2016年7月9日(土)からのシネマート新宿での先行上映から始まった、今年のレインボー・リール東京(旧東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)も、7月15日(金)から青山・スパイラルホールでの本祭がスタートしました。
7月18日(月・祝)までの週末三連休、連日午前中から夜まで、様々なプログラムが上映されています。
7月15日(金)のオープニングの模様をご紹介します。
25周年の映画祭はイベント盛りだくさん!
会期中は青山通りに面したスパイラルのエントランスには、レインボー・フラッグが翻っています。毎年このフラッグを見ると入場のときから、誇らしく高揚した気持ちになります。
映画祭が開催されているスパイラルホールは3Fです。1Fから3Fにかけての階段に、今年は「OUT IN JAPAN」で撮影された1000人の写真が飾られています。
※OUT IN JAPANとは・・・日本のLGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティにスポットライトを当て、市井の人々を含む多彩なポートレートを様々なフォトグラファーが撮影し、5年間で10,000人のギャラリーを目指すプロジェクトです。
これは映画祭25周年を記念して、初めて試みたクラウド・ファンディング・チャレンジ
“「第25回 レインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)」会場にOUT IN JAPAN で今まで撮影した”1000人”の写真を展示したい!“によって実現したものです。
OUT IN JAPANは2015年から2016年にかけて、東京・大阪・福岡・名古屋・仙台で9回の撮影会を開催して1000人のセクシャル・マイノリティのポートレートを撮影しました。そのすべてをフォトグラファーのレスリー・キー氏が担当しています。
7月15日(金)には、レインボー・リール東京のオープニングに先駆けて、スパイラルではOUT IN JAPANとレスリー・キー氏関連のイベントが開催されました。
その一つが、「OUT IN JAPAN〜今まで撮影した“1000人”の写真を展示したい!〜」レセプション・パーティーです。
今回のクラウド・ファンディングに賛同した方やOUT IN JAPANの関係者が集い、レスリー・キー氏のトークショーを中心に、楽しい時間を過ごしました。
そのトークショーでレスリー氏が語ったたくさんの言葉の中から印象に残ったものをご紹介します。
いつも撮っているモデルさんとか女優さんと違って、OUT IN JAPANの撮影はドキュメントであり報道だと感じた。LGBTの存在をドキュメンタリーの作品にできたのは、自分の夢がかなったことでもある
一回目の撮影会は凄く印象に残っている。僕も感動して涙流しながら撮影したのを覚えてる
仙台が想い出がいっぱい。東北大震災の一週間後くらいに仙台に行き、あれから五年経ってもまだ元の状態には戻ってないんだけど、そこに実際LGBTの方がいるっているのを撮影できたのは、他の会場とは違う深い意味があると思う
私のカメラの前に立ってくれた瞬間に裸になってくれた気がした。OUT IN JAPANを信頼してくれて、セクシャリティを隠さずにカメラの前に立ってくれた。これ、みんなの遺影にも使えるかも。別に悪いことじゃないよね。人間はみんな産まれ、生きる、そして死ぬって決まっていることなんだから、悩みながら生きるよりも前向きに生きましょうよ
欧米でこのプロジェクトやったとしても、そんなに特別な感じはしないと思う。LもGもTもBもストレートもみんな同じでしょ? 集まって写真撮ることに何の意味があるの? という感じがすると思う
レスリー氏の新プロジェクトは国連関係!
