パートナーシップ制度が発行されて10年
12月19日、2005年に英国で初めて同性カップルにパートナーシップが発行されてから10周年を迎えた。
英国内で広がっていったパートナーシップ制度
同性カップルにパートナーシップを認める法律は、2005年、ブレア首相率いる労働党政権のもとで施行され、当時は結婚とは別のものとしてパートナーシップ制度が導入されていた。
時期は異なるものの、同性カップルにパートナーシップを認める動きは英国国内中に広がっていった。正式にパートナーの関係にあるとして、最初に認められたのは、北アイルランドのグラーニア・クローズとシャロン・シックルズの2人だった。彼女らは10年たった現在でもパートナーの関係にあり、さらなる平等へ向け活動を行っている。
彼女らは北アイルランドにおいても、同性婚の実現にむけ活動を行ってきたが、保守政党の民主統一党によって阻まれた。北アイルランドは英国の他地域に比べても、同性婚については遅れを取っている。
パートナーシップ制度の未来
しかしながら、パートナーシップ制度は現在、未来が見えないという状況に直面しているという。2014年に同性婚が導入されてから、新しくパートナーシップに登録するカップルは激減し、元々パートナーシップ制度を利用していたカップルは、同性婚に転換する傾向にある。
英国政府やスコットランド政府は、パートナーシップ制度の今後の可能性について協議を行っているが、具体的な合意には至っていない。これについて、制度への社会的な関心が薄れるつれ、新しくパートナーシップを認めることはしないなど、段階的に廃止していくべきだなどの意見も出ているという。
異性カップルにも適用を
その一方で、活動家のピーター・タッチェル(Peter Tatchell)氏は、パートナーシップ制度の対象者を異性カップルにも広げ、結婚に変わるパートナーシップの形として位置づけるべきだと主張する。
彼はまず、現在のパートナーシップ制度の問題点について、以下のように述べている。
「パートナーシップ制度は2005年に見られた、重要で価値のある進歩だった。英国の法律で初めて、同性カップルを法的に認め、権利を与えることだできたのだ。
しかし、パートナーシップ制度は決して平等ではなかった。結婚の平等を法的に求められるのを避けるために作られた法的な差別待遇のかたちだった。
パートナーシップ制度はいまだに不平等な部分を含んでいる。年金や相続における差別待遇が明記されているのだ。」
その上で、彼は以下のように続けた。
「現在の法律では、異性カップルはパートナーシップ制度を利用できず、差別されている。もし異性カップルがパートナーシップ制度を利用したいとしたら、法律は彼らの権利を否定していることになる。
民主主義的な社会では、全ては法の下に平等でなければならない。
異性でも同性でも、性差別的で家父長的な結婚の歴史や、夫と妻という言葉を好まないなどの理由で、パートナーシップ制度の方を好むカップルはいる。」
同性婚が認められる前に、同性カップルのパートナーシップ制度を導入する国や地域も多い。英国のように同性婚が認められた後、パートナーシップ制度の未来はどのようになっていくのだろうか。