LGBTカップル挙式感動裏話!「おもわず泣いてしまいました…ああ、ちゃんとできたと思って。嬉しくて。」

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同性結婚式を実際にあげたカップルにインタビュー

法的な保証がないのに、結婚式を挙げる意味とは

2014年11月に結婚式を挙げられたかなこさん・康介さんカップル。

・康介さん:39歳。女性として生まれるが、性自認は男性。現在、社会的には女性として働き、プライベートでは男性として生活をされているFtMトランスジェンダー。

・かなこさん:34歳。康介さんのパートナー。女性として生まれ、性自認は、女性。ご本人曰く、多分レズビアン。主な恋愛対象が、未治療のFTMトランスジェンダー又は、それに近いレズビアン。

LGBT婚のロールモデルとなったお二人に、「なぜ結婚式を挙げようと思ったのか」「挙げてみてどうだったか」をLetibee代表の外山がインタビューを行った。

結婚式を挙げる!と決めた理由

外山;今回、結婚式をしようと決めたきっかけってなんでしたか?

かなこ;自分としては、35歳までにドレスが着たいなぁと。パートナーとの結婚式を挙げたいと周囲に言ってたら、友達からLGBTウェディングのイベントを教えてもらって、そこから外山さんに繋がることができました。外山さんとの出会いによって、段々と現実味を帯びてきて、これは実現できるかなと。

康介;付き合って1年くらいしてから、急に結婚式がしたいって言い始めたよね。「じゃあ写真だけでもどう?」と聞いたら、「そういうのではない」って。「親を呼んで、友達も呼んでちゃんとやりたい」って。

かなこ;もう33歳になっちゃって(笑)、これから自分の仕事の事もちゃんとしていかなきゃならないし、そうすると二人一緒に休みを取れるタイミングってなかなか無いなと思って。今の段階ならお休みはどうにかなりそうだし、チャンスがあるなら今やるべきかも!と。

親と友達に囲まれたアットホームな式

外山;写真じゃなくて式をっていうのはどうして?

かなこ;自分のけじめのようなものです。私が30歳で母にカミングアウトした時、生涯を共にできるパートナーが出来たら、ちゃんと形にして家族に紹介したいっていうのがあったんです。

1、2年お付き合いをして、この人とならずっと一緒にいれるなと思ったので、結婚式というちゃんとした目に見える形にしようと。家族以外も式に呼んだのは、支えてくれる友達を家族に見て欲しかったから。こういう人たちと普段遊んで、悩みも聞いてもらって、支えられて自分は今ここにいるんだよっていうことを解ってもらえたら、母も少しは安心できるかなって。
子供の将来を心配してばかりだったから、少しでも安心させたいと思って。
結婚式で母がその場で会った人にお礼を言ってくれているのを見て、自分が思い描いていた親孝行の一部にはなったかもしれないなと思った。

外山:康介さんは結婚式自体をどう思ってましたか?

康介;最初はあまり興味がなかった。そういうことにお金をかける必要あるの?家を建てたり老後の貯金をするほうが女の子2人で生きていくには大事じゃない?って。

かなこ;確かに(笑)。でもどこからか変わったよね。準備も手伝ってくれるようになったしね。

康介;だって譲らないから(苦笑)。実際にやるとしたら、ちゃんとサポートしてくれる人がいて、自分を男の子として扱ってくれる式場を見つけられたらねって話になった。

結婚式へのハードル

外山;式を挙げる上で大変だったことはなんですか?

康介;式場選びかな。まずどこへ行ったら良いのか分からなかった。

かなこ;自分たちのセクシャリティについてなんて言えばいいんだろうか、どう説明したら解ってもらえるんだろうとか考えてて。会ってもらうのが一番早いのだけれど、電話の時点で無理ですって言われちゃうのかなとか。

外山;最初の連絡自体が大変だったと?

かなこ;そう、実際に自分たちみたいな組み合わせのカップルで挙式した例を知らなくて。どうやって会場を探したらいいのかが、まず分からなかった。

外山;やっていく過程で、式場側から言われて困ったこととかありましたか?

かなこ;式場側から言われたわけじゃなくて、私の親族から言われたことでちょっと困ったことはあったかな。出席者選びで、わたし側の親族が多いから、誰まで呼ぼうかって悩んだときに、「やっぱり結婚式って両家のものだから」って言われたんだよね。自分たちの場合はカミングアウトをしてない親族もいるので、「両家の問題だから、まずは親を通して」と言われてもちょっと困まったね。
一般的には親から言うのが筋なのかもしれないけど、親は私たちのことをちゃんと説明できないし、アバウトな理解だから説明したところで相手を余計に混乱させちゃう。結局は自分たちの口から説明したい!と直接話をしに行きました。そうしたら意外とすんなり伝わったので良かった。

外山;なるほど。そこは「結婚するんで来てください」って言う紙一枚で済ませられないですよね。

かなこ;そうそう。当日来て「えっ?!どういうこと?」ってなっちゃうから、自分達のことは事前に言わなきゃなと思った。

見せることで伝わること

外山;そうすると結婚式自体の意味も、一般的なものとは違ったりしますか?

