新宿二丁目が存続の危機にある理由

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ゴミに騒音…新宿2丁目は問題が山積!

8月半ばに開催された新宿2丁目のストリートフェスティバル「第16回東京レインボー祭り」は大盛況のうちに幕を閉じました。しかし、お祭りの最後に主催の新宿2丁目振興会会長のtoshiさんは、こんなことを集まった人に語りかけていました。
「最近の二丁目の風紀やゴミ問題、特に週末の騒音やゴミの放置など目に余る状態に振興会も頭を痛めております。このままでは、お祭りはもちろん、二丁目存続の危機へと繋がって行くのではと危惧しております。二丁目の未来の為に振興会では少しずつでもよりよい街作りを目指し、まずは新宿公園の週末清掃活動から始めることを予定しています。世界有数のゲイタウン新宿二丁目が、世界に誇れるゲイタウンへと進化していくためにも、少しずつでも構いません。新宿二丁目を愛して下さる皆様のご協力を、ぜひぜひよろしくお願い致します」

二丁目存続の危機! 新宿二丁目で働き、二丁目を愛している人たちが抱く将来への危惧とは何なのか、その真相を探って行きましょう。

新宿2丁目は夜の街ではない

新宿二丁目にはLGBT関連のバーやクラブ、飲食店、ショップなどが数百軒も立ち並ぶ、世界でも稀に見るコミュニティ形成されています。そのため、二丁目=夜の街、というイメージで歓楽街として捉えている方がほとんどだと思います。でも、新宿二丁目には昔から暮している方が大勢いらっしゃるし、普通の商店も数多くあり、会社や専門学校などもある、都会のごく普通の街であるのです。新宿2丁目振興会はLGBT関連の飲食店等が集まって作られたものですが、2丁目の住人の方たちで作られた2丁目町会はもっと古くから存在しています。そんな2丁目に、あとからLGBT関連の店が増えてきた、というのが実際のところなのです。
バーや飲食店の数が増えるに連れ、そこから出されるゴミも膨大な量になっていきます。そのため、新宿2丁目では月〜土の毎朝ゴミ収集がなされています。また2丁目の中にある「新宿公園」の清掃も合わせて行われています。
東京レインボー祭りのメイン会場に面した「新宿公園」は数年間閉鎖されていましたが、大改装されて今年4月に再オープンしました。ここは、2丁目唯一の公園であり、昼夜を問わず多くの人が利用しています。明るい時間は、近所の住人の皆さんがお子様を遊ばせている姿もよく見かけます。そして夜になると、2丁目に遊びに来る人が集まってきます。特に土曜日や祝日前の夜になると、公園に集って酒を飲んだり騒いだりする人たちの数は一挙に増えます。遊びに来る人たちは「2丁目=夜の街」と思っていて、そこで暮らす人たちがいる普通の街だという認識はないのでしょう。公園の周囲にもマンションが並んでいるのですが、そんなことはおかまいなしに週末の深夜まで公園で騒いでいる人は少なくありません。そして、呑み食いしたゴミを、公園に放置していくのです。
日祝日は2丁目のゴミ収集も公園の清掃も行われません。そのため、日祝日の公園には、前夜に集まって騒いでいた人たちが放置したゴミが散乱しているのです。2丁目の飲食店が土曜日の営業後に出す(本当は収集日ではないので出してはいけない)大量のゴミと共に、公園に放置されたゴミも大きな問題となっているのです。

日曜日朝の新宿公園のゴミ状況を調べてみた

新宿公園にやってきました

新宿公園にやってきました

8月23日(日)の午前中に、新宿公園に放置されていたゴミを撮影しました。

噴水前の石段に腰掛けて騒いでる人が多いです

噴水前の石段に腰掛けて騒いでる人が多いです

ベンチの周りもこんな状態

ベンチの周りもこんな状態

植え込みの中に捨てて隠してるつもり?

植え込みの中に捨てて隠してるつもり?

コンビニで買ったものはコンビニに捨ててほしい

コンビニで買ったものはコンビニに捨てるべき

こうやってゴミを捨てる人の神経が理解できない

このようにゴミが捨てられています

これはホンの一部にすぎません。公園の隅々(植え込みの中に投げ入れられたり、トイレの中に放置されたりも)にまで大量のゴミが放置されています。
ではどれくらいのゴミが捨てられているのか調べようと、70Lのゴミ袋を買って来てゴミ集めを始めました。すると、「すいません」と若い男性2人(22歳と24歳)が声をかけてきて、ゴミ集めを手伝ってくれたのです。
3人がかりで集めたゴミは70Lのゴミ袋4つになりました。
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手伝ってくれた2人、24歳(左)と22歳(右)

手伝ってくれた2人、24歳(左)と22歳(右)

手伝ってくれた彼らに話を聞くと、東京レインボー祭りに遊びに来て、最後の振興会長さんのお話が印象に残っていた、とのこと。だからといって、積極的に声をかけてゴミ集めを手伝ってくれるなんて、なかなかできることではありません。彼らの心の優しさを感じられて、嬉しくなりました。

