精神科医ロバート・スピッツァー氏が死去ー同性愛の精神疾患からの除外に大きく貢献

robert spitzer

ロバート・スピッツァー氏が83歳で死去

同性愛が病気とみなされていた時代に、同性愛は病気ではないと訴え、病気項目からの削除を成し遂げた米国の精神科医、ロバート・スピッツァー(Robert Spitzer)氏が、83歳でこの世を去ったという。彼は「もっとも影響力のある精神科医」として、その功績を高く評価されている。

同性愛を精神疾患から除外

「同性愛は精神的な病ではない」ということを訴え、貢献してきたロバート・スピッツァー氏が、12月25日に亡くなったという。83歳だった。

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AP通信によると、スピッツァー氏は、全ての主要な障害が一覧になっている本『精神疾患の診断・統計の手引き(DSM)』の編集に何度も関わってきた。その編集過程に、彼の成し遂げてきた偉業のひとつが認められる。

DSM‐Ⅱまでは、同性愛は「精神病」であると判断されていた。そんな中、1973年に、スピッツァー氏はたくさんの同性愛者の活動家らとともにミーティングを行った。その後、DSM-Ⅲでの精神疾患分類からの同性愛の項目削除を強く要求し、それを実現させた。

彼は、同性愛者であっても、彼ら自身が自らのセクシャリティに問題を抱えていないとしたら、同性に惹かれること自体は精神障害とみなすことはできないと論じていた。その代わり、1980年に出版されたDSM-Ⅲでは、彼は削除に反対する人との妥協案として、同性愛者であることを望まずに苦悩する同性愛者の項目を作ったという。

精神医学界からの評価

ゲイの精神分析医であるジャック・ドレッシャー(Jack Drescher)氏は、ニューヨークタイムズでスピッツァー氏が同性愛を精神疾患項目から削除するよう要求し、それが実現したことは、同性愛者の権利を獲得するにあたってとても大きな意味があったと語る。

「現在、同性婚が認められているという事実は、一部にはスピッツァー氏によるところがあります。」

と彼は話した。

精神医学者でスピッツァー氏同様、DSMの編集にも関わったデューク大学の名誉教授アレン・フランシス(Allen Frances)氏は、

「スピッツァーは、彼が活躍していた時代、群を抜いて最も影響力のある精神科医だった。」

と彼の活躍を称えた。

同性愛の転向療法について

一方で、2001年にスピッツァー氏は、同性愛者が強く望めばセクシャリティを変えることができるとして、いわゆる同性愛者を異性愛者に「治す」ための転換療法を支持する論文を発表していた。しかし、ニューヨークタイムズによると、2012年に彼はこの論文について謝罪したという。

「(この研究についての)コメントを読んだところ、私はこれには問題が、大きな問題があることに気付きました。そして、私には答えられない疑問があることに気付いたのです。

彼は、『あなたはどうやって誰か(のセクシャリティ)が本当に変わったと判断できるのですか?』」という質問を受け、転向療法を受けた人に対して、単に性的指向が変わったかどうかを尋ねるだけではその効果の立証には不十分であると、その論文の間違いを認め、考えを改めたという。

画像出典:AP通信

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