テレビ”クレイジージャーニー”でサムソン高橋がハッテン場を紹介した理由を直接聞いてみた

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地上波の番組でゲイのハッテン場が紹介される!?

放送前から一部で大きな話題となっていた番組「クレイジージャーニー:世界一のハッテン場」(TBS)が9月3日(木)に放送されました。世界中のハッテン場廻りを続け「世界一周ホモのたび」シリーズを発表したライターのサムソン高橋さんが、タイの首都バンコクのゴージャスなハッテン場「バビロン」を紹介しました。放送前から、ハッテン場をテレビで紹介することに対して賛否両論が巻き起こっていましたが、当のご本人は何故出演を決めたのか、直接うかがってみました。

※なお、サムソン高橋氏とは旧知の仲なので、今回のインタビューは少々言葉遣いが乱暴だったりオネエだったりしますので、ご了承のうえお読み下さい。

バビロンにて(サムソン高橋氏撮影)

バビロンにて(サムソン高橋氏撮影)

そもそも、なぜテレビに出ることになったのか?

itaru1964(以下”I”):で、番組を自分で見て、どう思ったわけ?

 

サムソン高橋(以下”S”):気持ち悪いなあと思ったわよ。

 

I:わざわざハッテン場という存在をテレビで広める必要があるのか、とか以前に、アンタというホモの裸とか性的嗜好を地上波で流すことに何の意味があったの? まずはそれを教えて欲しいわ。

 

S:それは私こそ教えてほしい。この情報が、日本の視聴者に対して何らかの意味がありますか? と、TBSに聞きたいくらいよ。まあ、それぐらい皆が私のことを知りたくて堪らないんだなと解釈してます。

 

I:相変わらず、図々しいポジティブぶりはさすがね。

 

S:テレビに映る自分を客観的に見ると、小沢健次と小沢一郎の中間点くらいかなって思ったんだけど、ネットの意見で多かったのが映画監督の大根(仁)さんに似てるって。「モテキ」の監督ね。あと自分でも「それがあったか」と思ったのが、井筒和幸(監督)と押井守(監督)がセックスして産まれた子供のようだって。

 

I:たしかに、井筒×押井の掛け合わせ風味はあるわね。でさあ、アンタは何で出ようと思ったの? テレビに出たかったの?

 

S:いや、まったくそんなことはなくて。しばらくやってたガテンのバイトを去年辞めて、12月から3ヶ月くらいアジアを旅行してたわけよ。マレーシアから入って、陸続きのタイ、カンボジア、ベトナム、中国と行って、最終的には香港から日本に帰って来たの。香港から帰って来る時に、直接東京帰るよりも沖縄経由の方が安かったので。まず沖縄に寄ったのね。で、沖縄に居た時に出版社経由で電話かかってきたのよ。考えてみて! 3ヶ月バックパッカーで東南アジア廻って、締めが沖縄よ。もう頭の中はパッパラパー状態なわけですよ。何も考えてない時に電話かかってきて「ああ、はいはい」みたいな感じで。それが運の尽きですよ。いい機会だから、これ収録終わって放送された後に昼のバイトを探そうと思ったわけ。

 

I:??? なんで?

 

S:たとえば仕事探してバイト始めるじゃないですか。やり始めてから「クレイジージャーニー」が放送されたら気まずいじゃない、すごく。私、隠れホモですからね。土方やるにしても、倉庫番にしても警備員にしても工場にしても、いずれにしても気まずいわけですよ。それだったら最初からバレてたら楽かなって。

 

I:公共の電波を使ってカミングアウトしようとしたってこと?

 

S:ていうか、テレビ出演を口実にバイト探すのさぼってた。(笑)で、もっと早く放送されるのかと思ったら、結局今の今までかかってしまったので、私の人生にとっては番組に出るメリットがゼロというかマイナスなわけですよ。3月から月に一回のペースで三回打合せして、6月にタイに旅行に行った時に取材班が同行して、7月の終わりにスタジオ収録して、やっと放送されたんだから。

インタビュー中もフリースタイルなサムソン高橋氏

インタビュー中もフリースタイルなサムソン高橋氏

バッシングなんて怖くない

S:なんでテレビに出たの? と言われても、それは私が馬鹿だから、何も考えてませんって言うしかないのよ。で、躊躇したのが、今、うちの風呂が壊れてるんですよ。

 

I:はあ?