2丁目振興会はゴミ問題に取り組んでいきます

新宿2丁目振興会としては、これからどういう形でこの問題に取り組んでいくのか、会長のtoshiさんにうかがいました。
「振興会としても二丁目で気になっているゴミ問題は3点あります。
1.遊びに来た人たちがポイ捨てしていく路上のゴミ
2.朝のゴミ収集がお休みの日祝日に営業が終わった店から出されるゴミ
特に正規のゴミ置き場ではない仲通りにゴミがうずたかく積まれた状態になっています。そうやってゴミが出されている事で、どこかから車で来てゴミを捨てて行く人もいるようです。これは実際に目撃したママが何人もいます。
3.この4月にきれいになった新宿公園で、土曜日や祝日前夜に放置されるゴミ
公園で飲み食いされた大量のゴミが放置されています。公園に関してはゴミの問題だけでなく、周囲に住んでいる人がいるにも関わらず、深夜に飲んで騒いだり、ダンスの練習をしたりと、騒音問題もあるのです。

これらの問題について、新宿2丁目の町会長さんと、2丁目の不動産屋さんのフタミ商事さんと振興会のメンバー数人で今後の取り組みに関して話し合いました。

2つめの、仲通りに出されるゴミに関しては、最初の一歩として「ゴミを出さないでください」という立て看板を立てる事から始めようということになりました。日祝日だけ収集業者さんを頼む、という案も出されましたが、とても予算が折り合わないのです。1つめの路上ゴミとともに、時間をかけて取り組んでいきます。

3つめの公園のゴミが、一番手っ取り早く取り組めると考えています。町会さんと振興会が、新宿区の公園サポーターに登録することにしました。これで掃除道具などを貸してもらえるようになります。土曜の営業明け、日曜の早朝5時くらいから、参加できるメンバーで公園に放置されたゴミ拾いを近々スタートさせることにしています。実際に、2丁目のママ、マスターが参加してゴミ集めをしている姿を見てもらう事で変わっていくことって絶対あると思うんです。

実はかつて振興会では、同じく日曜早朝に仲通りのゴミ拾いをしていたことがあるんです。土曜日の営業が終わらず4~5人しか集まれない時もあれば、営業で飲まされすぎてベロベロになったママが路上で飲んでる若い子に絡んだりとか、色々あったけどあれはやって良かったと思ってます。自分たちが働いている2丁目を、自分たちで守って行く、という意識をみんなに持ってもらうことで、改善されていくことは絶対あると思いますから。

ゴミ問題は時間がかかることですが、振興会ではじっくり腰を据えて取り組んで行きます」

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新宿2丁目振興会の会長toshiさん

新宿2丁目振興会
公式サイト http://www.2-choume.net/
公式twitter @rainbowbow_2013

※画像はすべて独自に撮影したものです。

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3 件のコメント

  • ゴミが出るのは人が集まった結果じゃないだろうか。
    そこでゴミの回収を予算どうのこうので減らしたら溢れかえる。
    人間の数と口の数は一緒だから結局ゴミのいくつく場所と量は同じで、そこで二丁目のゴミが問題で回収が減らされるなら二丁目に人を拒む事と一緒じゃないのか。

    としさんはそれについて考えた事はあるのか。

    二丁目はとても狭いから実際出てるゴミの量を統計で出して他の繁華街と比べて見たらどうだろうか。
    新宿なら歌舞伎町や大久保もあるし3丁目だってある。
    二丁目だけ減らされる理由がどこにあるのだろうか。

  • コンビニが増え、路上でたむろする人が増え、店に入らず公園で酒盛りをして安くすませ、店でお金を遣うことなく、あげく公園にゴミを散らかしたまま帰るなんてことをする輩が増えたのでは、振興会も町会もたまったもんじゃないですね。
    かつての二丁目は通りが静かでも一歩店に入れば大賑わい、二丁目を歩いているところを人に見られては困るとばかりに、そそくさとお目当ての店に入ったものですが。
    二丁目がオープンな街になっていく弊害でしょうか。もう人々のマナーに頼れなくなりましたね。

  • 「新宿二丁目が存続の危機にある理由」といったかなり大仰なタイトルにしてしまったのはいかがなものでしょうか。

    ここでの「理由」とは、要は『二丁目の路上ゴミ、店から出るゴミ、新宿公園ゴミ(と騒音)の多さ』ですね。

    もしかしたらタイトルを素直に読まれる方は「あ、”二丁目が存続の危機にある” のか」と思われてしまうかもしれませんが、本当にいま ”存続の危機にある” かといえば、このままゴミや騒音がさらに増えたら、いずれはそうなる可能性があるかもしれない、くらいではないでしょうか。

    サイトの記事はたくさんの方に読んでもらいたい、だからできるだけ刺激的でキャッチーな言葉を使って、少しでもたくさんクリックしてもらいたい、という気持ちはわからなくもないのですが、嘘はよくありません。

    記事の冒頭のほうにある文章からの引用ですが

    『このままでは、お祭りはもちろん、二丁目存続の危機へと繋がって行くのではと危惧しております。』

    これです。これ。
    「存続の危機へと繋がって行くのではという危惧」
    (この時点ではまだ”存続の危機にある”とはいえません)

    もしこの記事にタイトルをつけるなら
    「新宿二丁目を存続の危機に晒しかねない問題」
    「新宿二丁目の存続を脅かしている大量ゴミと騒音」
    あたりでしょうか。

    ゴミ問題は二丁目に限らず、飲食店街や商店街やさまざまな公園で起きています。地味な作業ですし、時間はかかりますが、いろいろな対処法を調べてみてはいかがでしょうか。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    いたる

    LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964