東京レインボープライド2016の熱も冷めやらぬ状態ですが、6月〜7月はPRIDE月間、世界各地で大きなプライドパレードが開催されます。中でも、毎年100万人超が参加するカナダ最大の都市トロントのプライドパレード(2016年は7月3日開催)に注目が集まっています。
では、なぜトロントのプライドパレードが注目されているのでしょうか?
今年から一月に渡るビッグイベント”Pride Tronto”が始まる
まずは基礎知識から。
トロントはカナダのどの辺りに位置しているかご存知ですか?
知らない方は、下記の地図をご参照ください。
ニョーヨークからもかなり近く、五大湖の一つオンタリオ湖に面しています。
ナイアガラの滝までは、車で2時間で行くことができます。
トロントのあるオンタリオ州は、2003年に同性婚を合法とする司法判断が下り、北米でもっともLGBT施策の先駆的都市として知られています(カナダ全州では2005年に同性婚が合法とされています)。今年2016年で36回目を迎えるLGBTフレンドリーな都市トロントのプライドパレードは、例年以上に注目を集めています。
その理由のひとつは、今年からプライドパレードへ向けての一月をプライド月間“Pride Tronto”としたことです。
6月1日、トロント市内のクィーンズパークにレインボーフラッグを掲揚式典を皮切りに、人権問題関連の講演会から、家族も楽しめる遊園地のゲイデー、LGBT関連の映画上映会、ジョージ・タケイのトークショー、プール・パーティー、ビーチ・パーティー、クラブイベントなど硬軟織り交ぜた様々なイベントが一月に渡って開催されます。
そして”Pride Tronto”のラストが、トロントプライドパレードが行われる週末なのです。
“Pride Tronto”のために制作されたPVをご覧ください。
カナダの若き首相ジャスティン・トルドー氏の存在
もうひとつの理由は、昨年秋に誕生した若き首相ジャスティン・トルドー氏の存在にあります。
伊勢志摩サミットのために来日して、氏の爽やかな雰囲気を実感された方も少なくないでしょう。
フェミニストを公言するトルドー氏は組閣の段階で、閣僚の男女比を同じにしました。さらにゲイやハンディキャップを持つ人を大臣に任命するなど、偏りの少ない風通しのいい国政を実践しています。
そんなトルドー氏が今年のトロントプライドパレードに首相として参加すると表明しました(昨年2015年も参加している)。
そして先程ご覧いただいた”Pride Tronto”のPVに自ら登場して、積極的にバックアップする姿勢を示しています。
We’re delighted to announce that @JustinTrudeau will be the first Prime Minister in history to attend #PrideTO! pic.twitter.com/PbAu4KAyRS
— Pride Toronto (@PrideToronto) 2016年2月22日
★ジャスティン・トルドー首相に関しては下記の記事もご参照ください
カナダのトルドー新首相がゲイの閣僚の家族と撮った写真が話題に
【カナダ史上初】ジャスティン・トルドー首相、トロントプライドパレードに参加予定であることが判明
ジャスティン・トルドー氏ばかりか、女性、そしてレズビアンとして初めてトロントのあるオンタリオ州の首相となったキャスリーン・ウィン氏、そしてトロント市長のジョン・トーリー氏も参加を表明。2人もジャスティン・トルドー首相と共に”Pride Tronto”のPVにも出演しています。
現役のカナダ首相、オンタリオ州首相、トロント市長が揃ってバックアップし参加を表明しているのです。もちろんこれは、トロントプライドパレード史上初めてのことですし、世界のプライドパレードでも非常に稀な快挙だといえるでしょう。
2014年のトロント・プライドパレードの取材映像からは、規模の大きさ、様々な人が参加している様子、そして沿道を含め皆さんが楽しんでいる状況が伝わってきます。パレードに参加している人権活動に携わる人や、政治家へのインタビューが連続して収められていますが、その中に、当時は市長候補だったジョン・トーリー氏も含まれています。
トロントプライドパレードが他と違う理由
トロントプライドパレードに参加してみたいけど、海外のパレードはちょっと敷居が高くて、と尻込みしてしまう方には日本発のツアーがお薦めです。昨年に引き続きトロントプライドツアーを実施する旅行代理店「Out Asia Travel」の小泉さんに、トロントプライドパレードならではの魅力をうかがいました。
Itaru1964(以下“I”):数あるプライドパレードの中でも、トロントが面白いとお薦めする理由を教えてください