レスリー・キー氏関連のもうひとつのイベントがレスリー・キー監督短編映像作品『PHANTOM』上映会です。
上映された「PHANTOM」は、今年の「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」で上映され話題となったレスリー氏の初監督作品です。
このフィルムの上映に先立ち、レスリー氏が監督として参加した早見優さんの新曲「恋のブギウギトレイン」のPVがプレミア上映されました。
「恋のブギウギトレイン」は、早見優さんが21年ぶりにリリースする新曲を含むニューアルバム「Delicacy of Love」(藤井隆プロデュース/8月24日発売)に収録されている、アン・ルイスさんの名曲のカバーです。
そしてこの曲は、とても大きなプロジェクトのイメージ・ソングでもあるのです。
国連の掲げる「 #持続可能な開発目標(#SDGs) 」レスリー・キーさんがミュージック・ビデオ制作で協力~ 早見優さんの『恋のブギウギトレイン』をSDGsテーマソングに~ https://t.co/D65RfaBBaQhttps://t.co/9bwhzha12Q
— 国連広報センター (@UNIC_Tokyo) 2016年7月15日
このPVが上映された後に登壇したレスリー・キー氏は、早見優さんからのメッセージ映像を紹介。その後、このPVに参加したメンバーをステージに上げました。
映画祭オープニングはまきむぅ氏のトークショー
さすが25周年の映画祭、ここまででもイベント盛りだくさんでお腹いっぱいになりそうですが、いよいよ映画祭のオープニングがスタートします。
オープニング作品の「サマータイム」上映前に、レインボー・リール東京代表の宮沢英樹氏が牧村朝子(まきむぅ)氏をゲストに迎えてのトークショーを開催。
映画祭25年の歴史を振り返る映像を上映した後に、まきむぅ氏のカミングアウトの想い出から将来の夢まで語られました。
牧村朝子氏のトークショーより、特に印象に残った言葉をご紹介します。
なんか、すごい真面目なこと言っていいですか? (つま先立ちして背伸びしながら)カッコいいと思われたいから。
ちゃんと歴史から学びたい。何千年、俺達は仲間だ、お前は仲間じゃないって、人類は戦争繰り返しているんだろうって見ていて思うのよね。いまだに女性の権利運動で闘っていらっしゃる方もいるし、レインボー・リール東京っていっても嫌らしい映画を上映するんでしょ、って決めつける人もいると思う。
でも私は、そういう人たちを敵だと思わないように努力したい。
そういう人たちに石を投げて闘うことはしないように努力したい。
なぜならそうすることで私も人類が繰り返して来た戦争の渦の中に呑み込まれてしまうことになるからこの間、ニューヨークのストーンウォール・インというゲイの権利運動がそこから盛んになった場所(バー)に行ってきたんです。
そこにね、(権利運動が盛んになった)当時の写真が飾ってあったんですよ。
その中の1人に軍人さんがいらしたのね。
その軍人さんがお年を召されて亡くなる前に、「俺の墓にこの言葉を刻んでくれ」と言って書かれた言葉が記してあって。
「自分の人生は2人を殺してメダルをもらい、1人を愛して罰された」
戦争で人を殺して褒められたけども、同性を好きになったから罰された、と書いたんですよ。そんなことを本当に繰り返しちゃいけないなと思って、その時は飲みながら泣いてましたね
例年以上に華やかに開幕した、25年めの映画祭”レインボー・リール東京”は7月18日(月・祝)まで、青山・スパイラルホールで開催中です。
「OUT IN JAPAN〜今まで撮影した“1000人”の写真を展示」は無料で観ることができますので、お買い物の途中にでもふらりと立ち寄られては如何でしょうか?
そして、興味のある映画を見つけたら、ぜひ映画祭にも参加して、そのハッピーな雰囲気を味わってください。
レインボー・リール東京の全プログラムの詳細は、こちらの記事をご参照ください。
【映画祭】セクシャルマイノリティ映画の祭典が、今年も東京で開催!〜第25回レインボー・リール東京の魅力
今年の映画祭の見どころなどをご紹介しているこちらの記事もぜひご参考に。
LGBT映画の祭典、私たちの映画祭「レインボー・リール東京」開幕!
■「OUT IN JAPAN〜今まで撮影した“1000人”の写真を展示したい!〜」レセプション・パーティーには、こんな方もいらしてました。
第25回レインボー・リール東京
会場:シネマート新宿、スパイラルホール
会期:シネマート新宿 ※連日19時より1プログラム上映
2016年7月9日(土)〜7月15日(金)
スパイラルホール
2016年7月15日(金)〜7月18日(月・祝)
主催:NPO法人 レインボー・リール東京