「私には娘と息子がいました。今は息子と娘がいます。」
イングランドに住む、ベス・マギャリティ(Beth McGarrity)さんには2人の子どもがいて、彼らは2人ともトランスジェンダーだという。雑誌Good Housekeepingにベスさんのインタビューが掲載されている。彼女は、子どもたちから学んだことなどについて話をしてくれた。
子どもたちからのカミングアウト
ギャビン(Gavin)とレイデン(Raiden)は、ベス・マギャリティの子どもだ。彼らは2011年のほぼ同じ時期に、トランスジェンダーであることを家族にカミングアウトした。
先にカミングアウトをしたのは、下の子のギャビン(当時はまだ母親ベスにとっては娘のアリーだった)だった。
「僕は頭の中でずっとたくさん考えてきたことがあって、(お母さんは)他にたくさんやることがあったから、伝えたくはなかったんだ。
…僕は自分に何が起きているのかわかっているんだ。僕はトランスジェンダーなんだ。ずっと男の子になりたかったんだよ。」
とレイデンに促されながら話したという。
一方、上の子のレイデン(当時はラス・ジュニア)も成長するにつれて、周りからどう見られているかと自分のアイデンティティを重ね合わせることができず悩むことが増えていった。典型的な「男の子」になりきれず、ショートヘアでメイクをし、女性用の服を身につけるなど、中性的な外見をしていた。ギャビンのカミングアウトから1ヶ月もしないうちに、今度はレイデンが、は、家のベランダで、涙を流しながらカミングアウトをしてきた。
カミングアウトを受けて
カミングアウトを受けたベスは、気持ちを理解し、自分からの愛情を子どもたちに伝えたくて彼らを抱きしめた。
「私は何があろうとあなたたちの味方だよ」
彼女はそう、子どもたちに伝えた。
しかし、子どもが2人ともトランスジェンダーであるという事実を理解することは、彼女にとってなかなか難しかったという。ベスはつねに子どもたちが気分良く過ごせるように気を配っている一方で、周りから子どもたちがじろじろ見られたり、心無い言葉をかけられたりする場面に直面することが何度もあったのだ。
それぞれの現在の心境
それでも、彼女は現在は幸せだという。子どもに男の子と女の子が両方欲しいと思っていたから、子どもたちが2人ともトランスジェンダーでよかったと冗談めかして話す。
「私にとってこの子どもたちは、腰を下ろして深く息をすることのできる私の居場所だと思っています。彼らは幸せです。そして彼らと過ごすひとつひとつの瞬間が、私にとっては贈り物のように感じられるのです。」
そう彼女は言った。
レイデンは20歳、ギャビンは17歳になったが、自分たちに愛情をかけてくれた両親にとても感謝しているという。
ギャビンは
「僕がカミングアウトする前、母親は何年間も何が起こっているのかわからなかったと思う。僕は母親が気にかけているのを知っているから、最終的に僕もレイデンも幸せになれているんだ。」
と話した。