渋谷区・世田谷区で同性パートナーシップの公的書類を発行開始
昨日11月5日、渋谷区と世田谷区で同性間のパートナーシップ関係を証明する公的書類の発行が開始された。これについて海外メディアではどのような反応があったのだろうか。
さらなる平等への第一歩
英国メディア・BBC NEWSでは、以下のように報道された。
この証明書は、一歩前進したという象徴であり、差別を防止する法的な効力は持たない。それでも、ここではゲイやレズビアンのカップルに対する社会的な見方がゆっくりと変化し始めている。
また米国メディア・Mashableでは、
限界はあるものの、この証明書に賛成する人たちは、より平等な待遇への第一歩であると話した。
とし、証明を受けることで変化すると考えられる、同性パートナーの病院や不動産屋などでの待遇などの例が紹介された。
また、どのメディアでも、LGBTアクティビストである東小雪さんと、パートナーの増原裕子さんが渋谷区の証明書交付を受け、幸せそうに微笑む様子を写した画像や彼女らの喜びのコメントが添えられていた。
渋谷・忠犬ハチ公像の前で、証明書を手に笑顔を見せる東小雪さんと増原裕子さん。
日本国憲法や安倍首相の見解との比較
英国のPink Newsをはじめとするメディアでは、日本国憲法の同性婚についての解釈や安倍総理の見解も合わせて、以下のように報道された。
日本国憲法の条文には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」とあることから、当該の区外では、証明書は承認されない。
安部総理は以前、同国での同性婚を認めることについて、現状の憲法のもとでは難しいため、後ろ向きな姿勢を見せていた。
日本国憲法のもとでは、同性間の婚姻が特に禁止されている訳ではないものの、一方で同性愛者への差別の禁止を明記した法律もないことが指摘されていた。
社会的インパクトの大きさを評価
一方、ロイター通信は、今年6月に全州で同性婚が認められた米国と比較するとこの日本の動きはさほど重要ではないように見えるが、同性愛がタブーとされ公の場で語られてこなかった日本においては、「同性カップルにとっての大きな一歩である」と、その社会的なインパクトの大きさを以下のように評価している。
今年初めにこの条例が成立したことによって、平等についての先例のない議論がなされ、日本の他の自治体に対しても同様な一歩を踏み出す道を作り出している。
さらにロイター通信では、先月、2020年の東京オリンピックに向けて馳浩文部科学大臣がインタビューの中でLGBTの権利向上を目指すと発表していたことも合わせて報道された。
全体的な印象
海外のメディアでは、今回のパートナーシップ証明の発行について、法的な効力を持たない、憲法や安倍総理の見解とそぐわない部分があるなどというマイナスな面も伝えながらも、全体的には日本にとって良い変化、または一歩前進したなどという反応が目立った。しかし、どこのメディアでも今回の制度の限界についても触れていることから、国内での今後の取組みが重要となってくることは明らかだろう。