“Xジェンダー” は日本人にしか通じない!? 外国人に”X Gender”を言ってみた結果

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“Xジェンダー” = “X Gender” ?

英語では「Xジェンダー」って、なんて説明したらいいのでしょうか?Xジェンダー当事者の私が、今までの経験をもとにお伝えしたいと思います。

その前に…私の英語レベル:ネイティブではないけど日常会話レベルなら可能

夏休みに滞在した大阪市西成区(参考記事:実は超ゲイフレンドリー!大阪府西成区の驚くべき実態)はバックパッカーの多い町ですから、私はほぼ毎日、英語を使いました。私は海外に渡航した経験はありませんが、「英語で喋るのが好きで普段から練習もしているし、思っていることや必要なことは伝えられる。ネイティブ同士の会話ペースには加われない」というレベルで英語を使うことができます。

「Xジェンダー」は日本人が考えた言葉

Wikipediaを見てみると、「Xジェンダー」って日本人が考えた言葉なんです。吉永みち子著「性同一性障害-性転換の朝」(集英社)が始まりのようです。

「英語圏ではThird gender, queer、genderqueer、bigender、intergender、agenderといった言葉が対応すると考えられる。」と書いてあります。複数の単語だなんて、どれ言えばいいの?!って感じですよね。ぶっちゃけ、QueerもThird genderも英語圏の人に言ってみたけど通じませんでした。他の単語は試していませんので、QueerとThird genderに絞って考えてみます。

Queer(クィア):「風変わりな、不思議な、奇妙な」が原義の、セクシュアルマイノリティの蔑称
Third gender(サードジェンダー):第三の性

比べてみると、Third genderの方がXジェンダーに近い気がしてきます。それでは、Wikipediaの“Third gender”を見てみましょう。こちらは原文が英語なのですが、翻訳機能もあります。様々な国における、Third genderの認識や法整備、歴史が紹介されています。どうやらThird genderという言葉は、世界的に「生物学的、もしくは精神的に、男性か女性という枠から外れているすべての人々」を指しているようです。つまり、「トランスジェンダー(未治療の人、治療済みの人)」、「インターセックス(遺伝子などの要因で、生まれ持った体が男性とも女性とも限定されない人)」、「その他諸々の性自認の人」という感じです。

Xジェンダーは、その他諸々に当てはまりますね(「記載は『その他』だけかよ!」という、心の突っ込みをいれながらWikipediaを読みました)。他の国の場合を読んでいくと、Xジェンダーと同じ定義は見つけられませんでした。

この英語のページには、日本の場合として「Xジェンダー」という単語の紹介がありましたが、定義の記載がありませんでした。
つまり、英語圏ではWikipediaにすら載っていない普及度だということ。“Third gender”と言えばXジェンダーだと通じるわけではなく、もう一歩踏み込んだ自己紹介をする必要があります。

今のところ、外国人にカミングアウトすると「初めて聞いた」と言われることが多いです。大学の先生(チェコ人で英語が堪能な人、日本人だけどイギリスに住んでいた人)に相談したことがあります。二人は話し合って「どちらかと言えば、Third genderじゃない?Queerだと蔑称だし・・・」と結論を出してくれました。

実際の具体例

私「私はセクシュアル・マイノリティです。日本語ではXジェンダーと呼んでいますが、英語で言うならば、おそらくThird genderです。体は女性です。トランスジェンダーに近い立場なのですが、男性とも女性とも決めないようにしています。:I am sexual minority. It is called X-gender in Japan but I think it is called “third gender” in English. My sex is female and I haven’t had any sex surgery. Not transgender, but not a man nor woman.」

相手「そうなんだ!:Oh, really?」

私「そうなんです。日本でもあまり知られていません。だから、知ってもらうために記事にする仕事をしています。私はライターをしています。セクシュアル・マイノリティについてのウェブサイトにライターとして参加しています。: Yes, but few people know about X-gender in Japan. I’m writing posts on media website to tell it to many people. I am a writer of website about LGBT. 」

たどたどしい英語なのでしょうけれど、これで納得してもらえます!カムアウトすると、打ち解けると言いますか、心を許してくれて、とっても喋りやすいです。それでもって「日本はセクシュアル・マイノリティに対してオープンだと思う?」だなんて質問されます。差別禁止法が根底にある国の人々だと、相手がセクシュアルマイノリティではなくても、私よりずっとセクシュアル・マイノリティに詳しかったりします。とても安らぐ気持ちになります。

外国から来た人のほとんどが普通に受け入れてくれた

2年前、動画サイトに投稿をしていたころ、アメリカ人のMTXからメッセージを頂いたことがあります!「今日本に住んでいますが、日本人のXジェンダーって初めて見つけて嬉しい!僕もXジェンダーに当てはまるといいますか、男とも女とも限定できない性自認なんです。英語でも、友達に何て説明すればいいのか分からなくて困ってるんだ。」という内容でした。

