宝塚市の同性カップル認定に “優先順位が違う” 議員からの同性愛批判

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宝塚市、同性カップル認定開始

神戸新聞NEXTによると、宝塚市が同性カップルをパートナーとして認める「受領証」を発行すると発表した。渋谷区の同性パートナーシップ証明は”条例”によるものだったが、宝塚市のパートナーシップ証明は”要綱”で、これは世田谷区の同性パートナーシップ証明と同じだ。2016年の6月には施行する予定で、中川 宝塚市長は「宝塚が生きやすい街として1歩を進めるため、欠かせない施策。今後は国が同性婚を認めるよう、他の自治体と協力して働き掛けたい」と、今回の決定について語っている。

宝塚市は日本で三番目に同性パートナーシップが認められる地域となったが、このような同性愛を認める動きを賞賛する人々がいる一方で、批判的に見る人々もいるようだ。ここではそのような批判的な意見をあげている方々を紹介する。

前衆議院議員 杉田水脈(みお)「重要な課題ではない」

まず最初にご紹介するのは次世代の党所属、前衆議院議員の 杉田 水脈(みお)さんだ。彼女は自身のブログにて 「宝塚市が同性カップル認定へ」というタイトルにて、自身の考えを主張している。

師走に入って一番に飛び込んできたニュース。この件が議会で取り上げられた時にブログに書いて散々「差別主義者」と言われましたが、それでも自分の考えは変わっていません。今日は一点だけ。地方自治体には様々な課題があります。

福祉
教育
環境
住宅
都市整備…etc
増え続ける生活保護。対応する職員の数が追いつかない為、不正受給を見抜くことができません。児童虐待やネグレクトも急増していますが、職員を増員できず、対応しきれません。これらはほんの一例です。クレーマーが増えている為、通常業務もままならない上に公務員の「心の病気」が増え、休職している人も多い。できる職員にかかる仕事の荷重ばかり増えるような状態です。

そんな中で人手を割いて取り組むほど重要な課題ではありません。もっと一般の市民の方々の生活に直結する問題でやらなければいけないことがたくさんあるはずです。優先順位のつけ方を間違っています。

杉田水脈(すぎた みお)公式ブログ – 宝塚市が同性カップル認定へ

彼女は以前にも「LGBT支援策が必要でない理由〜私の考え」という記事でLGBTへの支援が必要ではない、と発言をして話題を呼んだ。また、国会で「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想です」などといった発言も話題を呼んだ。

彼女の「地方自治体には他にもっと優先すべき事項がある」という意見。実際地方自治体には様々な問題が山積していることは事実だろうし、同性パートナーシップよりも保育園の拡充などの方が優先順位が高いだろう、と考える人がいることはなんらおかしいことではない。

しかし、自治体の政策においてどの問題を優先して解決していくのかは、その自治体の議会や首長、ひいてはその議会や首長を選定する宝塚市の住民たちが決めることだ。首長や議会は同性パートナーシップ証明を提供するということを既に決定している。

小泉純二 練馬区議「日本の価値観否定」

次に紹介するのは、自民党の東京都練馬区の小泉純二区議(64)だ。

東京都練馬区の小泉純二区議(64)=自民=が三十日、区議会本会議の一般質問で、同性カップルに「結婚に相当する関係」の証明書を発行する渋谷区の条例を「男らしさや女らしさ、男女による結婚を尊重し祝福する日本社会の価値観を否定するもの」と批判した。
小泉氏は「婚姻は次の世代を産み育てること」「同性カップルから子どもは生まれない」などと発言。「憲法に『結婚は両性の合意のみに基づく』とあり、(渋谷区は)条例制定権を逸脱している」とも述べた。条例が学校教育で「性的少数者に対する理解を深める」と定めることも「教育への介入で、子どもの価値観を混乱させかねない」と批判した。
練馬区側は「現実的な施策の効果が不明」などとして「練馬区でやるつもりはない」と答弁した。
条例をめぐっては、四月に上川陽子法相(当時)が記者会見で「民法の婚姻法制と矛盾抵触するものではない」と明言している。

