トランスジェンダー支援の新たな取り組み―暴力・差別撲滅のために2000万ドルが集まる

rainbow flag

大規模なトランスジェンダー支援が始まる

世界中のトランスジェンダーへの差別や暴力が蔓延している状況を打開するために、新たな取り組みがスタートする。この活動の実施にあたり、複数の財団から合計2000万ドルの助成金が集められているという。

グローバル・トランス・イニシアチブ

LGBTの権利を守ることを目的として設立されたアーカス財団は12月8日、トランスジェンダー当事者がより生きやすい社会を実現するために、トランスジェンダーに特化したこれまでにない規模での国際的な計画「グローバル・トランス・イニシアチブ」を行うことを発表した。

アーカス財団は今後5年間に渡って、トランスジェンダー活動家に対して合計1500万ドルの金銭的支援を実施する予定だ。さらに、NoVo財団から100万ドル、その他の財団からも400万ドルが集められている。

これらの資金は、トランスジェンダーの人々が家族や社会から存在を認められ、尊重され、支えられて生きていける世界を作るため、米国に限らず世界のトランスジェンダーのチャリティ団体の支援に充てられるという。

 トランスジェンダーやその支援者を取り巻く環境

アーカス財団によると、過去7年間だけでも1700人以上のトランスジェンダーが殺害が報告されており、多くの事件で、暴力や拷問に巻き込まれているという。またトランスジェンダーはその他の米国人と比べて所得が低い傾向にあり、生きていく中でホームレスを経験しているトランスジェンダーの割合は20%にものぼるという。

その一方で、トランスジェンダー支援の活動へ向けた金銭的な支援は少ないのが現状である、とアーカス財団は述べている。

「近年、トランスジェンダーへの支援は広がってきているものの、資金提供の幅は非常に限られている。

LGBTについての資金提供を行う組織が行った調査によると、財団からのトランスジェンダーの支援活動への助成金額は、100ドルにつき1ペニーにも満たないという。」

支援するにあたって

アーカス財団のケビン・ジェニングス(Kevin Jennings)氏は、このグローバル・トランス・イニシアチブは、トランスジェンダーのコミュニティ内にある不平等の広がりに対応するための動きであると述べる。

「一緒に取り組んでいく仲間と共に、世界中のトランスジェンダーの人たちが直面している暴力や差別の撲滅のため、不断の努力を続けていくべく、私たちはよりたくさんの、そして必要不可欠である金銭的な支援を約束しました。

この国際的な努力を通じて、慈善活動を行っているリーダーたちに手を差し伸べ、トランスジェンダーについての理解を深めていきたいと思っています。」

また、NoVo財団のパメラ・シフマン(Pamela Shifman)氏は

「あらゆる場所において少女や女性に対する暴力の撲滅を目指すことは、NoVo財団のミッションの重要部分を占めてきました。このグローバル・トランス・イニシアチブへの支援は長年続いてきた私たちの活動を深めていく上で、重要な機会となるでしょう。

世界中でトランスジェンダーの女性や少女への暴力が蔓延しているという状況は、何かしらの対策がとられるべき危機であり、私たちはほかの団体と協力してこの緊急課題に取り組んでいくことを決定しました。」

と発言した。

アーカス財団は2000年に設立されてから、これまでも1000万ドル以上をトランスジェンダーについての活動に充ててきた。今回のグローバル・トランス・イニシアチブはそれをさらに上回る規模での試みである。トランスジェンダー支援のさらなる世界的な取り組みを期待したい。

もっと読む

READ  アメリカでトランスジェンダーへのヘイトクライムの報告数が3倍に

rainbow flag

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です