 

S:今、銭湯通いなんで「これ放送されたら銭湯行きづらくなるな」って心配がすごくあった。

 

I:テレビに出る事での逡巡って、それだけなの?

 

S:それが一番よ! あとは逆に、顔がバレたことで素敵な出会いがないかなって

 

I:テレビに出た事が今後のハッテンのプラスになるって考え、すごく前向きね。ハッテン場を地上波で紹介するとかってことでバッシング受ける可能性とかって考えなかったの?

 

S:基本的に人生投げてるんからね。バッシング受けても特にダメージないんですよ。放送前にtwitterで検索かけてみたら、ヘイトの意見として「以前、ハッテン場情報をメディアに売った奴がいたけど、そいつはゲイ業界から抹殺された」みたいなこと書いてた人がいたんですけど、そもそも私は抹殺されるような居場所がないんで。

 

I:ゲイ業界から抹殺されても別にいいよね?(笑)

 

S:うん、全然いい。(爆笑)だって私の生息地域は台東区とかだから。そりゃゲイサウナ出入り禁止とかになったら泣いて抗議するわよ。でも二丁目出入り禁止とか言われても全然構わない。それに、twitterでヘイトしてくる人たちを見ても、個人的にイケない人ばかりなんで特になんとも思ってません。

 

I:どんな感じでバッシングされてるの?

 

S:2chの実況やtwitterのエゴサーチしてみると、抗議の方向性は大別して次の2つ。

「ゲイがみんなこうだと思われたくない」

「わざわざ隠してるものを表に出すな」

 

前者に関しては、それを私に言われてもって感じ。私は私のことを語っているだけだから、それが気に入らないなら貴方が発信しなさいよ。お前が頑張れよって。

 

後者に関してはね。最初は日本のハッテン場も取材したいって案が出たんだけど、それは絶対無理って固辞したんですよ。当然ですよね。でもバビロンだったら、海外だし、わりとメディアにも出てるし、特に軋轢もなくスマートに紹介できるかなって。実際はもっと過激な取材もしたんですよ。バビロンとは別のサウナで。そこはバビロンとは対極的に、ハッテンエリアはすごく充実しているところなんですよ。ケツ掘りブランコとか、座ると自然と開脚状態になるようなバランスボールみたいな椅子とかあるの。で、その日は「紙ビキニ・デー」で紙ビキニ穿いて嬉々として色々とやったら全部ボツになっちゃって。これはコンプライアンス問題で放送できません、とか言われちゃって。あれが放送されたら、もっとヘイトの対象になってたと思う。バビロンだったら、リゾート的な豪華さもあるし、一般の人にとってプラスの印象に作用するかも。少なくともマイナスの印象にはならないと思う。

 

TBSもゲイを扱うことに関してはすごく慎重な感じでした。これくらいの軽い内容でバッシングが巻き起こるんだったら、ゲイってアンタッチャブルな存在になっちゃう。あるいは、LGBT的に正しいゲイしか扱えなくなっちゃう。それよりは普通に堅苦しくなく、いろんなゲイがカジュアルに出て何が悪いの? って

 

番組の評判をエゴサーチ中。どうやら褒められている様子。

番組の評判をエゴサーチ中。どうやら褒められている様子。

予想よりもぬるい内容で

S:私は「老けデブ専」じゃないですか。で、「老けデブ専」って、ゲイの中でもマイノリティなので、昔から揶揄されることが非常に多かったんですよ。馬鹿にされたり、笑われたりとか。

今でこそ「デブ」っていうのはすごく図々しくなっちゃいましたけどね。だから特に自分が笑い者になるのはどうってことない。笑い者になるのを利用して逆に上から見下げてやろうってのが私の基本姿勢なんで。

 

I:イヤラシイ本音を吐露したわね。(笑)

 

S:ヘイトみたいな意見があるのも、それもそうね、と受け止めてる。でも、これを無き物みたいにするのはちょっと違うんじゃない? って

 

I:というと?

