乗り換え女とあいまい女
みなさん、こんにちは。2016年が明けて早2ヶ月。いかがお過ごしでしょうか。この2ヶ月、芸能界では衝撃ニュースが絶えませんでしたね。中でも大きく取り上げられていたのは国民的アイドルグループ解散の噂や、人気タレントの不倫騒動でしょうか?けれど、我々レズビアンにとっての一番の衝撃ニュースは、やはりあのカップルの結婚ニュース。ビアンに大人気の北川景子さんがご結婚されましたね。もう、LBですよ。Lesbian Bikkuri(レズビアンびっくり)。
あっちの世界もこっちの(?)世界も色んな人がいますね。今回は世にも奇妙なLの世界ということで、「乗り換え女」と「あいまい女」について紹介したいと思います!
乗り換え女
女心と秋の空?
つい1ヶ月まで「○○ちゃんって最高!付き合いたい!」「世界で一番、彼女が大好き!」って言っていたのに…いつの間にか付き合っているお相手は別の女の子。これが”乗り換え女”です。当人は「機種変しよっかな」ぐらいのノリなんでしょうか?変わりやすい秋の空模様のごどく移り気な女性に振り回されないよう、気を付けたいところです。
お乗り換えエピソード Iさん(26歳/タチ)の場合
ある女の子に、「ほんと可愛いね」とか「○○ちゃんみたいな子と付き合いたい」というように、気があるようなことばかり言っていました。その子とは1年くらいの付き合いでした。本心でそう言っていたし、その子さえその気になってくれたら付き合いたいと思っていました。会う度に軽く口説いてたけど、その子は嬉しそうに笑うだけで本気にはしていない様子でした。わたしヘタレだから、ちゃんとした告白はできなくて。今はわたし、他で知り合った女の子と付き合ってるんですよ。結局、恋愛ってタイミングなのかな。
お相手の子に脈がないと見切りをつけたのか、あるいは現在お付き合いされている彼女さんから猛烈なアプローチがあったのか…。理由は様々かもしれませんが、諦めるの早くない???お前の「好き」はその程度かー!!つっこまずにはいられない!
Iさんが経験したような出来事は、レズビアンの世界では日常的に起こり得ることなのです。毎度、彼女たちの恋愛サイクルの早さに驚かされます。
”出会いの数だけ別れもある”と言いますが、こればかりは多ければ良いというものでもないような。
あいまい女
優柔不断にも程がある!
デートの相手は特定の女性ではない、つまり「キープ」を多く抱えているのが”あいまい女”です。まるで多くの女性をたぶらかしているように聞こえが悪いですが、彼女たちは恋愛面において慎重になりすぎているだけなのです。「この人といるのは楽しいけど、付き合ってもちゃんと幸せになれるかな?」とか、「このままの関係の方が楽なんじゃないか」と考えてしまいます。とりあえず付き合ってみたらいいのにー(笑)彼女たちの安住の地を探す旅はまだまだ続きそうです。
曖昧にしましたエピソード Jさん(30歳/リバ)の場合
モテるよねーってよく言われますけど、本当にモテません。遊びに誘われることはありますけど、それって友達同士でもできることでしょ?別にloveの好きじゃないでしょ?っていうか分からないんですよ、相手がどういう意図で誘ってくれてるのか。そんなのいちいち考えてたら、楽しめない。だから、ノリで「Jさん好きー」とか言われても本気にしないです。本気で来てくれる子には本気でちゃんと考えます…。一度、自分からご飯に誘った子がいたんです。まだ好きとかじゃなくて、どんな感じの子なんだろーと思って。で、ご飯に行ったんだけど、その一回の食事で向こうがかなり本気モードになったみたいで。その日を境に連絡バンバン来るようになったんです。自分から誘ったのに悪いけど、ちょっと引いちゃって、一定の距離を保つようにしました。でもすごくいい子だから、仲間内である時には必ず彼女を誘っています。2人でご飯ってやっぱりめんどくさいですね(笑)みんなでワイワイしてる方がいいです。
「モテそう」ってある意味残酷な言葉ですよね。「モテそう」ですもんね。実際モテてないんですから。誰?誰からモテてんの?紹介してよその子!!って感じ。
2人でご飯に誘ったらloveのサインになっちゃうの?そうなると、そうそうご飯に誘えないですね。たとえば「2回目の食事には意味がある」とか「手作りお菓子をプレゼントしたら”あなたに気があります”」みたいな暗黙のルールがあれば、あれこれ考えずにスムーズに行くのかしら?
