2016年10月15日(土)に、横浜で初めて開催されたプライドパレード”YOKOHAMAダイバーシティパレード2016”の模様を開催当日に速報でお伝えしました。
速報!横浜ダイバーシティパレード〜横浜初のプライドパレードを彩った人々
今回は、速報ではご紹介できなかったレストランクルーズ船「ロイヤル・ウィング」で開催された船上アフターパーティーの模様も含めて、横浜初のプライド・パレードの全貌をレポートします。
撮影:ナカノタイスケ
笑顔が詰まったパレードが横浜の街を進んでいった
まずはパレードを歩いた皆様の様子をご覧いただきましょう。
主催者発表はありませんでしたが、パレード出発前の時点でざっと数えて300人強の方がパレードを歩いたようです。
パレードの後は船上アフターパーティー!
パレード終了後は、横浜大さん橋国際客船ターミナルから毎日出発しているレストランクルーズ船「ロイヤル・ウィング」で、船上アフターパーティーが開催されました。
「ロイヤル・ウィング」のティー・クルーズに合わせて行われたアフター・パーティーは、次々と登場するパフォーマーによるショータイムが続く90分。
MCの瞬(SHUN)さん。
パレードも歩いて沿道の注目を集めた、強め黒肌ギャル全国ユニットBlack Diamond のパラパラ・ショーで開幕。
この日がデビューステージとなった、男女混合のボーカル&ダンスユニット”Air Line“。しっとり&クールに魅せてくれました。
日本唯一の女装男子(男の娘)アイドルユニット”最先端ガールズ”。途中でフロアーに下りてきてお客さんも交えて、可愛く楽しく会場を盛り上げました。
会場の後方から登場したのは、ダンサー、カリスマ・ウォーキング・トレーナー、マルチタレントと幾つもの肩書きを持つエンターティナー”スティーブン・ヘインズ”。達者な日本語と、ユーモアたっぷりのパフォーマンスで会場中を踊らせます。
船上アフターパーティーのメインはFtMアイドルユニット”SECRET GUYZ“。パレードでは最も多くの人を集めた最終フロートを盛り上げ、パーティーもメインにふさわしい圧巻のパフォーマンスで6曲を披露。ファンばかりでなく、初めて彼らのステージを見た人たちも巻き込んで、盛り上がりは最高潮!
協賛企業の出展ブースの数々
YOKOHAMAダイバーシティパレード2016に参加するための受付は、横浜大さん橋国際客船ターミナルで行いました。
横浜大さん橋国際客船ターミナルは、昨年秋のYOKOHAMAレインボーフェスタ2015の会場にもなったところです。そのYOKOHAMAレインボーフェスタの会場入口となった辺りに受付と協賛企業のブースが並びました。
■【画像】横浜レインボーフェスタLGBT 2015 最速レポート
■【画像】横浜レインボーフェスタLGBT 2015 2日目 最速レポート
続いて、YOKOHAMAダイバーシティ・パレード2016に出展されや企業ブースをご紹介します。
株式会社Nijiリクルーティングのブースでは、レインボーのタトゥーシールのペインティング・サービスを実施していました。かわいいレインボー・ハートのタトゥーシールは、その場ですぐに頬などに貼ることができます。
お揃いの緑Tシャツが目を引くライフネット生命保険株式会社ブースのレインボーフラッグをバックに撮影した画像を、【①TwitterかInstagramにハッシュタグをつけて投稿する】【②会場のボードに貼りだす】のいずれかをすることで、ライフネット生命保険株式会社が100円をサポート資金として募金。集まった募金はライフネット生命の取り組みが事例として掲載されたLGBT当事者の子供に関する本の寄贈に充てられます。
このプロジェクトは、東京レインボープライド2016の会場でも実施されていましたが、すでに沖縄県と三重県の図書館に本が寄贈されたそうです。
日本でも加盟企業が年々増えているIGLTA(International Gay & Lesbian Travel Association) 、今回は加盟企業のグランデコ・リゾートで2017年3月11日〜12日にかけて行われる”GRANDECO RAINBOW WEEKEND 2017” のPRを展開していました。
セクシャルマイノリティーのイメージシンボルであるレインボーカラー。”L&G Timpani“のブースでは、かわいい商品がズラリ並べられていました。
”Novia Novia”のブースでは、雑誌のバックナンバーや雑貨が並んでいました。雑誌”Novia Novia”は通販を中心に、全国主要都市のレズビアン・バーでも発売されているそうです。
船上アフターパーティーの主催でもある、日本インクルージョン総研。2022年にアジア初のGay Gamesを日本で開催したいという願いも持っているとのこと。中心にいる女性は前参議院議員の姫井由美子氏。
