは語れませんが(笑)。エロティックで、映像も美しく、そこばかりに目がいきがちですが、それはあくまでオトリのようなもの。根底にあるテーマは非常に重く、見終わった後に、観客の心の中に、とても意味のあるものを残してくれる映画です。
※7月14日(木)19:00よりシネマート新宿で上映
※7月18日(月・祝)18:55よりスパイラルホールで上映 クロージング作品

『ハイヒール革命!』
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今年は日本映画の長編が2本もありますが、その中の一つです。これはトランスジェンダーの真境名(マジキナ)ナツキと、その家族たちの葛藤の日々を描いたドキュメンタリー&ドラマです。再現ドラマで濱田龍臣さんが女性になりきって演じているのですが、その姿が非常に可愛くて、SNS上でも非常に話題になっています。
ちなみに、真境名ナツキさん、濱田龍臣さん、古波津陽監督の舞台挨拶が決まっています。
※7月17日(日)16:30よりスパイラルホールで上映

Q.今年の目玉企画は何かご用意されていますか?

A.今年は2つほど特別企画をご用意しています。

①特別展示企画「OUT IN JAPAN~今まで撮影した“1000人”の写真を展示したい!~」

「セクシュアル・マイノリティが当たり前の姿になるように」をコンセプトに進められてきたプロジェクト「OUT IN JAPAN」とコラボし、これまで撮影された1000名を超える写真を、スパイラル1階に展示する、という企画です。
この展示にかかる費用は、今年6月よりクラウドファンディングにチャレンジし、無事成立となりました。

会期:2016年7月12日(金)~7月18日(月・祝) 11時~20時
入場無料
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
主催:レインボー・リール東京運営委員会 NPO法人レインボー・リール東京
共催:認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズ

②レスリー・キー監督短編映像作品『PHANTOM』特別上映

「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」で上映され話題となった、レスリー・キー監督短編映像作品『PHANTOM』を上映します。
衣装や音楽プロデュース、豪華な出演陣が超話題です。

『PHANTOM ~a short film featuring YOHJI YAMAMOTO 2016 S/S Collection~』

衣装:YOHJI YAMAMOTO
監督:LESLIE KEE(レスリー・キー)
音楽プロデュース:赤西仁
出演者:高岡早紀、赤西仁、ジェームス・ジラユ、尾上松也、秋元梢、宮城大樹、栗原類、太田光る、エディソン・チャン、AYABAMBI、など総勢50名

日時:2016年7月15日(金)18時20分~
会場:スパイラルホール(スパイラル3F)
主催:レインボー・リール東京運営委員会 NPO法人レインボー・リール東京

※『PHANTOM』前売り券はPeatixのみの販売となります。(前売り:900円)
※販売枚数に達し次第、販売を終了いたします。前売りでチケットが完売した場合は、当日券の発売はありません。

Q.LETIBEE LIFE読者の皆様に実行委員会から一言お願いします。

A.映画祭のずっとファンでいてくれた方々、そして、最近初めて知ったという方々、みなさんに感謝です。本当に多くのお客様、スポンサー様、そしてボランティアスタッフに支えられて、ここまで続けられてきたのだと思います。ここの場を借りて、御礼申し上げます。

この映画祭の良さは、何よりも観客が一体感を持って見られる、というところです。
一緒に手を叩いて笑ったり、ちょっと怒ったり、思わず涙してしまったり。
なんの制約もなく、誰からも責められない、とても自由で温かな空間です。

今年で25年目を迎え、NPO法人として、映画祭の名称も変え、新しいステージに進もうとしていますが、今まで以上にもっとカラフルで、もっとオープンな映画祭へと成長していって、もっともっと愛される映画祭になっていきたいと思います。
どうぞこれからの「レインボー・リール東京」にもっともっと期待していてください!

