「ファーストゲイジェネレーション」
「ファーストゲイジェネレーション」という言葉を聞いたことがあるだろうか。日本の現在の40代のセクシュアルマイノリティを表す言葉である。今まで日本ではセクシュアルマイノリティだとしてもそれを隠して偽造結婚することが当たり前だったが、現在の40代のLGBTは、日本で初めて、偽造結婚をせず、自らを隠さずセクシュアルマイノリティとして生きていくことを決め、生きている人たちなのである。
そういった背景があるため、日本ではLGBTが老後にどう生きていくか、ロールモデルとなる人がなかなか存在しない。しかし、対策を考えておくことはできる。ABC NEWSにて、「同性カップルが退職後も生きていくためのヒント」という記事が掲載されており、日本のLGBTにとっても参考になる情報が掲載されている。
Financial tips for same-sex couples
LGBT はストレートよりも老後を考えていない傾向
Associated Press-NORC Center for Public Affairs Research という研究所によると、ゲイやレズビアンの人々は、仕事から退職する際に、ストレートの人々と比較して、必要な資金的な準備を事前に行っていないそうだ。
LGBT の大人は、退職時の貯金が少なく、かつ(独り身が多いので)配偶者に助けてもらいにくいという傾向がある。LGBTは、歳をとった時に助けてくれる自分の子どもがいない人がほとんどなので、ストレートよりもより真剣に、長期にわたってどう生きていくかを考えなければならない。
しかし、事前にできることはある。
以下にウェブサイトに掲載されていたものを、日本に当てはめながら記載する。
LGBT が老後も生きるための6つのヒント
1. 自分がいる地域の法律をよく知ること
記事では、「アメリカでは50もある州のうち35の州は同性婚を認めている。同性婚ができるかどうかは生活を考える上で非常に重要で、同性婚が禁止されている所で生活しようとするのなら、婚姻によって得られる社会保障をまったく受けられないということを理解して生活すること」と記載されている。(※2015年8月現在、アメリカでは実質全州で同性婚が合法化している)
現在、日本ではどこにおいても同性婚は認められていない。そのため、日本人がこのヒントに沿った行動をするのならば、「同性婚のできる国へ移住する」か、「日本において同性婚を可能にするために行動する」などがあげられるだろう。
2. 自分が働いている組織のポリシーを改めてチェックすること
あなたが働いている組織では、セクシュアルマイノリティに対してどのようなポリシーを掲げているだろうか?セクシュアル・マイノリティに優しい環境を準備している組織で働くと、トランスジェンダーは、ホルモン治療に関して組織から配慮をしてもらうことができたり、同性カップルにも異性カップルと同じような保障を準備してもらうことができる。日本だと、主に外資系企業に、セクシュアルマイノリティへの差別を禁止している組織が多い。
3. 長期を見据えた保険を準備しておくこと
子どものいない人にとって、老後の時にかかるお金は決して安くない。日本の財政を考えると、今から30年後に現在の介護制度が残っているかと考えると疑問符が残るため、自力で生き残る方法を考えておかなければならない。そのために、ファイナンシャルプランナーと積立型の保険を活用すること。長期にわたって事前に資金繰りをプロに考えてもらい、保険を使うことで、必要な金額をちゃんと働ける今のうちから準備しておくこと。
4. 遺産を誰に相続するのか、書面で明確にしておくこと
自分が亡くなった時や、自己判断ができないような障害を抱えた時に誰のもとに自分の貯金や資産が相続されるのか、しっかり理解しておくこと。もしパートナーがいて、同性婚のできない地域にいるのであれば、ファイナンシャルプランナーや行政書士・弁護士などを活用して自分たちをお金の面で守ることができるような法的書類をしっかり作っておくこと。
5. とにかく貯金すること
少なくとも年収の10%は、消費に使ってはいけない。最低でも年収の10%は貯金に回すこと。
6. 可能であれば、結婚すること
同性カップルは婚姻関係を結ぶことで、様々な社会保障を受けることができる。経済的な不安を解消するために、遅いよりかは、早めに結婚した方が良い。日本は米国と違って婚姻関係を結べないため、1 であげたのと同様、「同性婚のできる国へ移住する」か、「日本において同性婚を可能にするために行動する」ことが次の行動としてあげられるだろう。