 

S:だから、こういうのを放送するのがおかしいとか、放送中止を求めます、みたいな一部の人がいるんですよ。放送前にスポンサーに抗議して中止させるとかって人がいたし。でも「クレイジージャーニー」を好きで見ている人からするとぬるい回だったと思いますよ。いつもはもっと過激だから。

 

本当に、私の紙ビキニ開脚姿はお見せしたかった! 動画では無理だけど静止画だったらなんとかなるかもって、スタジオ収録の時にその画像(紙ビキニで開脚するサムソン高橋)がいちおう出たんですよ。そしたら松本さんが「サムソンさん、よくこれが地上波でOKだと思いましたね」って。(笑)結局、この場面も全部カットになったんだけど。

「OUT IN JAPAN」をイメージしたポーズで。

「OUT IN JAPAN」をイメージしたポーズで。

スタジオでの収録の感想は?

S:収録時間は70分くらいだったかな?

 

I;緊張しなかった?

 

S:本番までの待ち時間が長いんで、緊張のピークを通り越しちゃって、本番ではだらけたいつものアタシ。緊張のピークは、場当たりといってADさんを相手にリハーサルする直前くらいだったかな。

 

そうそう、放送見て、私もあれ? って思ったんだけど。キーを左足につけるか右足につけるかでタチかウケって言ったじゃないですか。あれは、そういうところもありますよ、って言ったのが全世界共通みたいにされちゃって。

 

あと松本さんに「高橋さんタチなんですか?」って聞かれて「いえいえ、私は手と口で主で、どっちかというと69が好きです」って言ったのはバッサリとカット。(笑)

 

I:シックスナインは放送出来ないでしょ(笑)。ところでMCの方たちの印象はどうだった?

 

S:小池栄子さんはキレイでした。ビックリしました。あと、少し話しただけで頭の良さと性格の良さがすぐ分かるから、こりゃいい女だなって。

 

I:たしかに、アンタみたいな奇妙な物件をさ、丁寧に扱うんだなあって見てた。

 

S:こんな不思議な果実、ストレンジフルーツをね。

 

後のお2人はテレビで見るまんまで。松本さんはちょっと人見知りな感じがしたかな。設楽さんはMCとして分かりやすくしゃべるスキルがある人だなあって

 

i:でも番組見ていて、たしかにプロだと思った。

 

S:アタシが?

 

I:違うわよ。本当のアンタが如何に挙動不審かって、私はよく分かってるじゃない。で、普通に会話を成立させるのもなかなか難しいのに、番組として破綻無くまとまってるわ! と思ったの。で、アンタのことを「可愛い」だの「イケる」だの書いてるツィートを見て、まあ編集されたあの映像だけ見たらこの人まともに見えるもんなって思ったの。

 

S:(笑)今までのtwitterでのカキコミより今のアンタの発言の方がずっとヘイトだわ!(怒)告訴するわよ。

 

 

人生投げてるんだか、開き直ってるんだか、強いんだか、弱いんだか、よく分からない複雑な面をお持ちのサムソン高橋さん。この後、さらに話題は広がっていきましたが、それはまた別の機会に。

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■サムソン高橋氏の著書/絶賛発売中

作/サムソン高橋

画/熊田プウ助

発行/ぶんか社

 

世界一周ホモのたび

A5判/ISBN 9784821143207

本体1,048円+税

 

世界一周ホモのたびDX

A5判/ISBN 9784821143443

本体1,048円+税

 

世界一周ホモのたび 祭

A5判/ISBN 9784821143900

本体1,065円+税

 

■イベント出演情報

 

9月30日

あの日見たマーガレットという花を僕達はまだ知らない

「世界各国のホモ事情と日本のゲイ雑誌について」

※熊田プウ助氏と共に出演

@ArcH 新宿2丁目

入場制限:MIX

19:00 OPEN – 24:00 CLOSE

2,000円(1ドリンクつき)

http://aliving.net/schedule_detail.php?date=2015-09-30

 

 

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2006_1120ラオスタイ

1 個のコメント

  • 企画にびっくりしましたが、海外の発展場事情を知る機会がなかったので、貴重な体験でした。
    サムソンさんはかわいらしくておモテになると思います。
    ただ、ほぼ犯罪行為に近い、公園での屋外ハッテンを紹介したのは、わたしにはひっかかりました(でも公園でおしゃべりをする、くらいの雰囲気で流れていたので、屋外ハッテン事情を知らない方にはあの映像でも大丈夫だったのかもしれませんね)
    小池栄子さんはきれいで、優しい対応でしたね。
    取材・収録、おつかれさまでした。

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    いたる

    LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964