ポケモンGOは新たな出会いアイテムになりうるのか?

街のあちこちでスマホを見ながら歩いている人が無数にいたり、特定の場所に昼夜を問わず人々が群がっていたり。
2016年7月22日(金)から、こんな光景を見るのが当たり前になっています。
ポケモンGOへの熱狂ぶり、凄いですね。

かくいう僕も、すっかりハマっているうちの1人です。
日本より2週間前にリリースされたアメリカでの熱狂ぶりがツイッターで流れてくる中で、実際の景色の中にピカチュウがいる画像がありました。
それを見た瞬間に「これは面白そうだ。日本でリリースされたら、ひとまずやってみるか」と、考えたのです。

とはいえ、51年間生きてきてハマったといえるゲームはテトリスくらいしかないゲーム音痴。
ポケモンに関しては、ピカチュウしか名前を知らない基礎知識ゼロ状態です。
「こんなんで楽しめるのかな?」
と思いつつ配信直後にダウンロードしてみたところ、いやあこれが面白い。

ポケモンGOを始めた直後は、こんな風に1人ではしゃぎまくっていました。
そして、翌日は新宿御苑に行き、こんなツイートを。

もうね、完全にハマっていますね。

連日ニュースで取り上げられるほど多くの人が共有して熱狂しているゲームですから、当然、セクシャル・マイノリティのユーザーだって少なくないはずです。
特に、セクシャル・マイノリティにとって配慮がある設定が話題になっています。
その設定とは、

ゲーム中の自分のキャラクター(アバター)を選択する時に、性別ではなくスタイルを選ぶ、というもの。海外での先行リリース時より話題になっていたこの設定によって、性別選択というストレスを感じないで済む当事者は少なくないでしょう。

さて、この大ブームっぷりを見ると、

多くの人がやっている = 出会いアイテムとして使えないか?

と考えてしまうのは、ゲイの出会いとアダルト・エンターテインメントを20年間ずーっと考えて来た、元ゲイ雑誌編集長ゆえの性(さが)。

そこで今回は、ゲーム音痴の50代のオッサンでもすっかり「ポケモンGO」にハマってしまった理由と、「ポケモンGO」がセクシャル・マイノリティにとっての出会いアイテムになりうるか、ということを考えてみようと思います。

話の流れはこんな感じです。


1)ゲームに興味がない人でもハマるポケモンGOの特徴
2)SNSで語ることで、出会うキッカケが作れるのでは?
3)屋外での行動なので、一緒に遊ぼう! と誘いやすいはず
4)一人ではできない究極の記念写真を撮ろう、が誘い文句に?
5)ソロ・プレーヤー同士、街中で気楽に声かけてしまおう!

では、さっそく1)から始めましょう。

1)ゲームに興味がない人でもハマるポケモンGOの特徴

まだ「ポケモンGO」をご存知ない方に、本当にざっくりとこのゲームを説明すると、

街中をひたすら歩き回って、ポケモンを捕まえるための道具を入手し、そして随所に表れるポケモンを捕獲していく

という内容です。

集めたポケモンを進化&強化させていくとか、あちこちに設置されているポケモン・ジムで闘わせるとか、集めたポケモンを交換する(近日予定されているバージョンアップで組込まれる予定)とか、色々な要素はあるのですが、詳細は公式サイトをご参照いただくとして。

ゲームというと室内にこもって楽しむ、どちらかというと不健康なイメージで捉えられがちなものですが、ポケモンGOは違います。
アイテムを手に入れるためにも、またポケモンと遭遇するためにも、屋外を歩き回らない限りゲームを進行させることはできないのです。
つまりゲームにハマればハマるほど、運動量が増していくということです。
なんて健康的なのでしょう。

ちなみに僕はダウンロードした初日10km以上歩き回り、下半身がズーンと重たいまま寝てしまったら、起床前に脹ら脛がつってしまいました。
それ以降、寝る前にはストレッチするのが習慣になりました。
なんて健康的。

この歩き回らなければならないというゲームの特性は、世代を超えて受け入れられる可能性が高いのです。
健康のためにウォーキングや散歩を日課としている中高年はもちろんのこと、糖尿病予防やダイエットのために運動をしなければならない人にとっても楽しみながら長い距離を歩くポケモンGOは最適ですから。

2)SNSで語ることで、出会うキッカケが作れるのでは?

