「人は、セクシャル・アイデンティティのみによって判断されるべきではない」
Pink Newsによれば、カトリック教会の総大司教であるローマ法王が、新しく出版される本の中でカトリック教会はLGBTをもっと迎え入れるべきだと訴えたという。
「Who am I to judge」の発言について
ローマ法王は「The Name of God is Mercy(直訳:神の名前は慈しみ)」という本の中で、“傷ついた人々”に対して教会がもっと思いやりを持つべきだと説いた。法王は、同性愛者について「Who am I to judge(私に裁くことができようか)」と言った時のことを、何度も繰り返し述べている。
このて「Who am I to judge」というのは、現法王が法王に就任した直後の2013年の発言だ。この発言によって、同性愛者を排除しない意向を明らかにしていた。また法王はこの本の中で
「人は、セクシャル・アイデンティティのみによって判断されるべきではない。」
と記している。
「教会は人々を非難するために存在しているのではない」
この本は、カトリック信徒が許しを求め同時に他人を許すことを求められる年である、「いつくしみの特別聖年」に合わせて、1月12日に出版される。
本来であれば「聖年」は25年に一度(元々は50年に一度)開催される。しかし、昨年3月に法王が2015年12月8日から2016年11月20日までを「いつくしみの特別聖年」とすると呼びかけたため、この「特別聖年」が行われる。
本の中で、法王は以下のように述べている。
「教会は人々を非難するためではなく、神の慈しみによる心からの愛情との出会いをもたらすために存在しているのだ。」
「慈悲の心が傷つけられている、深く傷つけられている。」
また法王は、自分たちが現実やさらに偉大な愛や高い基準に驚かなくて済む代わりに、十分に知らないままに決められた考えや儀式の純潔さばかりに物事を当てはめようとしてきた教会の人たちを非難している。
これまでのフランシスコ法王の同性愛に関する発言
現在のフランシスコ法王は、歴代の法王と比較しても、LGBTに関連する課題解決を迎え入れる姿勢が見られる。上で触れた就任直後の「Who am I to judge」という発言以外にも、2014年のシノドス(世界代表司教会議)の臨時総会では、
「カトリック教会は変化を恐れてはいけない」
と述べ、同性愛を許容する立場を明らかにしていた。
しかし、同性愛は罪ではないとする一方で、同性婚などそれ以上の取り組みには後ろ向きだ。2015年9月に法王が米国に訪問した際には、
「家族は国家を持続させていくのに不可欠であり、再生産の機能を果たすべきであるが、現在は今までにないほどその地位が脅かされている」
「家族は子孫繁栄に貢献すべきだ」
などと発言し、結婚は男女間でなされるべきだとの考えを強調していた。
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