LGBTに薬物・アルコール依存が多いって本当?
QUIT ALCOHOLによれば、LGBTが直面しやすい困難の一つに、ドラッグやアルコールへの“依存”があるという。これに関しては正確な統計が得られているわけではないが、そういったものへの“依存”は人口全体と比較して、LGBTコミュニティでは多く見られる傾向にあると考えられている。
今回の記事では、QUIT ALCOHOLのページを参考に、米国のLGBTの依存とそのサポートについてまとめていく。
LGBTで“依存”する人が多い理由
Kaiser Family Foundationによれば、一日に5杯以上アルコール飲料を飲む人は、ストレート(22%)よりもゲイ(40%)やレズビアン(33%)に多いという。
しかし、なぜLGBTコミュニティでアルコールなどに依存する人が多いのかについての、明確な理由はわかっていない。だが、以下のような理由があると考えられているという。
- LGBTコミュニティ内でのうつ傾向にある人の多さ
- 生きやすいとは言い難い現実から逃避するための手段
- LGBTとして生きることへの罪悪感を和らげるための手段
- LGBT当事者、非当事者のそれぞれの仲間からのプレッシャー
また、依存へとつながる理由の多くが、専門的な治療を受けづらくする要因にもなっている。一部の人にとっては、LGBT向けのリハビリ施設を見つけ、通うことが恐怖となり得るため、結果的に専門的な支援を受けることなく自分だけでその問題に向き合うことになってしまうこともあるという。
LGBTにとって良い治療センターを見つける方法
LGBTのリハビリサービスを必要とする人は増加していると言われており、リハビリ施設にとってもそのことに気を留めるは非常に自然なことである。簡単に言えば、LGBT特有のニーズを満たすための経験や知識がある治療センターがLGBTにとって良い治療センターであると言える。薬物やアルコール依存から回復するにあたって、全ての依存症患者が同じ治療を必要とすることもあるが、その一方、LGBT特有の対応が必要な場合もあるのだ。
LGBTへの治療で直接的な効果があると考えられているものの1つは、セラピーだという。ほかのLGBTが直面している困難を理解するためのグループミーティングや、カウンセラーや精神科医と1対1でのセッションなどがこれに含まれる。これらのセラピーでは以下のような内容を行う。
- 差別的な行為への反応の仕方
- 家族や友人などとの強いつながりを築くための良い方法
- アイデンティティの確立
- 不安やうつまで、様々な範囲のメンタルヘルス
- カミングアウトの仕方についての情報
また、依存症状への一般的な治療に加えて、LGBTの依存の治療では薬を用いた治療が行われることも多いという。これにより、薬を用いて精神を安定させることでリハビリをスムーズに進めることが出来るようになるのだという。
LGBTに特化した治療って本当に受けられるの?
米国で854の薬物乱用治療センターを対象に行われた2007年の調査では以下のような結果が得られた。
- 当時、LGBTに特化した治療プログラムが無いと答えたのは約71%
- 以前はそのようなプログラムもあったが、今はもうやっていないと答えたのが9%
- LGBTに特化したプログラムがあると答えたのは約7%
状況は年々変化しているとは言え、LGBTが必要としている治療を受けられる施設を見つけるのはまだまだ難しい状況にあると言えるようだ。
一方で、米国の医療保険制度改革により、全ての人達が平等に医療サービスを受けられるよう、医療費負担適正化法などの法律が制定されている。この法律はLGBTの視点からも様々に捉えられるという。
たとえば、LGBTが自分のライフスタイルの結果として差別や治療の拒否をされることがなく、安心して治療を受けられること。また、LGBTがアルコールや薬物依存などの治療を含めた様々な医療サービスにアクセスできることなどもこの法律で保証されると考えられているという。
日本では
以上、米国についての状況をまとめてきたが、日本でも同様に、LGBTは薬物やアルコールなどへの依存傾向が強い層であると言われている。治療プロセスの中にLGBTに特化したプログラムがあるとは言えないが、LGBTの自助グループや電話相談窓口などは多く存在している。「LGBTと周囲の人のための相談機関一覧」などに、まとめられている。