女性に性転換した選手が優勝。これってフェア?

Renee Richards
Transgender tennis player Renee Richards

物議を醸したトランスジェンダーのスポーツ選手

世界には、男性から女性に性転換をしたスポーツ選手や、女性から男性に性転換をしたスポーツ選手がいる。男性から女性になること、女性から男性になること。そういったことによる偏見や差別に屈せず、彼ら彼女たちは自分たちがスポーツ大会で自ら活躍をする権利を追い求めてきたのである。しかし、男性が女性よりも筋肉量や体格に差がある中、彼ら彼女たちが大会で活躍することは果たしてフェアなのだろうか?

白黒写真のトランスジェンダー選手

レネ・リチャーズ(Renée Richards)をご存知だろうか。彼女は、もともと男性のテニス選手としてアマチュア大会で優勝を遂げてきた優秀なテニス選手であった。彼女は1975年(当時22歳)の時に性転換手術を行い、男性から女性に性別を変えた。しかしその翌年の1976年、USオープンへの出場を拒否されてしまったのである。当時は米国テニス協会の”女性として生まれた者が女性である” という方針に反していたためだが、彼女は屈しなかった。粘り強く法廷で争い、1977年にニューヨーク高等裁判所は彼女が大会に出場することを認めたのである。これはトランスセクシュアル(性別適合手術済みのトランスジェンダー)の人権獲得の歴史の中で非常に重要な一歩だと言われている。彼女は女子ダブルスの決勝まで勝ち進むことができたのである。大会で活躍することはできたものの、トランスセクシュアルであることを理由にボイコットを起こされたり、人に殺されかけることもあったため、ボディーガードを雇っていたのだという。

「女性としてテニスをしたことを後悔している」

彼女はSlate にてこう述べている。

「22歳でのときに性別適合手術をし、24歳でツアーに参加したが、女性として生まれた女性の人は誰も私の近くに寄って来なかった。そういうのを見て、もう一度考えてみたの。」残念ながら、トランスセクシュアルの女性がやろうとしてもなかなかできないことが1つだけある。それは、やりたいと思ったスポーツの世界でプロとして活躍する、ということ。誰にも男性から女性に性転換した人に、『活躍してはいけない』なんて言う権利はないけど、この”制限”は、私の人生にいつもついて回ってきた。」

彼女は、彼女のしたことが正しかったことなのかどうか今も結論が出ないという。

「私は手術を受けたけど、それは私の運命だと思ったから。でも、プロとして女子テニスをしたかったわけじゃない。でも、素晴らしい経験がたくさんできたから、多分それも私の運命だったんだと思う」

人権とフェアネス

男性から女性に性転換をしたスポーツ選手の活躍。最近ではサッカーにおいて”なでしこジャパン”が世界で活躍しているが、今後きっと日本のスポーツ界でもリチャーズのような選手が現れるはずだ。トランスセクシュアルというセクシュアリティが原因でスポーツ大会に出場する権利を剥奪されるなどということは、セクシュアリティによる差別であり人権の侵害である。また、2010年に行われた医学的な調査によると「”トランスジェンダーの女性や少女は、身体的性別が女性の人よりも優位にある”という意見には根拠がない(※)」という結果も出ているが、みなさんはどう考えるだろうか。

img via: HEROES, MARTYRS, AND MYTHS: THE BATTLE FOR THE RIGHTS OF TRANSGENDER ATHLETES

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Trans tennis player Renee Richards on winning the right to play

HEROES, MARTYRS, AND MYTHS: THE BATTLE FOR THE RIGHTS OF TRANSGENDER ATHLETES

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