【トロントプライド2017】トロントは旅する魅力の宝庫

カナダがセクシュアル・マイノリティにとってフレンドリーな国だとご存知でしたか?
毎年6月に開催されているトロント・プライドは、世界最大級の大きなプライド・パレードだとご存知でしたか?
オンタリオ州トロントとトロント・プライドの魅力をシリーズでご紹介していく【トロント・プライド2017】。
前回はダイバーシティ&インクルージョンの観点からカナダ・トロントに注目する理由をご紹介しました。
第二回は、ツーリストの目で見るとトロントは魅力の宝庫だというお話。

①まずはオンタリオ州トロントの基本の「キ」
②人種のモザイク!トロントで自由な空気を満喫
③カナダのグルメにはワインが欠かせない
④世界最大のトロント・プライドが今年もやってくる

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①まずはオンタリオ州トロントの基本の「キ」

トロントの場所
オンタリオ州はアメリカ合衆国東部(ミネソタ、ウィスコンシン、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニア、ニューヨーク)各州と国境を挟んで隣接しています。
五大湖に面した街・トロントはニューヨーク州と隣接しています。

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トロントの気候
トロントは北緯43度に位置します。これは北海道・札幌、小樽周辺とほぼ同じです。カナダというと「寒い国」と連想する方も多いでしょうが、ニューヨーク州と隣接していて札幌とほぼ同じ緯度と考えると、過ごしやすそうな街だというイメージが湧いてきますね。
トロントには梅雨はなく、でも四季は楽しめます。まさに北海道と似ていますね。
5月後半〜8月にかけての夏でも平均最高気温が30度を越えることはあまりなく(温暖化の影響か、極端に暑い日も近年はあるそうです)、心地よく過ごせます。

夏のトロントは夜が短い
夏場のトロントは太陽が出ている時間が長いのが特徴です。

<例>トロント・プライド2017が開催される6月25日(日)
日の出  05:37
日の入り 21:03

15時間半も太陽が出ているのですから、夏のトロントでは時間を忘れて楽しめてしまうこと確実ですね。
なお、オンタリオ州は夏時間・デイライト・セービング・タイム:daylight saving time(DST)を採用しています。
※ヨーロッパでは夏時間をサマータイム:Summer Timeと呼びます。
※2017年のトロントのDST期間は3月12日02:00〜11月5日02:00。

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空港アクセス
トロントの玄関口は、トロント・ピアソン国際空港。スターアライアランス系列の航空会社が乗り入れているので、日本からはANAの直航便があります(JALは合衆国の空港で乗り換え)。

空港からトロント市内(ダウンタウン)へのアクセスには、2015年に開通したUP Express(Union Pearson Express)が便利です。これはトロント・ピアソン国際空港とユニオン駅を25分で結ぶエアポート快速。便利で早いのですが、運賃は片道12ドル(2017年6月現在)です。

もっと安く移動したい場合はトロントの公共交通機関TTC(Tronto Transit Commission)も利用できます。TTCは地下鉄・バス・ストリートカーの3種類があり、乗り換える際にトランスファーチケットをもらえば、同方向に一定時間乗ることができます。トロント・ピアソン国際空港からダウンタウンへはバスと地下鉄を乗り継いで、片道3.5ドル(2017年6月現在)です。

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②人種のモザイク!トロントで自由な空気を満喫

前回の記事でもご紹介したように、カナダは英語圏とフランス語圏があり、移民も多く受け入れています。
中でもトロントは世界有数のマルチカルチャー都市として有名です。
トロントでは200近くの国と文化を持つ人たちが暮らしていると言われています。
市内には、中心部であるダウンタウンを囲むように、チャイナ・タウン、リトル・イタリー、コリア・タウン、グリーク・タウン、インディアン・バザールなど大小様々なエスニック・タウンがパッチワークのように並んでいます。
まさに人種のモザイク(cultural mosaic)という印象のこのエスニック・タウンは総称して、ネイバーフッド(エスニック・ネイバーフッド)と呼ばれています。