渋谷区条例「日本の価値観否定」  練馬区議が議会で批判 – 東京新聞

その通りである。同性パートナーシップ証明は今まで日本にあった「男らしさや女らしさ、男女による結婚を尊重し祝福する日本社会の価値観」を否定しようとしているものだ。今までにあった日本の「男はこうあるべきだ」、「女はこうあるべきだ」という考えはもう古いものとして否定されるべきであり、結婚は男女だけのものでなく、様々な結婚の形があるべきだという考えにシフトしようという動きを起こそうとしているのだ。的を射ている指摘だが、「婚姻は次の世代を産み育てること」「同性カップルから子どもは生まれない」という意見においては、稚拙と言わざるを得ない。

まず、「婚姻しているが次の世代を産み育てていない」夫婦は、2005年時点で9,636,533世帯おり、全世帯のうちの20%は子どものいない夫婦だということが統計局の調査で判明している。(http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/kihon1/00/04.htm)

「同性カップルから子どもは生まれない」という意見に関しては、代理出産や体外受精などを通じて子どもを育てている同性カップルは世界中におり (http://www.apa.org/pi/lgbt/resources/parenting.aspx)、声をあげないだけで日本にもいる(参考:お母さん二人いてもいいかな!? レズビアンのママ生活)。男性と男性、女性と女性では生物学的に子どもができないという意見であれば、確かに現在はその通りだが、“同性カップルの子作りは2年以内に可能になる!その方法とは” という記事でも触れている通り、2年以内に男性同士や女性同士でも子どもはいずれ作れるようになる。

こういった”今までと違う”ものや意見、考えに対して反対する意見が現れることは決して悪いことではない。しかし根拠に裏付けられていない意見では”ただの思いつき”や”印象論”になってしまうし、最新の研究や情勢をベースにしていない意見なのであれば、それは”古い情報をベースにした古い意見”と捉えられてしまうのではないだろうか。ちなみにまったく関係ないのだが、小泉純二区議のウェブサイトを見て驚いた。1990年代のような古さだ。)

「同性愛は異常」 海老名市議会

すっかり話題になっている、鶴指(つるさし)海老名市議員による「同性愛は異常」ツイート。

@asahi_tokyo 異常人間をほめるような記事を掲載したりすることが多いが、マスコミの責任感のない記事掲載が問題だ、異常人間が多くなれば人類の破滅、まじめな人間をほめる方法を考えろ、同性愛は異常なのだ、異常なことをすることを取上げる必要はない、責任を持った報道をすべきだ。
@nhk_seikatsu 異常人間の行動を正当化した報道はするな、マスコミは、異常な行動をする人物を勇敢のように扱う、あなた方は、同性愛はいいことだと思うのか、異常人間を脚光を浴びせることの影響を考えて報道しろ、まじめな人間こそが素晴らしいいのだ、倫理観を持った報道をすべきだ。
最近のマスコミの報道は倫理観に欠けている、何でも珍しいいことがあれば良いネタのようにして報道する、報道したことでその人物はなおさら優越感が出るのだ、一例が同性愛とやらだ!生物の根底を変える異常動物だということをしっかり考えろ!マスコミで取上げる影響を考えろ!まじめ人間が馬鹿を見る

本件に関して、同性愛は異常? Togettorまとめ にて同性愛は異常だと便乗して言い出す人が現れるなど、ちょっとしたムーブメントになっている。

同性愛が正常か異常か、という質問に対する正解はない。同性愛は日本のある一定の人々にとっては異常だし、アフリカやシリアでは死刑になるような異常さだ。ヨーロッパで同性婚が2001年に認められているオランダなどでは正常で当たり前の存在だし(14歳より若いオランダの子どもは、オランダで同性婚が認められていない時代を知らない)、アメリカでも最近当たり前の存在になりつつある。同性愛が正常か異常かという意見は個人、その所属する社会、ひいてはその社会がいる時代によって変わる。日本人が「魚の刺身は美味しいものだ」とどんなに主張しても、生の魚を食べる習慣がない国の人は「気持ち悪い」と言う。そこにあるのは”好き嫌い”であり、議会で議論するに値しない。

同性愛への賛成と反対

同性パートナーシップや同性愛に反対する議員の意見をご紹介した。同性婚を最近認めたアメリカですらも、同性愛を認めないという保守派議員はいるのだから、同性婚が認められているわけではない日本で、そういった意見を言いだす議員がいるのは別に不自然なことではない。必要なことは、そういった同性愛、すなわち”今までにないもの” を受け入れることに抵抗を感じてしまう人たちに対して、「印象で意見を述べるのではなく、根拠をベースにした意見を出そう」と、丁寧に諭すことなのかもしれない。

画像出典:Linkedin.com

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