LGBT超党派議員連盟、法案の取りまとめ作業へ
超党派の議員連盟は会合を開き、同性愛や性同一性障害などLGBTと呼ばれる性的マイノリティーの人たちへの差別を解消するため、早期に法整備を進める必要があるとして、法案の取りまとめ作業に入ると、NHKが報じた。
およそ国会議員約20名が会合に参加
LGBTの差別解消に向けた会合において、与野党含め超党派の国会議員約20名が会合に参加しました。
この中で、議員連盟の会長を務める馳文部科学大臣は「2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前にし、わが国のLGBTに関する課題は国際的にも注目を集めることになる。立法について本格的に検討する段階にあり、超党派で作業を進めていきたい」と述べました。そして、差別を解消するため、早期に法整備を進める必要があるとして、法案を取りまとめる作業チームを立ち上げることを確認しました。
LGBTを巡っては、民主党が、政府や自治体に差別を解消するための基本方針や計画の策定などを義務づける法案の骨子案をまとめるなどしていて、議員連盟は、各党の取り組みも踏まえて作業を急ぐことにしています。
去年から始まっていたLGBTの問題について考える超党派国会議員連盟
LGBTの課題について考える超党派国会議員連盟は、2015年3月17日に初会合を行い、結成されている。
議連は、「多様性のある社会の実現」が狙いとし、性的少数者らからヒアリングを行い、まずは性的少数者が抱える問題点の把握に努める。呼び掛け人は、自民党の馳浩・元文部科学副大臣、公明党の谷合正明参院議員、民主党の細野豪志政調会長ら。
パートナー法ネット共同代表 池田宏氏「純粋に嬉しいことだ」
今回の超党派議員連盟の動きに関して、連盟の提案する施策や法案をチェックする立場を担う”LGBT法連合会”の呼びかけ団体の1つであるパートナー法ネット共同代表の池田宏氏に詳細を伺いました。
– ここまでもいろんなことがあったと察します。まずは、今回の超党派議連と、対応するLGBT法連合会の発足に至るまでの流れをお教え頂けますでしょうか?
我々は、超党派議員連盟結成の以前に、連合体としての政策提言活動を始動させていました。2015年10月の国勢調査に向けて前回2010年の国勢調査までは同性カップル世帯のデータはエラーとして一つの世帯としてカウントされていなかったものを、実態通り世帯としてデータを取ってもらいたいと要請する活動を、パートナー法ネット、共生ネット、EMA日本、レインボー金沢、LOUDの五団体共同で行ったのです。
一方国会では、各党における性的指向・性自認の問題に対する関心の高まりに加え、国際オリンピック委員会が、憲章にて性的指向による差別を禁じると決議した事などが追い風となり、自由民主党馳浩衆議院議員を会長に2015年3月、「LGBTの課題を考える超党派議員連盟」が発足しました。
国勢調査に対する共同での要望行動の結果、団体間の信頼関係が構築できた五団体としては国会に対して連合会の設立準備会を立ち上げ、他団体からの賛同の呼びかけも開始し、LGBT法連合会として2015年4月5日に正式発足をしました。
– そうだったのですね。発足してから今に至るまではどのような活動がありましたか?
今年、2016年の1月27日に、超党派議連としては第六回目の会合がありました。そこで法制化ワーキングチームの結成が決定、翌日の28日に第一回の立法検討ワークチームで議論を開始しました。
また、超党派議連が発足してからの5回の会合においては、有識者を招いての勉強会でしたり、国会図書館からのレクチャーなどが行われたと聞いています。この勉強会の間に、各党が独自の検討を進めたり、多くの国会議員が「LGBT差別解消」を訴えるようになるなど、活発な動きと変化があったと聞いています。
– ありがとうございます。今回の立法作業開始について、池田さん自身はどう思われますか?
立法検討ワーキングチームが生まれ、実際の立法作業に入ったということは、純粋に嬉しいことですね。LGBT法連合は、私たちがまとめた「LGBT差別禁止法」(試案)の成立を求めるために生まれた連合会です。したがって、今後の立法の成り行きを見守るとともに、この私たちの試案に少しでも近い法案が一日も成立することを願っています。
今後の議員連盟や、各党の精力的かつ積極的な議論に期待しています。
– 今回の立法作業がどうなるか、楽しみですね。今後の展望などをお教え頂けますでしょうか?池田さんご自身のご意見をお聞かせください。
今後は、できるだけ早い法案成立に向けて、より一層賛同団体との意見交換などの連携を深め、世論喚起に努めたいと思っています。4月5日で発足一年、またプライドウィークもありますので、さまざまな機会を捉えて世論喚起に努めるために、できるだけ多くの意見交換や情報共有の場をコミュニティ内でも設けていきたいと思っています。2月16日にも、学生×国会議員のイベントを学生中心に議員会館で開催する予定です。ぜひ皆さんにご参加いただきたいと思います。
このような動きを通じて、多くの国会議員のみなさんに、性的指向や性自認の課題に関心を持っていただき、困難を抱えている当事者の意見に耳を傾けていただければと思っています。その意味では、この通常国会が極めて重要であると考えています。