ダイバーシティをテーマにしたカルチャー新雑誌Oriijinを読んでみた

”インクルージョン&ダイバーシティ マガジン”と銘打った新雑誌「Oriijin[オリイジン]」が2017年3月23日にダイヤモンド社より刊行されました。
「世界は?日本は?企業は?いま知っておくべきLGBTのこと」
と、興味深いテーマを掲げたこの新雑誌「Oriijin」を早速読んでみました。

Oriijin[オリイジン]Spring 2017 発行:株式会社ダイヤモンド社 定価980円

Oriijin[オリイジン]Spring 2017 発行:株式会社ダイヤモンド社 定価980円

①まさに多様性、様々な人物の語る「ココロスタイル」

表紙をめくると、いきなり登場するのがNHKの朝の顔であり、V6のメンバーでもある井ノ原快彦さん。仕事に関する考え方、スタンスを語る井ノ原さんに続き、小島瑠璃子さん、ヒロシさん、小林幸子さん、と異色の顔ぶれの方々が、仕事を通じて考えた「ココロ」の有り様を語っていきます。

そうです、Oriijinの書名に添えられたコピーは、
暮らす&働く 私のココロスタイル
そして、表紙に大きく書かれている特集テーマは、
ココロと多様性の時代を生きる LGBTをめぐる社会の動き&ココロスタイル」。
「ココロ」というのがOriijinを貫くテーマなのです。

誌面中央で「ココロ」を語るのは、さだまさしさん。現在の姿しか知らない世代には飄々としたおじさんにしか見えないでしょうが、デビューからしばらくの間に受けた毀誉褒貶の時期を経て到達した現在の「ココロスタイル」は、とても共感度の高いものでした。

人物ルポルタージュで取り上げられたのは、南定四郎さん。若い世代の方はご存知ないかもしれませんが、昭和の時代を代表するゲイ雑誌のひとつ「アドン」の編集長であり、日本においてのゲイの人権運動を支えた第一人者であり、プライド・パレードやゲイ&レズビアン映画祭など日本に根付いたイベントのきっかけを作った伝説の人物です。南さんの半生を振り返り、さらに現在暮らされている沖縄で精力的な活動を始められたご様子が紹介されています。

(左)南定四郎さん 撮影:toboji 東京レインボープライド2016にて

(左)南定四郎さん
撮影:toboji 東京レインボープライド2016にて

他にも、チェンジストの池田奈保実さん、映画「彼らが本気で編む時は、」の荻上直子監督もココロスタイルを語っています。

②今求められるのは、インクルージョン

多様性を表す「ダイバーシティ」という言葉はかなり有名になってきましたが、Oriijinが掲げている「インクルージョン」はどういう意味だかご存じですか?
様々な人が存在する「ダイバーシティ」な状態が生み出しかねない断絶などの弊害を超えて、お互いを認めて受け入れることこそが「インクルージョン」という状態だそうです。

Oriijinの特集「ココロと多様性の時代を生きる LGBTをめぐる社会の動き&ココロスタイル」では、企業におけるダイバーシティからインクルージョンが重要とされるようになってきた流れが分かりやすく解説されています。
そして、2020年の東京オリンピック&パラリンピックをひとつの目標点として、日本の企業や自治体がLGBTに関して大きく考え方を変え始めている流れが紹介されています。

渋谷区長の長谷部健さんのインタビューも掲載されていますが、渋谷区の同性パートナーシップ条例の施行以降、企業や自治体のLGBTに関する取り組みは続々と報道されてきました。その動きの理由(原動力)は何だったのか、インターネットで散発的に報道を見ているだけではなかなか把握しづらいものです。しかし、この特集記事や【企業✖️LGBT】という企画では、その速い潮流が多面的に語られていて、現状把握にはとても役立ちます。それだけではなく、ここから先のビジネスにおけるヒントも散りばめられていて、参考にできる部分も大きいと思います。

③Oriijinを育てるのは、あなたです

Oriijinが、これから継続して発行されるのかどうかは明記はされていません。しかし、表紙の「2017 Spring」という記載は季刊として続けたいという編集部のメッセージではないだろうかと、勝手に推測しています。

雑誌は生き物だと言われます。
私もゲイ雑誌の編集長だった時代は、読者の方から寄せられる声は、誌面づくりの大きな指針となっていました。
正直なところ、全く新しいコンセプトで作られた雑誌ゆえ、試行錯誤の過程にあるなと感じられる記事は見受けられました。しかし、LGBT当事者にとって、またLGBTフレンドリーなアライを自認される方にとっては、興味深く読めるコンテンツが詰まった1冊であることに間違いはありません。
Oriijinが成長していくかどうかには、私たち当事者、そしてアライの方々の声も大きく左右すると思います。

ぜひ、Oriijinを読んで、巻末の読者アンケートであなたの感想を編集部に届けてください。

創刊に合わせてOriijin公式サイトがオープンしました。
誌面の詳細はこちらをご参照ください。
web

 

■3月27日に創刊イベント開催!

Oriijinの創刊を記念して
「LGBT-friendly ORIIJIN オリイジンMagazine LAUNCH PARTY」
が開催されます。

フルーツインスーツ日本がダイヤモンド社を招き、開催されるこのLAUNCH PARTYの参加費2017円には、Oriijin創刊号とワンドリンクが含まれています。誌面に登場した方のお話を直接聞けるチャンスです。
ご興味のある方は、こちらをご参照ください。

LGBT-friendly ORIIJIN オリイジンMagazine LAUNCH PARTY

日時:3月27日(月)18:30〜21:30
会場:Nagatacho GRID(東京都千代田区平河町2-5-3)
参加費:2017円(Oriijin創刊号&ワンドリンク付)
チケットのお申し込みはこちら

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ABOUTこの記事をかいた人

いたる

LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964