このネイバーフッド、実は自然発生的に誕生したのではなく、計画的に作られたものなのです。

今の日本の地方都市と同じように、1960年代、モータリゼーションの発達で街の中心部から、広い駐車場を備えた郊外のショッピング・センターへと、人の流れが変わっていきます。トロントでも、駅や役所などが並ぶダウンタウンの周囲は人が集まらない場所になっていきました。
1970年に、BID(Business Improvement District:業務改善自治区)という制度が始まり、ダウンタウンの周囲に移民してきた人たちが集団で暮らすエリア、エスニック・タウンが出来上がっていきます。現在、トロントには81のネイバーフッド(エスニック・ネイバーフッド)があります。

近年、そこに住むことでネイバーフッドを形成してきた人たちや、新規で移民してくる人たちは郊外に居住することが多くなっています。そのためネイバーフッド(エスニック・ネイバーフッド)は様々な異文化やエスニックフードを楽しめる観光スポットとしての性格が強くなり、トロントにとってなくてはならないものになっています。

移民を受け入れる国の中には、その国の文化に馴染むことが望まれる国も少なくありません。ところがカナダは、前回ご紹介した「LGBTTIQQ2SA」からも分かるように異なる文化を尊重する国なのです。
2011年のカナダの総人口約202万人のうち、過半数は国外で生まれた人たちです。移民してきた人たちの大多数は、トロント・モントリオール・ヴァンクーヴァーの3大都市に住みますが、その約6割はトロントに集まっています。
これは、トロントが移民してきた人たちにとって、いかに住みやすい街なのかを示していると言えるでしょう。

様々な国、文化の人たちがそれぞれ独自の文化を大切に生活しているのだけれども、大きく見ると一つの国として調和がとれている。ここからも、色々な人がいる「ダイバーシティ」と、その色々な人たちが社会的一体性をもち活躍する「インクルージョン」が実践されている街だということが実感できます。

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トロントには大きなゲイ・エリアとして有名な、Church- Wellesley Village(チャーチ・ウェルズリー・ビレッジ)があります。通称ゲイ・ビレッジ、またはザ・ビレッジと呼ばれるこのエリアも、BID制度によってできた81のネイバーフッドの一つなのです。
日本でいうなら新宿2丁目のようなエリアは自然発生的に店が集まった結果できたわけですが、トロントでは市の行政として作られたというところにも、LGBTフレンドリーなトロントの性格が感じられます。

全米最大級のプライドパレード”トロント・プライド”と関連イベントは、このChurch- Wellesley Villageを中心に開催されています。毎年、国内外から多数の観光客も集める大イベントとなっている”トロント・プライド”。Church- Wellesley Villageと合わせて、LGBTコミュニティ(カナダではLGBTTIQQ2SA※前回参照)は、トロントを形成する重要な要素の一つになっているのです。

近年は、若い世代のLGBTカルチャーはQueen Street West(クィーン・ストリート・ウェスト)に移っていると言われていますが、Church- Wellesley Villageは”トロント・プライド”の時期以外も、LGBTコミュニティのホームタウンとして多くの観光客を集めています。

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③カナダのグルメにはワインが欠かせない

旅の楽しみといえば、その土地の美味しいものをいただくグルメも欠かせません。
カナダのグルメといえば、

メープルシロップ?
サーモン?
ロブスター?

たしかにどれも美味しいです。
でも、ここではワインにも注目して欲しいのです。

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カナダでワイン?
あまり聞いたことがないという方が多いでしょう。
寒いカナダはブドウの生育には適さないのではないかと、疑問に思う方も少なくないでしょうね。

でも、オンタリオ州の中でも南にあり、ニューヨーク州に隣接しているトロント周辺は、実はブドウの生育に適した土地なのです。
北半球のワインの産地として有名といえば、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、カリフォルニア州のナパ・ヴァレーなどが浮かびます。
この地域は北緯35度〜50度の間にあるのですが、トロント周辺も同じ緯度の間に位置しています。

