話題の漫画発売!タイでの性別適合手術ドキュメント〜僕が私になるために・平沢ゆうな

これは大きな出来事です

今年3月から「モーニング」誌(講談社)
で短期集中連載された、
平沢ゆうな氏の漫画「僕が私になるために」
のコミックスが2016年6月23日に発売されました。

メジャー青年漫画誌「モーニング」で、
性別適合手術のドキュメント漫画が連載され、
しかもコミックスまで発売される。

これは、今年上半期の最後を飾る
インパクトのあるトピック
だといえるでしょう。

コミックスのコピーは

元男性の作者による性別適合手術の赤裸々体験記
なりたい自分になるまでは長く険しい道が待っている!

この作品は、平沢ゆうな氏が性適合手術を受けるために
バンコクに向うところからスタートし、
「モーニング」誌では七話まで連載されました。
コミックスには、描きおろし新作第八話も掲載されています。

また平沢ゆうな氏はコミックス発売に辺り、
描きおろしノンフィクション漫画
「僕が私になるためにextra/性の境界線」
も発表しました。

「僕が私になるために」の第一話と、
描きおろしノンフィクション漫画「性の境界線」は
モーニンング・イブニング・アフタヌーン三誌の
合同Webコミックサイト”モアイ”
無料で試し読みが出来ます

「僕が私になるために」第一話試し読み
描きおろしノンフィクション「僕が私になるためにextra/性の境界線」 

衝撃の手術内容も明るく描く

著者である平沢ゆうな氏は
性同一性障害(GID)当事者であり、
性適合手術体験者。
だからこそ描くことのできたのが、
このドキュメント漫画です。

当事者にしか分からない心の動き、葛藤、
体験者でしか知り得ない手術前後の心情や、
術後に襲って来る痛み
などが、
実にリアルかつ詳細に描かれています。

とはいえ、絵柄と著者の個性ゆえか、
あくまでトーンは明るくコミカルなので、
決して深刻な印象は残りません。

性別適合手術に興味をもって
詳しく調べた人以外は知り得ない
女性器を形成する過程も
身近な食べ物を使って
驚くほど明るくあっけらかんと描いています。

コミックスを購入した方は、
ぜひカバーを外して表紙と裏表紙に
何が印刷されているか
も確認してください。

理解することが共感の始まり

僕は長年ゲイ雑誌の仕事をしていました。
当時は、周囲にはゲイの人ばかりだし、
読者さんも大半はゲイですから、
触れる情報の範囲が非常に狭かったのです。

LETIBEE LIFEで記事を書くようになり
様々なセクシャリティの方と話をする機会が増えて、
当たり前のことに今さら気づかされたのです。
それは

同じセクシャルマイノリティであっても、
隣のセクシャリティのことはほとんど知らない

ということです。

当事者のみなさんは実感されているでしょうが
セクシャルマイノリティの中でも、
セクシャリティ間の壁って存外高いですよね。

これは何よりも、お互いのことを知らないのが
原因だと思っています。

LGBTへの理解をストレートの人たちに広める以前に
セクシャルマイノリティ同士で、お互いへの理解を
深めなければ始まらないのでは、と考えていました。

僕自身、性別適合手術に関しては、
ストレートの男性と同じくらい、かなりぼんやりした
イメージしか持っていませんでした。
ましてや手術前後の心情など
イメージすることすらなかったです。

この作品は、そんな僕に、
手術の詳細や、手術を受ける人の心情,
手術後に待ち受けている大変なことなど
コミカルにかつ分かりやすく教えてくれました。

それを理解したことで、僕はますます
GID(性同一性障害)の方と話してみたい
と思うようになりました。

本当に些細なことだけれども、
個人個人の理解が深まっていくことのきっかけを
この漫画は作りうる力を持っていると思います。

その実例として、
この作品に関するネット上の反響を
次にご紹介します。

連載中から大反響!

モーニング誌連載開始当初から、
セクシャリティは関係なく
多くの反響を呼びました。

twitterで呟かれた多くの反響の
一部をご紹介します。

モーニング誌は
メジャー青年漫画誌の中では
もっとも意欲的に
セクシャルマイノリティを題材として
とりあげてきました。

2006年には、政治家一家を舞台に
FTMの子どもを主人公
にした
「GID」(庄司陽子・作)を連載。

また現在は、
食をテーマにゲイカップルの日常を描く
「きのう何食べた?」(よしながふみ・作)
を不定期連載中。

モーニング誌
これからどのような題材を
とりあげていくのかにも注目しましょう。

僕が私になるために 平沢ゆうな モーニングKC・2616 講談社

僕が私になるために
平沢ゆうな
モーニングKC・2616
講談社

画像引用元 http://charisthailand.seesaa.net/article/421858944.html http://www.yanagawa-hsp.jp/facilities/3f.html https://www.tripadvisor.co.uk/Hotels-g293916-Bangkok-Hotels.html

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ABOUTこの記事をかいた人

いたる

LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964