ベトナムでトランスジェンダーの権利に関する法律が成立
ベトナムで、トランスジェンダーの権利についての法案が可決され、性別適合手術を終えたトランスジェンダー当事者には法的書類の性別を変更する権利が与えられることになった。この法案が可決したことで、国内のLGBT活動家からは賞賛の声が寄せられている。
性別変更についての法律
ベトナム議会で24日に可決された法案によって、性別適合手術を受けたトランスジェンダー当事者は、自らの望む性別で登録出来ることになる。国会では、366名の議員のうち、282名が法案に賛成していたという。この法律は2017年の始めに施行される予定だ。今回の成立は歴史的な快挙であるとして、LGBTコミュニティからも喜びの声が上がっている。
ベトナム国内での報道では
ベトナムの国営のウェブサイトVNExpressでは、「性別適合手術を受けた個人は、(彼らが望む性別で)登録する権利を得ることになる」と報道された。さらに、性別の登録変更後は、彼らの望む性別に対応した個人の権利が与えられるだろうとも述べられていた。
ベトナム議会からの報告書によると、この法律は、国内の伝統との対立もなく国際的な傾向との調和を図る形で、社会の一部からの要望に応えられることを目指して作られたという。
ベトナムのLGBT
ベトナムのLGBTコミュニティは、この法律はトランスジェンダーにとって極めて重要な権利を与えたとして、今回の動きを歓迎している。
一方で、ベトナムは社会主義の国であり、性別適合手術は社会主義国では違法とされている。そのため、手術を受けたいトランスジェンダー当事者は、手術をするためにはタイなどの隣国に行かなければならないという現状がある。性別の変更が可能になったことで、トランスジェンダーの権利向上へ向けた次のステップとしては、性別適合手術が可能になることが期待されている。
「今や人々はトランスジェンダーのコミュニティがあることを受け入れており、彼らの権利はさらに法的に認められていくだろう。」
と、LGBT団体ICSに所属するグエン・ハイ・イェン(Nguyen Hai Yen)氏は話した。
ベトナムでは、同性愛は法律では禁止されていないものの、タブーとされてきた。その一方で、セクシャリティについての見方をより“先進的”なものにしようとする動きも国内で徐々に広まってきているという。2013年に政府は、同性結婚式に課せられていた罰金を廃止していた。現在、LGBT団体は同性婚の実現に向けて活動を続けているという。
画像出典:the guardian