じわじわと、国内外で普及するようにカミングアウトしていこうと思います。日本人にXジェンダーをカミングアウトし始めた頃、「思い過ごしじゃない?」と言われがちだったのですが(参考記事:“Xジェンダー”を人に説明するには、まず○○○から話せ「Xジェンダーとか思い過ごしだろ(笑)」にはこう返せ)。外国から来た人々のほとんどが、普通に受け入れてくれるので・・・相当ギャップでした。(「ほとんど」に当てはまらなかった1名の方は、「若いのにセクシュアリティを決めるのは早いんじゃない?」と言っていましたので、別に否定されたわけでもないです)。

そういえば、現在私のカミングアウトって、仕事を持っていることをセットに話します。そのことで、認めてもらえているかもしれません。Xジェンダーの皆さん!海外経験のある方、英語では何て説明されていますか?コメント欄でシェアして下さると助かります。

もう一つ余談なのですが、インターセックス(遺伝子などの要因で、生まれ持った体が男性とも女性とも限定されない人)の方が、以下のように言っていました。

体の性別が、男性か女性に限定できないからといって、性自認もXジェンダーとは限らない。誤解されることが多い。Xジェンダーの人も混同して説明しているときがあるから、言葉の選び方に気を付けてほしい」これって、英語圏ではThird genderという単語で、体の性別(生物学的性)と心の性別(心の性別)を説明してしまっているから、広まっている誤解なのではないでしょうか?「体の性別(生物学的性)と、心の性別(性自認)は別!」ということ、忘れないようにしたいですね。最後に、それぞれの違いがわかりやすい画像を見つけたので、以下に参考として載せておきたいと思います。

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画像出典:http://itspronouncedmetrosexual.com

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4 件のコメント

  • はじめまして。
    長らくストレートアライでしたが、最近になってXジェンダーを自覚しはじめた20代男性です。カムアウト経験もありません。

    ただ、Xジェンダーという言葉の曖昧さ、日本語にしかない閉鎖的な表現に違和感を覚えています。

    私なりに調べた中では、Intergenderという単語が一番しっくり来ています。
    Trancegenderが性自認の転換、Intersexualが半陰半陽、ならばIntergenderは性自認の半々なのではと捉えています。
    ただ、インタージェンダーは日本語だと辞書にすらなく、英文のwikiで見つけた単語でした。
    http://nonbinary.org/wiki/Intergender

    自らの性を現すのに最も適した言葉として、いつか日本で市民権を得たいと考えています。

    細貝さんの考えを聞いてみたいです。

  • こんにちは。私はトランスジェンダーではなくcisgender(英語で体の性別と心の性別が同じ という意味を表す言葉です)の英語が流暢なドイツ人です。友達はFtMなので、それをきっかけにtransgenderに関係あるアイデンティティーについて英語で色々な記事を読みました。Xgenderという言葉をこの記事で初めて知りました。ありがとうございます!

    英語で男性とも女性とも決めないジェンダー・アイデンティティーを表す言葉だいえば、agenderが一番近い言葉だと思います。agenderをgoogleで検索すると最初に出るページ(http://gender.wikia.com/wiki/Agender)ではこういう風に書いてあります:
    Agender is a term which can be literally translated as ‘without gender’. It can be seen either as a non-binary gender identity or as a statement of not having a gender identity.(訳:agender文字通りに翻訳すると「ジェンダーがない」という意味です。二分の性別ではないアイデンティティーを持つ人か、性別のアイデンティティーがない人のことを表す意味です。)どうですか?これはxgenderと似ているような意味だと思いますか?

    もし興味があれば、是非こちらのLGBTに関して色々なテーマの動画を作っているアメリカ人のユーチューバーAshley Mardellの The ABC’s of LGBTという動画をご覧ください。

    彼女がbisexualでcisgenderなんですが、トランスジェンダーの友達の声を集めたビデオなので、すごく勉強になりました。

  • クィア自認のネイティヴイングリッシュスピーカーです。クィアは蔑称と書いていらっしゃいますが、人それぞれだと思います。確かに語源は「奇妙」の意味がありますが、それを自分のラベルとして選ぶ人は英語圏に多くいます。「100%完全ヘテロではない人はクィア」だというのが私の捉え方です。
    そして、Xジェンダーとagenderの違いがハッキリ分からないのですが、この名称では駄目でしょうか?Third genderは少し長すぎて、使われるのを見た事はありません。
    私だったらgender queer, またはagenderが一番しっくりきます。僭越ながらご参考までに。

  • 皆さん、コメントありがとうございます。

    (記事補足)

    これは実際に本を確認していないのですが、
    「Xジェンダー」という言葉の始まりとしてご紹介した
    吉永みち子著「性同一性障害-性転換の朝」(集英社)において、吉永さんが作った言葉ではなく、セクシュアル・マイノリティたちが使っていたのを吉永さんが紹介したのだそうです。

    Twitterコメントや、とある方の論文で読みました。

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