息子から、ゲイであるとのカミングアウト
息子からゲイをカミングアウトされた母親。敬虔なキリスト教徒である彼女が、当時の心境を振り返りながら現在に至るまでの話を、英国のLBCラジオの番組で語った。
2年前のある日の出来事
マリアという女性は、2年前のある日、息子がゲイであるという事実を知った。そのとき、息子以外の家族は週末に遠出をして帰ってきたところだった。
帰宅すると、彼らは息子からの手紙を見つけ、そこに自分はゲイであるということが書かれていた。それを読んだときには息子はすでに、自分の配属されている軍隊の基地に戻ってしまい、家にはいなかったという。
カミングアウトをされ、混乱する母親
手紙を読んだとき、マリアはこの事実を自分の中で消化していく難しさを感じたという。
「とても難しいことでした。私は48時間も部屋着のまま過ごし、気づいたときには泣きながら床の上に倒れこんでいました。」
そう彼女はラジオ番組の司会者に語った。
また彼女は、息子のセクシャリティが彼の人生にどのような影響を与えるのかをとても心配していたという。
「私たちにはそのとき、乗り越えなければならないことがたくさんありました。その一つが軍隊です。軍隊の中にはまだ偏見が残っています。
また、キリスト教徒という点も乗り越えなければいけないものの一つでした。」
しかし、その中でも彼女は親として、息子を失望させていたのではないかということが一番気がかりだったという。
「母親として最も辛かったのは、私たちが息子を悲しませていたように感じたことです。私にはどうすることもできず、最も難しいことでした。
彼は25年間もゲイであることを隠さなければならず、私は家族が彼を悲しませてきたように感じたのです。」
混乱を乗り越えて
それでも、息子のカミングアウトから2年が過ぎた現在、彼女は「自分の息子をとても誇りに思い、とても素晴らしい気分だ」と話す。
彼女の息子は現在、警察官になっており、獣医の男性と幸せな関係にあるという。
「彼らはとっても素晴らしいカップルで、私には1人しか息子がいなかったのに、今は2人の息子がいるの。」
とそう話した。
カミングアウトは「する側」だけの問題ではない
カミングアウトをするとき、する側は入念に準備をして、タイミングを見計らっている人もいれば、あるいは何度もカミングアウトをしていて、それほど気にせずさらっと言ってしまう人もいる。しかし、される側はいきなりの出来事に驚くことも少なくないだろう。ましてそれが自分にとって身近な人だったら、必要以上に重く受け止めてしまうこともある。
カミングアウトするときには自分の気持ちを伝え、された側も、カミングアウトをした人がどういう意図で自分に伝えたのかを考えてみることが大切だろう。カミングアウトをきっかけに、より良い関係が築けていけると良いと思う。