射殺されたトランス男性、報道では“彼女”と呼ばれる
米国・アリゾナ州に住んでいたトランスジェンダーの男性が警官に射殺される事件が起こった。Pink Newsによると、その後のメディアでの報道では、トランス男性を“彼女”と繰り返し呼ぶ報道がなされていたという。
自殺を図り、警察に射殺される
24歳のケイデン・クラーク(Kayden Clark)さんは、2月4日、自殺を図ろうとしていると警察に通報された。警官が彼のもとへと到着すると、彼は刃物を手にしていたという。警官は彼に脅されたため、射殺したと話している。
クラークさんは2013年にアスペルガー症候群と診断され、一時期は不安に苦しみ、自傷行為なども繰り返していたという。
その一方で、昨年12月に撮影された動画では、彼はトランジションを始めたということを話していた。彼はこの動画の中で「とても嬉しい!」「不安がなくなった」などと述べていたという。
トランス男性を「彼女」と呼んだメディア
彼の死は多くのメディアで報じられた。しかし、彼の名前や代名詞を用いる際にジェンダーの混乱が多数見られた。彼を指すときに“彼女”などの代名詞を用いたり、出生時に与えられた名前で彼を呼ぶこともあったという。また、報道の中には、彼自身が通称名として使用していた「ケイデン」という名前にクエスチョンマークを付けたものや、「ケイデン」と呼んではいるものの、代名詞は“彼女”のままであるものもあったという。
警察はこれについて、一般の人々がクラークさんを出生時の名前で呼んだり、女性の代名詞を用いたりと、彼の性別を間違えて捉えてしまっていると話した。
しかし、クラークさんの性別を正しく把握できていないのは、一般人だけではなかったようだ。捜査にあたったエステバン・フローレス(Esteban Flores)刑事もまた、現地メディアの取材で彼を“彼女”と呼称していた。
「私たちの分かっている限りでは、彼女は刃物を持っていた。彼女はほかにも何か持っていたが、その場にいた警官たちは部屋の中が暗かったと述べており、我々はまだそれが何であったか分かっていない。」
「彼女が警官と連絡を取ると、彼女は刃物を持って近づき、刃物を持つ手を伸ばしてきたため、彼らは恐怖を感じたという。」
と刑事は話していたという。