新宿2丁目のとあるミックス(セクシャリティはフリー)のゲイバーで、ポケモンGOを始めたばかりで飲みながらもゲームに興じるストレートの女性客に、ゲイが知ってる情報を色々と教えている場面に遭遇しました。
その時の様子が実に和やか、かつ楽しそうで。
ブームになって多くの人が楽しんでいるということは、それに関して話をしたい人もまた多いんだなあと実感した次第。

ということで、貴方がTwitterやFacebook、mixi、ブログ、はたまた出会い系アプリなどを使っているのでしたら、ポケモンGOをやっていると書いてアピールしちゃいましょう。
同じことに興味がある人には、リプやメッセージを送ってカラミたくなるってものです。
もちろん貴方が気になっている人にリプやメッセージを送っちゃうのもありですよね。

あくまでポケモンGOのネタなのですから下心は巧く隠して、気負わずリラックスして出会いのきっかけを作れるのは最高じゃないですか?

3)屋外での行動なので、一緒に遊ぼう! と誘いやすいはず

ポケモンGOの、【屋外を歩き回らないとゲームが成立しない】という特性を利用して、気になる人をデートに誘うってのはいかがでしょうか?
ゲームのために自宅に誘うとか、相手の家にお邪魔する、なんてのは仲良くなってからじゃないとかなりハードルが高いものです。
でも、ポケモンGOは屋外を歩き回るものです。
デートとしてはとても健康的だし、誘うのも気が楽じゃないですか?

新宿御苑にピカチュウがよく出現して「ピカチュウの巣」と呼ばれているのと同じように、有名な公園などには「●●の巣」と呼ばれるところがたくさんあります。
気になるお相手がまだつかまえていないポケモンを聞き出して
「今度の週末、■■公園に●●をつかまえに行かない?」
と誘ってみませんか。

もちろんポケモンGOを一緒にするわけですが、暑い中歩き回って汗をかいて涼しいカフェでお茶しながら一休みとか、美味しいランチを一緒に、なんてのも楽しいですね。
最初から
「暑い日だから汗かくよね〜、終わったらスパ銭でも行こうよ」
と誘っておいて、裸のつきあい(健康的な意味で)に持ち込むなんてのもありです。

4)一人ではできない究極の記念写真を撮ろう、は最強の誘い文句

ポケモンGOで楽しいのは、好きなポケモンが現れた時に写真を撮る機能がついていることです。
かくいう僕もピカチュウが現れた時は、ニコニコしながら撮影して悦に入ってました。

最初は、好きなポケモンが景色の中に現れた画像を撮影するだけで楽しかったのです。
しかし、Twitterに流れて来るのは、ポケモンと一緒に写っている人たちの画像の数々。
こればっかりは、自撮り棒使ったり、タイマー使ったりして撮影するのは無理。
誰かに撮ってもらうしかないのです。

「あ〜、●●(←ポケモンの名前、僕ならピカチュウ)と写真撮りたい」
一人でポケモンGOを楽しんでいるソロ・プレーヤーはみんな同じことを考えているはずです。

「好きなポケモンが出てきたら、お互いに写真撮り合おうよ!」
この誘い文句、かなり効果的です。

5)ソロ・プレーヤー同士、街中で気楽に声かけてしまおう!

SNSにポケモンGOをやっていることを書き込むことから誘うキッカケ作りをという提案してきました。
でも、声かけのキッカケ作りならば1人で遊んでいるソロ・プレーヤー同士にだって応用は可能です。

何もない状態で、いきなり街中で声かけるのってとってもハードルが高いものですよね。
でも同じゲームをやっている同士なら、案外気楽に声かけられるものです。

「ポケモンやってるの?」
「この辺で何か(ポケモン)つかまえた?」
「今、レベルどれくらい?」

なんて、軽く声かければ、相手も身構えないで話にのってくる可能性大きいです。

それって、ストレートがやるナンパじゃない、そう思いましたか?
まさに、ナンパです。
ストレートと違って、セクシャル・マイノリティが街中でナンパする機会ってそうそうないもんです。
でも、ポケモンGOを媒介にすれば、当事者にとってハードルの高いナンパだって気軽にできてしまうかもしれません。
一人で寡黙に遊んでいるソロ・プレーヤーは、実は誰かと楽しみを共有したい気持ちをもっているものですから。

上記4)の
「好きなポケモンが出てきたら、お互いに写真撮り合おうよ!」
というのは、特に効果的。
ソロ・プレーヤー同士、一緒に行動しながら色々話して仲良くなるキッカケ作りにしてみませんか?

まだポケモンGOを始めていない方も、ぜひ出会いのキッカケ作りも兼ねて始めてみては如何でしょうか?
この夏、日本各地の公園などには、驚くほど出会いのチャンスが転がっているのですから。

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ABOUTこの記事をかいた人

いたる

LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964