サッカーのイラン女子代表チームに8人のトランスジェンダー女性が所属
女子のイラン代表チームに、8人の性別適合手術を受けていないトランスジェンダー女性選手がいることを指摘され、イランサッカー協会は「非倫理的である」として非難されている。
8人のトランスジェンダー女性の選手
イギリスのメディアThe Telegraphによると、イランのサッカー協会は数名の性別適合手術を受けていないトランスジェンダー女性を試合に出場させたという。これについて、イランリーグに近しいMojtabi Sharifi氏は、「8人の選手が性別適合手術を終えずにイランの女子チームと試合をしたことがある」と話している。
9月30日には、全ての代表選手や国内リーグのトップ選手に対して性別検査を行うよう忠告された。トランスジェンダー女性だと思われる8人の選手の名前は公表されていない。
イランでは、2010年にチームのゴールキーパーに対して女性であるかどうかの疑問が浮上していた他、2014年にも4人の選手が女性への性別適合手術をまだ受けていない、あるいは性分化疾患であるとみなされていた。
イランにおける同性愛と性別適合手術
イランでは、法律で同性愛が禁止されているが、性別適合手術は1979年のイスラム革命のリーダーであったホメイニによって合法化されていて、法的な性別の変更も可能である。手術はこの数十年で受けいれられてきており、トランスジェンダーの人口も多い。その一方で、イランの医者の中には以前、同性愛を「治す」ためにイラン人の同性愛者が性別適合手術を強いられていたと話す者もいる。
実はイランは、手術を受けた人数は明らかではないものの、タイについで世界で2番目に性別適合手術が行われている国である。イランは表向きは正式な政策としてゲイやレズビアンに対して性別適合手術を強制していない。しかし、トランスジェンダーではなくても同性愛関係にある人は、イランで同性愛が違法であることから性別の変更の必要性に迫られている可能性があると報じている。
トランスジェンダーとスポーツ
スポーツでは多くの競技が男女の運動能力の差を考慮して性別で分けて行われるため、トランスジェンダーの選手が望む性別で競技することに関しては議論の余地がある。
イギリスでは多くのトランスジェンダーの選手は自分の望む性別でプレーすることが認められている。しかし多くの場合、非常に厳しい検査を受けなければならならず、実際にプロのレベルで活躍できる選手はほとんどいないのだという。
今回のイラン女子代表はトランスジェンダーの選手の出場を非難される結果となったが、今後トランスジェンダーの選手が自らの望む性別で活躍できるようになるのだろうか。
画像出典:The Telegraph, Pink News