小泉(以下“K”):海外のパレードにも色々あるのですが、例えばニューヨークのような規模の巨大なものになると、【見物するだけ】になってしまうんですよ。沿道の観客がものすごく多いので、どうしても安全のために規制しなければならなくなります。車道と歩道の間に柵が並べられ、その前に多数の警官が並んで、パレードと観客の間の距離ができて、遠くから眺めてる感じになります。でもトロントの場合はそういう垣根がほとんどなくて、歩いている人たちが観客に色々なもの配ったりとか、握手したりハイタッチしたり、なんてことが当たり前なくらい距離が近いんです。パレードのパフォーマンスを見に行くのではなく、【観客なんだけどパレードに参加している実感がもてる】、これがトロントのプライドパレードの面白いところです。
I:すごくフレンドリーな感じが伝わってきます。見ているだけで参加している実感が得られるって凄いですね。
K:実は今年は見るだけじゃなく【パレードを歩く権利】を得たんですよ。だからツアーに参加される方は、パレードを歩く、または、沿道から応援する、という2つの楽しみ方から選ぶことができるようになったのです。ちなみに歩くことを希望される方たちの中では、「皆んなで浴衣姿で歩いて日本をアピールしましょう」という話になっています。
I:海外の大きなプライドパレードを歩くのはすごく良い経験になりそうです。規模の大きいパレードの場合は、どんなフロートが出てどんな人が歩くのかを沿道から見るのも楽しいんですよね。だから、好きな方を選択できるというのは素晴らしい企画だと思います。
K:トロントのプライドパレードは毎年参加人数が100万人規模で、フロートが50〜60台。フロートはバスやトラックなど大型のもので、フロートごとに歩く人数も東京に比べるとものすごく多いんです。全体的にゆっくり進んで行くので、すべてのフロートがゴールに着くまで3〜4時間かかります。警察官とか消防官とか、学校とか、家族連れとか、職業もセクシャリティも様々な人たちが本当に幸せそうな笑顔で歩いているのを見ていると、嬉しくなっちゃいますよ。パレード自体も面白いんですけど、パレード・ルートのいたるところでパーティーが行われているんですよ。すぐそこの片隅でみんなが踊っていたりとか、大きなステージがあって踊っていたりとか。ゲイバーも人が入れないくらい混雑していて店の表に行列ができるんですけど、並んでいる間に前後で仲良くなったりとか。
I:単にパレードだけじゃなく、パレードを中心に街の中でフェスが行われてるイメージなんですね。すごくハッピーな雰囲気だろうなぁって想像できます。希望された方がパレードを歩けること以外に、このツアーならではのポイントはありますか?
K:今年はJTBさんがツアーを企画してくれていて、東京(羽田・成田)・名古屋・大阪・福岡の4都市から出発できます(去年は東京発のみ)。それから、現地のLGBTの皆さんとBBQパーティーを開催します。パレードの前日に「盛り上げて行きましょう!」という感じで皆んなで食事して遊んで仲良くなって、パレードを一緒に歩こうと思っています。また、トロントの現地の日本人コミュニティの方たちとも仲がいいので、パレードは一緒に歩く予定です。50人くらい集まってアジア系がいっぱい歩いているっていう構図を作りたいんです。
I:トロントはアジア系の方は多く住んでいるのですか?
K:カナダは移民の国と言われているくらい色々な国の方が住んでいます。トロントも51%が移民で、アジア系も多いですよ。日本人は英語が話せないから、と気にされる方が多いですよね。でも、移民の多いトロントではネイティブじゃない人も決して流暢ではない英語をしゃべっていて、それに皆んな慣れているので、日本人の英語も理解しようと一生懸命聞いてもらえます。トロントは人口の割には街はそんなに大きくないので、散歩しながら観光や食事をするのも楽しいですよ。またLGBTにもアジア系に対してもフレンドリーなので、どこに行っても優しくしてもらえるでしょう。
★トロントプライドパレードに興味が湧いてきたら、こちらも覗いてみてください。
・2014年の雰囲気が伝わる「トロント観光局公式日本語ブログ」
・トロントのあるオンタリオ州の観光ガイド「オンタリオスタイル」
・トロントはハリウッド映画のロケ地としても人気です「映画・ドラマ撮影場所を訪れてみませんか?」
アイスワインに詳しくない方は、こちらをご参照ください。
★グルメにお土産! こちらのブログも覗いてみてください。
・トロント「レストラン・カフェ・スィーツ ベスト80最新版」
・トロントでお土産買うならこれ!「在住者イチオシのトロント土産7選」
フレンドリーでありながら、世界最大規模のビッグなトロントプライドパレード。
36年の歴史の中でも、特別な記念すべきものとなりそうな今年のパレードに、貴方も参加してみませんか?
※ツアーの詳細はこちらをご参照ください。