【TRP2016】国民が同性婚を認めた国の大使が伝えたかったこと〜アン・バリントン駐日アイルランド大使のメッセージ(全文)

世界で初めて国民投票で同性婚を認めた国・アイルランド

2015年5月22日に行われた同性婚を認める憲法改正への賛否を問う国民投票で賛成票が反対票を大きく上回り、アイルランドでは同性婚が認められました。国民投票で同性婚が認められたのは世界で初めてのことでした。
2016年5月8日(日)代々木公園イベント広場の東京レインボープライド2016のステージに、アン・バリントン駐日アイルランド大使が来賓として登壇されました。そのスピーチの全文を日本語と英語で掲載いたします。

アン・バリントン駐日アイルランド大使 撮影:toboji

アン・バリントン駐日アイルランド大使
撮影:toboji

アン・バリントン駐日アイルランド大使のスピーチ

Minasama Konnichiwa!
Anne Barrington to moshimasu. Irulando Taishi desu.

Like Japan, Ireland is an island with a long history. We are a traditional people.
日本と同様、アイルランドも長い歴史を持つ島国です。アイルランド人は伝統を重んじる人々です。

Twenty-five years ago Ireland did not look like a country that would become a beacon for gay rights. In fact, then we had laws on our books that discriminated against LGBT people.
今から25年前、アイルランドが同性愛者の権利について発信する国になるとは、想像がつかなかったでしょう。実際、以前はセクシュアルマイノリティを差別する法律があったのです。

But last year we made history: on 22 May 2015, in a national referendum, an overwhelming majority of the Irish people voted in favour of marriage equality. Ireland became the first country in the world to enshrine marriage equality in our constitution.
しかし昨年、歴史は塗り替えられました。2015年5月22日、国民投票の結果、圧倒的多数が同性結婚を認めることを支持しました。アイルランドは、憲法で同性結婚を正式に認める世界初の国になったのです。

Now, there can be no discrimination against people on grounds of sex.
さて、性別を理由にした差別はあってはならないことです。

As our Prime Minister said: “Th(is) referendum was about inclusiveness and equality, about love and commitment being enshrined in the constitution. The people have spoken. They have said yes. Ireland – thank you.”
先に申し上げた国民投票の結果に対し、私どもの首相は次のように述べました。「この国民投票は、包括性と平等についてのものであり、愛と誓約を憲法に記すものです。アイルランドの人々は訴えました。そしてイエスと言ったのです。」

Our Deputy Prime Minister said: “In Ireland, we are known as a nation of storytellers and today, the people have told quite some story. Together, the people of Ireland have struck a massive blow against discrimination as we extend the right of marriage to all our citizens.”
副首相は次のように述べました。「アイルランドは語り部の国として知られておりますが、今日、新たに素晴らしい物語が誕生しました。アイルランドの人々は結束し、差別に対して大きな風を吹かせ、すべての市民が平等に結婚の権利を得ることとなったのです。」

Our Minister for Health, Ireland’s first openly gay cabinet minister, said: “It is a historic day for Ireland. We are the first country in the world to enshrine marriage equality in our constitution and to do it through popular mandate. That makes us a beacon of equality and liberty to the rest of the world, so it’s a very proud day for the Irish people.”
そして、アイルランドの大臣として初めてゲイであることを公表した保健相は、次のように述べました。「本日はアイルランドにとって歴史的な日です。アイルランドは、世界で初めて、憲法で同性結婚を正式に認める国になりました。それも、国民の意思で決まったのです。平等と自由を世界に発信する国になった、今日はアイルランド人にとって栄光の日です。」

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Finally, United Nations Secretary General Ban Ki Moon said: “The result sends an important message to the world: All people are entitled to enjoy their human rights no matter who they are or whom they love.”
最後に、国連のパン・ギムン事務総長は次のように述べています。「この国民投票の結果は、世界に重要なメッセージを発信しています。どんな人でも、全ての人々に人権を享受する資格があるということです。」

Arigato Gozaimasu!

東京レインボープライド2016のステージには、米国、英国、アイルランドの三か国の駐日大使が来賓として登壇しスピーチをした。 (左から)東京レインボープライド共同代表理事・杉山文野、キャロライン・ケネディ駐日米国大使、アン・バリントン駐日アイルランド大使、ティム・ヒッチンズ駐日英国大使、東京レインボープライド共同代表理事・山縣真矢 撮影:toboji

東京レインボープライド2016のステージには、米国、英国、アイルランドの三か国の駐日大使が来賓として登壇しスピーチをした。
(左から)東京レインボープライド共同代表理事・杉山文野、キャロライン・ケネディ駐日米国大使、アン・バリントン駐日アイルランド大使、ティム・ヒッチンズ駐日英国大使、東京レインボープライド共同代表理事・山縣真矢
撮影:toboji

アイルランド大使館

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いたる

LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964