船上アフターパーティーのクルーズが終了して、横浜大さん橋国際客船ターミナルを出ると、ちょうど夕方の始まり。横浜の綺麗な夕景をしばらく眺めてしまいました。
YOKOHAMAダイバーシティ・パレードに感じた3つの可能性
横浜で初めて開催されたプライド・パレード”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード”を取材して感じた印象は、
このまま継続していければ、東京とは違うイメージのパレードとして定着するのではないだろうか。
というものです。
つまり、大きくなっていく可能性を、強く感じたのです。
“YOKOHAMAダイバーシティ・パレード”に可能性を感じた3つの理由をご説明しましょう。
①時期とロケーションの素晴らしさ
”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード”のルートはこちらです。
横浜大さん橋近く→中華街→山下公園→大さん橋近く、というパレードのルートは、まさに横浜の観光コースです。レトロなビルが残されたエリアから、中華街、港町ならではの開放感がある山下公園を見ながら歩くルートには歩道橋が一切ありません。観光で横浜に訪れたら散歩したくなるエリアを秋の爽やかな気候のもとでパレードする気持ちよさは、今回ご紹介した参加者の笑顔から伝わってくると思います。
大都会の真ん中をパレードする東京レインボープライドの騒然とした雰囲気とは対照的に、実にのんびりした空気が、参加した皆さんの笑顔を生み出したのだと感じました。
この開放的でのんびりした空気感は、2013年まで開催されていたレインボー・マーチ札幌に非常によく似ていました。
②主張を前面に押し出さない
パレードを歩いた皆様の画像をご覧になって気づかれた方もいらっしゃると思いますが、”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード”には政治的主張をアピールするボードなどを掲げる参加者が非常に少なかったのです。
①で空気感はレインボー・マーチ札幌に似ていると例えましたが、政治的主張という意味では全く違います。レインボー・マーチ札幌は政治的主張と楽しさが共存していたパレードでしたから。
政治的主張が極めて目立たないことで”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード”には、他のプライドパレードとは違う独特の楽しさが生み出されたと感じました。
”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード”のルートには多くの観光客がいます。そんな状況で政治的主張を声高にするのは、休日を楽しむ観光客にとってノイズと感じられる可能性が高いでしょう。それよりもレインボーの旗を掲げた楽しそうな一団が通っていく方がより多くの興味、関心をスムーズに集めることができるのではないかと思います。
③エンターテインメントの質が高い
各地のパレードの前後には様々なステージイベントが用意されています。”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード”では、船上アフターパーティーという、横浜ならではのイベントが企画されていました。
この種のステージイベントは、プロだけじゃなく、セミプロや素人も登場するので、パフォーマンスの質が玉石混合になるのは、どうしても仕方ない面があります。
ところが”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード”の場合は、パーティーの時間が「ロイヤル・ウィング」のティークルーズ・90分と時間制限があるため、パフォーマーも5組しか登場しません。少ない分厳選されたようで、どのパフォーマーのステージも観客を飽きさせることがありませんでした。また時間制限がある分無駄がなく、テンポよく次々とパフォーマーが登場する展開の早さも、観客を飽きさせない理由でしょう。
この初回を基準にして今後も全体のレベルアップを図っていければ、アフターパーティーを目的に参加する人を増やすことができるかもしれません。
以上、”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード2016”の詳細をレポートしました。
参加されなかったも皆様にも”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード2016”の雰囲気は伝わりましたでしょうか?
パレードを実現させるためには、実行委員の皆さん、ボランティアの皆さんの目に見えない大変な努力があってこそだと理解しています。その皆さんの力で実現できた、横浜ならではの雰囲気に包まれた”YOKOHAMAダイバーシティ・パレード”を、ぜひ継続して開催していただきたいと願っています。