乗り換え女とあいまい女が出会ったら
パターンその1~イズミとアオイ~
ここは新宿2丁目のとあるレズビアンバー。
今夜は週初めでお客もまばら。カウンターには2人の女性しかいませんでした。
カウンターの真ん中に座るイズミは、タイプの女性に出会うとすぐ好きになってしまう惚れっぽい性格でした。最近まで片思いしていた女性がいたのですが、”先客”に横取りされてしまいました。「あなたの幸せを祈ってるよ」なんて笑顔作って言った自分が情けなくて、ふらりと馴染みの店にやって来たのでした。
イズミ「あーあ。可愛い子はすぐ売れちゃうなー」
はぁー、と大きなため息をするイズミ。
ママ「イズミちゃーん、女は顔だけじゃないよ。はい、どうぞ。」
ママが呆れながら、ジントニックの入ったグラスを置きます。彼女もイズミの面食いは承知の上です。
アオイ「っていうかその子のこと、本気じゃなかったんですよ。」
突然会話に入ってきたのが、アオイでした。アオイはカウンターの一番端から、イズミの話をじっと聞いていました。
「いきなりごめんね、」と付け加えると、アオイは自分のことを話し始めました。
アオイには「いいな」と思う人がたくさんいて、けれど誰と付き合うわけでもなく、その時を楽しく過ごすことだけを考えていました。
”誰にでもいい顔をするから”という理由で、アオイは一部のビアンたちから嫌われていました。
アオイ「わたしは、きっと一番好きな人を決められない。決めたくないんだと思う。」
イズミ「一番好きな人を決めたくないの?どうして?」
アオイ「誰かにとられたら悔しいから。わたしじゃない誰かを好きになったら悲しいから、かな。」
自嘲的な笑みを浮かべながら、アオイは答えます。
イズミ「わたしは一番決められるよ。一番の子しか口説かない。片思いしてた子が一番だったから、その子にガンバってアピールしてたし。」
イズミはアオイの反応を待ちながらグラスをあおります。
アオイは少し考えてから、「ママ、シャンディーガフおかわり」と小さな声で言うと、座っていた席を立ち、イズミの隣にやって来ました。
アオイ「でも、肝心な行動は何もしなかったでしょ。本気で好きなら、フラれる覚悟もした上でちゃんと告白したんじゃない?イズミちゃんは、その子に受け入れてもらう自信がなかったんじゃないかな?」
イズミは、自分でも無意識に隠していた本心を見抜かれたような気がしました。
イズミ「…かもしれない。わたし、告白してフラれるのが怖かったから、あの子が誰かに持っていかれるの待ってたんだよ。その程度だった。」
イズミは、ジントニックの最後の一口を流し込み、グラスの底に残ったライムの香りを思いっきり吸い込みました。グラスを置き、深く息を吐くと、不思議ほどすっきりした気持ちになりました。
イズミは思いました。
アオイ「ちゃんと好きになれる人が現れるといいね。」
イズミ「じゃあさ、わたしがアオイちゃんの一番になろうかな。」
ちょっとタイプだし、と言いかけたところで、じろりとアオイに睨まれました。
アオイ「イズミちゃんって図太いね。そうやって簡単に気移りするから誰とも上手くいかないんだよ。5分前まで別の子のことが好きだったくせに。」
イズミ「そういうアオイちゃんは、人間不信すぎると思うよ。もっと理屈抜きで恋愛した方がいいよ。」
アオイ「もう一杯飲む?奢るってあげるよ。失恋記念(笑)」
イズミ「うっさいなー!」
2人は仲の良い親友になりましたとさ。