オープニングはタイの貧困家庭の兄弟の物語

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初日の7月9日にシネマート新宿で上映された「チェッカーで(毎回)勝つ方法」を鑑賞してきました。
タイの地方を舞台にしたこの作品の中心となるのは、両親を亡くし、叔母の家で世話になっている少し年の離れた兄弟。
弟・オートは11歳、兄・エックは高校を卒業してバーテンダーとして働いている21歳。
オートは兄ちゃんのことが大好きで、しょっちゅう着いてまわろうとします。
少々鬱陶しがりながらも、エックは父親代わりに弟を可愛がっています。
2人の日課はチェッカー、西洋碁とも言われるボードゲームです。
そしてエックには高校の頃から付き合っている同い年のボーイフレンド・ジェイがいます。
食卓に肉料理があがることも滅多にない貧困家庭のエックと、土地の名士の息子である金持ちの息子ジェイとの関係も、貧富の差を超えて仲睦まじく続いていました。

エックやジェイがゲイであることも、MTFの美人な友人がいることも、それ自体は単なる日常の風景として何の問題にもならないのは、さすがタイだなと思わされます。

この映画はセクシャリティが軸となって物語が動いて行くのではないのが面白いところです。この物語の軸は、タイ特有の徴兵制度です。

21歳になると、男子全員が徴兵抽選会に参加しなければならず、抽選で当たる(赤を引く)と2年間の兵役に就かねばならないというタイの徴兵制度はなかなかユニーク。

※ご興味のある方は、こちら(徴兵抽選会の動画あり)をご参照ください。

叔母とその娘の家で暮すエックとオートの兄弟。
大黒柱のエックを兵役にとられたくない叔母と、大好きな兄ちゃんに兵隊になってほしくない弟。
兄ちゃんのためにと弟のオートがしでかす事件が、この兄弟とジェイの人生を大きく変えていきます。

実際に兄ちゃんがいる弟君たちは、子どもの頃に兄ちゃんに対してしでかしてしまったワガママとか、面倒かけてしまったこととか、いくつも思い当たるはず。………というか、僕はいくつも思い当たりました。
そんな経験があるすべての弟君たちは、この映画、胸にキュンキュンくること確実です。
50歳過ぎのオッサンの僕ですら、気持ちは「少年の夏」に戻ってしまいました。

この作品の見どころはそこだけじゃありません。
とにかく、青年の肌を非常に美しく撮影されていることに驚きました。
男に思い入れのないカメラマンは、女性をキレイに撮る方法のまま男を撮ってしまい、なんだか微妙に気持ち悪い仕上がりになるパターンが多いのです。
しかし、この映画では青年の肌を「男の肌」として美しくカメラに収めています
ちょっと言葉では説明しきれない歯がゆさを覚えていますが、実際に見ていただけると「キレイだね」と感じていただけること確実です。

セクシャリティがこの物語の軸ではないと申しましたが、タイならではの「性」の面はきちんと描かれています。
主人公たちの友人である美人のFTMに対するノンケの男の子たちの反応や、彼女が徴兵抽選会でどのように扱われるのか、など日本では想像もつかない描き方は興味ぶかいです。
そして、タイの貧困層の青年たちが生活の手段として選ばざるを得ない「性風俗」の一面も物語の重要な鍵となっています。
観光でタイに行く日本人は買う側でしか見ることのできない「性風俗」を、売る側の視点から描かれているので、まったく違う印象を覚えるかもしれません。

弟の回想で描かれるこの作品。
貧困層だった弟が、どうやってそこから抜け出したのか。
彼は人生のチェッカーに如何に勝利してきたのか。
饒舌になり過ぎない抑制の利いた結末だからこそ、この作品は実に心に深くのこります。

※「チェッカーで(毎回)勝つ方法」は7月14日(土)13:40よりスパイラルホールで上映されます。
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『チェッカーで(毎回)勝つ方法』
英題:How to Win At Checkers (Every Time)
監督:ジョシュ・キム
2015|タイ、香港、アメリカ、インドネシア|80分|タイ語 ★⽇本初上映
2016年アカデミー賞外国語映画部門タイ代表作品、タイ・アカデミー賞助演男優賞受賞。
2015年ベルリン映画祭パノラマ部門出品作。

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ABOUTこの記事をかいた人

いたる

LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964