【連続アンケート企画】LGBTと家族 その1〜私と家族の関係〜

切っても切れない関係。それが家族の絆です。

自分のセクシャリティに気づいた時、驚きや不安と共に
「家族にどう話せばいいのだろうか?」
「家族には絶対秘密にしなきゃ」
そんな相反する思いを抱いた方も少なくないでしょう。

この「LGBTと家族」は、
セクシャル・マイノリティの家族への考え方、関わり方を
より多くの方へのアンケートから探っていこうという企画です。

様々な方の体験したこと、考えたことの中には
あなたが共感できる事例も見つかるかもしれません。

※「LGBTと家族」では、様々なセクシャリティの様々な世代の皆様の家族との関わりをご紹介したいと考えています。セクシャル・マイノリティの皆様、是非アンケートにご協力ください。
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LGBTと家族No.001
経済的に自立できた時に家族に話したい

ゲイ(23歳)家族構成:母、姉2人、長男(自分)

Q, 自分のセクシャリティを自覚したのは何歳の頃でしたか?
ゲイだと自覚したのは18歳ごろでした。それまでも男性に惹かれることは多々ありましたが、セクシャリティに関する知識が入手しにくい環境(田舎で、なおかつ保健の授業も異性愛前提のもの)だったためか、高校1年ぐらいまでは自身のセクシャリティを「トランスジェンダー」だと考えていました(「男性に惹かれるんだから自分は女性になりたいんだ!」という発想です……笑)。とはいえ、「女性の服を着たい・メイクをしてみたい」という感情は特になく、「男性が好きだから」という理由だけで勘違いしていたという感じでしょうか。その後、大学入学とともに上京してから環境が一変し、セクシャリティに関する講義を受けたりするなかで「ゲイかも?」と思うようになった、と記憶しています。

Q, 自分のセクシャリティを自覚した当時、どう感じましたか?
ゲイだと自覚した際には、ショックを受けて落ち込んだということはありませんでした。ただ、ぼんやりと不安を抱えていたように思います。特に、自覚したばかりのころは「恋愛・カミングアウト・セックス事情……」などの話題について、気軽に相談できる相手がいなかったため、不安を抱えていました。ただ、トランスジェンダーと思い込んでいたころと比べると「男性としての人生を楽しむ」という前向きな視点を持てるようになったという面もあります。

Q, 自分のセクシャリティを家族の誰かに伝えたことはありますか?
いいえ。
まだそのタイミングではないと感じています。諸事情により、まだ経済的に自立しきれていないのですが、そのことに引け目を感じてしまい、話す気になれません。逆に言うと、自分自身が「自立できた」と感じたときには伝えたいと思っています。

Q. 今後、家族に話す機会があると思いますか?
はい。
経済的に自立できた段階で、きちんと伝えておきたいという気持ちがあります。私は20歳のころに父親を亡くしているのですが、そのときに「話しておいたほうがよかったかもしれない」と感じました。その経験から、せめて母親には伝えたいなと考えています。

Q,セクシャル・マイノリティに関して、あなたの家族の中で印象的なエピソードがあったら教えてください。
私が中学生ぐらいだったころのエピソードです。父親とテレビを観ていた際に、タレントのはるな愛さんが芸を披露するシーンが映りました。セクシャル・マイノリティに対する理解はあまりない父親だったため、どんな反応をするだろうと少しドキドキしていたのですが……しばらくして父親が放ったのは「オカマはアレだけど、この人ぐらい美人だったらいいよな」のひとこと。おいおいビジュアルの問題かよと思いつつ、ヘテロ男性に「美人」と言わせるはるな愛さんってすごい!と感動したのを覚えています(笑)

Q, ご自分の家族に対して感じること、考えていることなどを教えてください。
私自身、精神的に(少しは)自立できたこともあり、家族に対して「もっとこうしてほしい・ああしてほしい」という不満は特にありません。すべてを理解してもらう必要はないし、不可能だと思うからです。ただ時折思うのは「もし自分がゲイでなかったら、家族ともっと腹を割って話せたのではないか」ということです。特に中学・高校ぐらいのころは、自身のセクシャリティに不安を抱えるあまり、家族に対しても壁を作っていたように思います。母親にカミングアウトしたいと考えているのは、そのことを後悔しているからかもしれません。