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トロント周辺は、伝統的なワインの産地であるヨーロッパとほぼ同緯度にあるためぶどう成育期の気候が似ており、土地特有の個性(テロワール)が反映された繊細で優雅な味わいのワインが作られています。

トロント周辺でぶどう栽培で有名な地域は4つに分けられます。
・プリンス・エドワード・カウンティ(郡)
・エリー湖北岸
・ナイアガラ半島
・ピーリー島

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上質のワインが作られているにもかかわらず、カナダのワインの知名度が低いのには理由があるのです。

カナダのワインの歴史はかなり長くて、16世紀にはイエズス会の教会を中心にワイン造りが始まったとされています。その後、ヨーロッパからの移民が増えるのに比例してワインの生産量も増えていきました。
転機となったのは、1987年のこと。
この年、1992年に締結する北米自由貿易協定(NAFTA)の前身となる米加貿易自由協定が締結されました。これにより、アメリカ産の安価なワインが大量に輸入されることになるだろうと予測したカナダのワイン生産者たちは、「品質重視」のワイン造りへとシフト・チェンジします。
その後、カナダのワインへの評価は飛躍的に高くなり、世界レベルのアワードを受賞するのも珍しいことではなくなっています。

その「品質重視」にこだわるワイン造りをするワイナリーの多くは家族経営。小規模のワイナリーで手作業にこだわって作られる上質なワインの製造量は決して多くありません。カナダ国内ので流通量も多くないので、輸出されるのはごくごく一部。
それゆえ、カナダワインの知名度は高くないのです。
直接ワイナリーに行かないと購入できない銘柄もあるといいますから、ワイナリー巡りは欠かせません。

ナイアガラ地域に多くのワイナリーがありますので、ナイアガラの滝見物をかねて、お気に入りのワインを探すのも楽しいですね。

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カナダでワインを探すときはVQAに注目!

VQAとはVintner’s Quality Allianceの略です。これはワイン卸商品質同盟のことで、カナダ産ワインの品質認証基準であり、原産地呼称制度でもあります。
カナダ産ワインの多くは外国産のワインを混ぜているものが多いのですが、このVQAがついているものは100%カナダのぶどうを使った、高品質のワインであることの証明です。

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カナダのワインで忘れてはならないのが、冬は厳しい寒さとなるカナダならではの「ご褒美ワイン」と言われるアイスワインです。
秋に収穫穫されずに木に残ったぶどうが、冬の寒さに凍ったり溶けたりを繰り返すことで甘みが飛躍的に高くなることが偶然に発見されたことから、アイスワインが作られるようになりました。
自然の糖分が生み出す濃厚でこってりした甘さは、まさに「ご褒美」と呼びたくなる味です。
わずかな量しか作られないので希少なアイスワインは、カナダに行ったらぜひ味わいたいものの筆頭です。

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④世界最大級のトロント・プライドが今年もやってくる

今年もトロント・プライドがいよいよ開催されます。
イベントが次々と開催されるプライド月間のフィナーレ、6月25日に世界最大級のプライド・パレードが開催されます。
日本からはツアーも組まれているので、海外旅行に慣れていない方でも参加しやすいですよ。

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トロント・プライド ツアー 公式サイト

シリーズ【トロント・プライド2017】、次回は
トロント・プライド2017最新情報
をお送りします。

トロント・プライド2017前回の記事
【トロント・プライド2017】カナダ、トロントに注目する理由

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■参考サイト
ONTARIO Style
Compathy magazine
トロント観光局公式ブログ
トロント留学バイブル
Time-J.net-世界の時間と時差
LIFE TRONT トロント現地情報
UP-Union Pearson Express
トロント暮らし
とりりあむ
ENJOY CANADA
Heavenly Vines

■参考資料
北米年の業務改善自治区BID:トロントにみるローカルガバナンスとエスニックブランディング 高橋昂輝(日本学術振興会特別研究員DC,日本大学)

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ABOUTこの記事をかいた人

いたる

LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964