性転換手術をしたい?トランスジェンダーの戸籍変更にまつわる3つのハードル

Gender Identity Disorder

性同一性障害診断からの戸籍変更

日本では2003年に『性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律』という法律が成立し、性別の変更が可能になりました。2015年11月現在までで、約5000人以上が性別変更をしています。また、変更者数は年々増加傾向にあります。「そんなに簡単に変更できるものなの?」その疑問に、ぼくの経験(女性から男性に戸籍変更をしました)からお答えします!

性別変更のための5つの条件

法律は難しい。。と頭を抱えてしまう人もいますよね。確かに法律の文章を読んでいると難しい言葉が多いです。しかし、性別変更のための条件は、実は下記の5つだけなのです。

  1. 20歳以上であること
  2. 婚姻していないこと
  3. 未成年の子がいないこと
  4. 生殖機能がないこと
  5. 変更後の性別がもつ性器に似ている部分があること

このすべてを満たす必要があります。1.2.3の条件は理解しやすいものですね。2.3については、やむを得ずヘテロ結婚をした人がぶつかる壁です。ここでは特に4.5における3つのハードルについて触れていきます。

1. 性別適合手術の壁

先ほどあげた5つの条件の中にあった

  • 生殖機能がないこと
  • 変更後の性別がもつ性器に似ている部分があること

という条件は、性別適合手術が必要ということです。FTM(女性から男性への性転換)の場合、性別適合手術とは子宮卵巣摘出〜陰茎形成までを指します。ホルモン治療や乳腺摘出手術では条件を満たせないのです。少なくとも子宮卵巣摘出手術が必須です。
ホルモン注射や乳腺摘出手術には『性同一性障害の診断書』が必要がない場合がありますが、性別適合手術に含まれる子宮卵巣摘出手術には国内・海外ともに診断書が必要です。10年前とは違い、ここ数年で診断書の取得は難しくなくなってきています。(詳しい診断書の取取得方法などはまた別の機会にご紹介できればと思います!)

生殖器を取り除くということへの恐怖や、金銭的にも多大な負担が掛かります。また日本国内で手術できる病院も少ないので、海外(多くはタイ)で手術をしなくてはなりません。結構、いろいろと不安になりますよね。

2. カミングアウトの壁

戸籍の性別を変更してからの話になりますが…公式な書類などの性別変更の届け出をする必要があります。

実はその際に、いたるところでカミングアウトの必要性が出てくるのです。
運転免許証や健康保険証、国民年金手帳の再交付には診断書の写しを提出します。また、職場や学校などにもカミングアウトしなければなりません。

ぼくは必要であればトランスジェンダーであることをカミングアウトして、戸籍の性別が変わった旨を伝えることが日常的にあります。そうしなければ、誤解をまねくこともあるからです。社会の中で完全に埋没して生活したいトランスジェンダーにしてみたら、せっかく戸籍を変えたのにバレたらどうしよう…という不安を抱えることになるかもしれません。

3. 時間と精神的ストレスという壁

性別適合手術は、思い立ってすぐにできるものではないですし、手術の前後に揃えなければいけない診断書や書類が多く、病院や裁判所で手続きをしたりと面倒な事務作業をこなさなければなりません。地方に住んでいる人なら移動の手間もかかります。そのために職場に休みを申請したり、長期休暇をもらったりしないといけません。時間とストレスがかかり、焦ってしまう人も多くいます。他人に流されずに自分のペースで進んでいくという強い意思が必要です。

重要なことは、目的意識を持つこと

周りのトランスジェンダーの友人がどんどん性別変更していく中で、焦る人も多いかもしれません。
ただ…

「なぜ、自分は戸籍の性別を変えたいのか?」
「人生はどう変化するのか?何をしたいのか?」
という大きな視野で目的意識を持つことが大事です。
ぼくは性別適合手術&戸籍の性別変更を終えてすぐ、燃え尽き症候群になってしまいました。「必死にお金貯めて手術して戸籍の性別も無事変わったけど、さて、これからどう生きようか?」と、数年間悩んでしまったのです。せっかく公的に望みの性別として生きていけるようになったのなら、その後の人生の目的や生きがいをもっと考えておけば良かったと感じています。壁を越えた先を見通しておくことはとても大切なことなのです。

全国的にも事例数が増えたことで、これから法律の条件が変わっていくかもしれません。最近では、戸籍の性別ではなく本人がどのような性別で生きたいのかを尊重してくれる職場や学校も増えてきています。これからはトランスジェンダーがより生きやすい環境が整えられて、『戸籍を変えなければならない』という観念から解放される社会になるかもしれませんね!

壁を越えるのか、越えないのか。より自分らしく生きられる選択をしていきましょう!

画像出典:26 Remarkable Portraits Of Gender Reassignment In Cuba

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ABOUTこの記事をかいた人

猫と自転車と珈琲が好き! 1987年生まれ、宮城県出身。トランスジェンダー(FtM)。 2010年性別適合手術、2011年戸籍の性別訂正完了。 女子高出身、大学浪人、フリーター、東日本大震災の被災者支援。 現在、佐渡島の大自然の中で学生してます。