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 LGBTと家族No.002
諦めにも似た容認をされたような

ゲイ(39歳)家族構成:現在は横浜でダンナと犬一匹。実家は父母のみ、アメリカ人になった姉、同時生産の弟は北海道で不妊治療に勤しんでおります。

Q, 自分のセクシャリティを自覚したのは何歳の頃でしたか?
5〜6歳かなぁ

Q, 自分のセクシャリティを自覚した当時、どう感じましたか?
人には言えないことなのかなぁ・・・と思ってました。

Q, 自分のセクシャリティを家族の誰かに伝えたことはありますか?
はい。
成人直前に母親に。そこから父親と兄弟に。

Q, あなたが伝えた人はどのような反応をしましたか?
「あ、そうなの」程度。
その後も、家族との関係に大きな変化はなし。

Q. あなたが伝えた後に家族から言われた言葉で印象にのこっているものは?
アンタさぁ、一緒に暮らすのは良いけど、別々に暮らしといた方が長続きすると思うわよ。

Q,セクシャル・マイノリティに関して、あなたの家族の中で印象的なエピソードがあったら教えてください。
カミングアウトに対しても「あっそう」で終わるくらいなので、特に波乱もなく。父親は「いずれ治る」信仰でまいった。あとは諦めも含めた容認でした。

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LGBTと家族No.003
動じずに受け入れてくれた母に感謝

バイセクシャル(24歳)家族構成:母一人子一人

Q, 自分のセクシャリティを自覚したのは何歳の頃でしたか?
13歳

Q, 自分のセクシャリティを自覚した当時、どう感じましたか?
あるがままの現実として。特に「いけない気持ちだ」とか「背徳的だ」と思ったことはありません。

Q, 自分のセクシャリティを家族の誰かに伝えたことはありますか?
はい。
2015年、母に。

Q, あなたが伝えた人はどのような反応をしましたか?
母「あんた、ああいう男性と付き合ったらどうなの?」
私「あー、私女性が良いな」
母「まー確かに最近女性の方が輝いてるもんね」
母との関係は、その後も全く何も変わらないです。

Q, ご自分の家族に対して感じること、考えていることなどを教えてください。
全く動じずに受け止めてくれて、感謝しています。

LGBTと家族No.004
カミングアウト後の関わり方に悩んでいる

ゲイ(22歳)家族構成:父、母、妹2人

Q, 自分のセクシャリティを自覚したのは何歳の頃でしたか?
中学生くらい。

Q, 自分のセクシャリティを自覚した当時、どう感じましたか?
その時はバイセクシャルなのだと思いました。男女共に交われるので「お得だ!」と思っていました。なのであまり深刻に感じませんでした。

Q, 自分のセクシャリティを家族の誰かに伝えたことはありますか?
はい。
母親に、今年の9月。

Q, あなたが伝えた人はどのような反応をしましたか?
言葉を失ったあとに笑っていました。
その後、あまり連絡取らなくなりました。

Q. あなたが伝えた後に家族から言われた言葉で印象にのこっているものは?
「小さい頃からナヨナヨしてたもんね」という言葉は印象に残っています。

Q,セクシャル・マイノリティに関して、あなたの家族の中で印象的なエピソードがあったら教えてください。
小学生の頃に父親が「誰と結婚してもいいけど男は連れてくんなよ」と冗談めかして言ったことです。

Q, ご自分の家族に対して感じること、考えていることなどを教えてください。
家族である以上簡単に関係を切れないのがとても面倒に感じてしまいます。まだ両親ともに若く、妹も2人いるのでこの先どのように関わればいいのかいまいち分かりません。

 

※「LGBTと家族」では、様々なセクシャリティの様々な世代の皆様の家族との関わりをご紹介したいと考えています。セクシャル・マイノリティの皆様、是非アンケートにご協力ください。
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ABOUTこの記事をかいた人

いたる

LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964