渋谷区同性パートナーシップがグッドデザイン賞を受賞

渋谷区パートナーシップ条例

渋谷区同性パートナーシップがグッドデザイン賞を受賞

Good Design Award が、渋谷区同性パートナーシップ条例がグッドデザイン賞を受賞したことをHPにて明らかにした。受賞対象名は”渋谷区 同性パートナーシップ条例 [渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例]” で、事業主体名は”カラフルステーション”

「同様の条例は国内だけでなく東アジアとしても初」

受賞企業の概要には、以下のように書かれている。

男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える同性パートナーに対し「パートナーシップ証明書」を発行する東京都渋谷区の条例案が2015年3月31日、同区議会本会議で賛成多数で可決、成立。同様の条例は国内だけでなく東アジアとしても初であり、性的少数者(以下LGBT)の権利を保障する動きとして注目を集める。互いに渋谷区在住であることや双方を任意後見人として登記する事等が条件。長く連れ添っていても同性であるという理由で家族と認められず、アパート入居や病院での面会を断られるケースが問題視されたことから、区は区民や事業者に対し、証明書を持つ同性カップルに対して最大限配慮するよう協力を求める方針を打ち出した。

グッドデザイン賞 – Good Design Award

また、プロデューサーは渋谷区長である長谷部 健氏、ディレクターには東 小雪氏、増原 裕子氏、松中 権氏、杉山 文野氏が、デザイナーに廣橋 正氏が選出された。

渋谷区パートナーシップ条例

左から豊島区議員石川大我氏、杉山文野氏、増原裕子氏、東小雪氏、松中権氏、廣橋 正氏

受賞企業である”カラフルステーション”とは、認定特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズと、杉山文野氏(写真左から2番目)が経営する株式会社ニューキャンバスが共同運営する、神宮前にあるコミュニティスペースで、LGBTに関する情報発信を目的に2014年5月に設立されている。

Colorful Station

カラフルステーション

 

「誰もが差別なくイキイキと生きることができる社会の実現へ」

受賞企業の詳細として、背景や意義がウェブページにて掲載されている。

背景

セクシュアリティは目に見えにくい為、その存在は「いない者」とされ、長らく差別されてきた。そのようなLGBTへの差別解消という人権課題的視点と、国際都市を目指す「SHIBUYA」として多様性は必須条件との両視点から、長谷部健渋谷区長が2012年6月の議会で同条例を初提案(提案当時は区議)。以降イベントや勉強会を積極的に重ね、渋谷区で2014年7月同条例の検討委員会を設置、翌年の条例案提出に繋がった。

意義

同条例の成立は長年差別や偏見に苦しんで来た同性カップルの存在を国内で初めて公的に認めた点に大きな意義がある。一地方自治体からの提案が海外からも注目されるまでに至った功績は大きい。証明書の実質的な効力以上に社会からその存在を承認されたという事実は幸福感に繋がり、勇気づけられる当事者も多い。歴史的な一歩でありLGBTに限らず生きづらさを感じる人々が自分の生き方を発言できる環境を作る事にも大きく貢献。

渋谷区のパートナーシップ解説記事でも触れているが、今回の渋谷区の同性パートナーシップは同性カップルの法的保障という面ではまだ問題が残るが、社会的に同性カップルの存在が自治体において認められたという意味で革新的である。欧州などにある同性パートナーシップは法的にもカップルの関係を保障するものなので、渋谷区の同性パートナーシップと欧州にある同性パートナーシップ制度は性質が異なるものではある。しかし渋谷区の後に続いて台湾の台北市や高雄市も同じような同性パートナーシップ制度を認めるなど、社会的な動きを創り出すという意味でも、「勇気づけられる当事者も多い」という意味でも、重要な第一歩である。

グッドデザインの評価「生きる希望となった」

今回の条例に関して、グッドデザインアワードは「創意工夫」として以下のように述べている。

セクシュアリティは目に見えにくいため、その存在がいないものとされがちである。しかし「いない」のではなく現実には「言えない」だけであり、目に見えない存在をいかに可視化するかが大きな課題である。LGBTと言えば水商売で働く人やバラエティに出るような一部の人のみというイメージが未だに強い。どこか自分とは関係ない「遠い世界の人」という社会的イメージから「すぐ隣にいる身近な人」である事を、いかに伝えるかが大きなポイントであった。その為に渋谷区では早くからLGBTの当事者を招いたトークイベントや勉強会、職員への研修等を行ってきた。また、LGBTが差別や偏見にさらされることなく、より自分らしく、前向きに生きていくことができる社会の実現を目指して活動を行う日本最大のLGBT啓発イベント「東京レインボープライド」の後援も積極的に行うなど、LGBTの当事者、非当事者が垣根を越えて交流する場を提供してきた。

また、審査員は以下のように評価している。

LGBTとして苦しみを抱える人々にとって、この取り組みはまさに生きる希望となった。日本だけでなく東アジアで初となったこの条例は社会の新しい仕組みとして評価できる。

これからの日本

今年の3月31日に決定され、4月1日から施行開始となった渋谷区同性パートナーシップ条例。筆者は今でも、4月1日の各社新聞朝刊が本件を一面で取り上げていたことが脳裏に焼き付いている。4月1日といえば、日本では、学生にとって新しい学年や学期が始まる時期であり、就職活動を終えた人の初出勤日であり、入学式の日だ。その4月1日という、いわば新しい1年の始まりの日に、同性パートナーシップ条例が施行開始になり新聞で取り上げられたということにとても感動した記憶がある。

渋谷区での動きに続いて、世田谷区も同性パートナーシップに関する動きを見せ、横浜市や、兵庫県の宝塚市など、様々な自治体が日本国内でも動きだしている。台湾では台北市と高雄市が同性パートナーシップを認め、米国では同性婚が全州で認められた。少しずつであっても、日本はLGBTの権利に関して前進している。日本でも同性婚が認められる日は、憲法や民法という大きな壁があるとしても、もしかしたらそう遠くはないのかもしれない。

画像出典:greenz.jp, good design award, Good Design Awards 2015

もっと読む

READ  渋谷区のパートナーシップ条例をわかりやすく解説!
READ  次は世田谷区!同性パートナーシップ渋谷区との違いまとめ
READ  台湾の2つの市で同性パートナーシップ条例が施行開始!

渋谷区パートナーシップ条例

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です