かなこ;一部では、そうですね。
そもそも、戸籍上夫婦になれないのに、やる意味あるの?って意見はありましたでも私は十分意味があると思った。親に対してちゃんと見せることが大事だと思ってたから。

外山;そういう意味だと、やっぱりけじめのような感じですかね。二人でやっていくってことを伝えるという。

かなこ;このまま二人で生活していって、何も起こらずに一緒に暮らしてくっていうのもありだけど、それだと周りの人の私たちに対する扱いは個々でしかなくて、一緒に括ってはくれないですよね。従姉妹が集まる場にも旦那としては、連れていけない。そういった集まりってみんな夫婦、家族単位で来るから、なんでうちらだけ夫婦で行けないの?ってなるとやっぱり寂しいし、ペアで考えてくれるほうが私には心地いいから。

外山;結婚式をして良かったと思うことはなんですか?

康介;結婚式が終わってから、両親ときちんと話をしたわけではないんだけど、「なんとなく解った」って言われたことかな。今までは信じがたいって説明しても理解してもらえなかった。でも式が終わったあと、「まあなんとなく解ったよ」って言われたときに、やっぱり見たほうが早かったのかなと。

かなこ;何もなくて、一緒に挨拶とかだけだといまいち関係性が伝わらないよね。友達同士にも見えるし、ただの同居人みたいな。でもああやって結婚式をちゃんと挙げて、みんなから夫婦っていう扱いを受けているのを見ると、私たちの関係性がどういったものなのか、少しは伝わったんだろうね。

康介;でもうちのお父さんは、「申し訳ないけど田舎では、2人の事を理解してもらい生活するのは難しいんじゃないか」とも言ってた。「お父さんたちはなんとなく解ったし、こっちの友達がああやって祝福してくれるのを見るのは嬉しかったけど、やっぱり田舎では難しいかもね」って。

かなこ;そういう環境が整ってないよね。私たちが宮崎に帰ったときに、「夫婦としては紹介できないよ」と言われて。そこは、しょうがないと思うんだよね。そういう保守的な地域であることは、否めないからね。

親の気持ち

外山;康介さんの親御さんは、どんな感じだったんですか?前日とか。

かなこ;前日は、結婚式ってことをよく解ってなかったんじゃないかな。

康介;実家でパンフレットを見せた時は、「お食事会でしょ?」って。そこまできちんとしてると思ってなかったのかもね。

外山;でも結婚式のことは伝えてたんですよね?

康介;もちろん、言ってました。

かなこ;前日になって「タキシード着たりするの?」とも聞いてたよね。康介くんのお父さんのほうは、あまりリアクションがなかったからどんな思いだったかわからないけど、お母さんのほうは「あ〜そっかぁ(溜め息交じりな言い方)」だったよね。「やっぱりそうなのか~」みたいなね。

康介;うん、ちょっと気まずい感じでね。

外山;直接的に何か言われたんですか?

康介;いや、何も言わないよ。こっちからもあえて言わないです。喧嘩になっちゃうし。

かなこ;実感も湧かないだろうし(お母さんには、康介くんは娘なわけだから)、康介くんもそこで詳しい説明はせずに、聞かれたことにだけ「うん、そうだよ。」と返してました。

直前まで続いた葛藤

外山;じゃあ、お二人のなかでは当日見てもらったらわかるだろうと考えてはいたんですか?

康介;はい。プランナーの方に親のことを伝えたら、「始まってしまったほうが『こういう感じなんだ』って解って、逆に落ち着く場合もあります。当日はこちらでうまくフォローできるようにしますよ」って言ってもらえたんです。「最初はその場にいるのが難しいようであれば、別のお部屋も用意しているので、そこで過ごしてもらっても大丈夫です。」とも。

かなこ;そうそう、前日に式場から電話を貰ったあと、親御さんの話をしたら、康介くんは真夜中に眠れなくなっちゃったんだよね。結局一睡もせず式に出たんだよね。

康介;そうそう。

かなこ;康介くんがいきなり、「親不孝になるかもしれない」とか言い出して、えー今!?みたいな。もう何回も話し合ってきたことじゃん!とっとと寝ろよ!って。
私は寝たんだけどね。今考えると、ひどい嫁だね(笑)。

外山;そのとき康介さんは何を考えてらっしゃったんですか?

康介;呼び方かな。お母さんに会うまでは別に気にもしてなかった。でも最終打合せで式場側から「なんてお呼びしますか?」って何度も言われて、好きに呼んでくれていいですよ、とは言ったものの、親はどうなんだろうって考えて。「新郎新婦って呼ばれるの?」って聞かれたのでどうしようって。親のことを考えれば、名字で呼んでもらったほうがいいのかもしれない。でも自分にとっても一生に一回だし、好きなように呼ばれたい、新郎っていう立場を確認したいだとか、いろいろ葛藤しちゃって。

かなこ;結局当日は新郎新婦だったり、互いのニックネームだったり。進行の中で場の雰囲気で変えたりと、いろいろ配慮してくれました。

式中の気持ち

外山;式中は何を考えてましたか?

かなこ;康介くんはまず泣いてたよね、私が入場するより前に。一人で先にチャペルに入って待ってるじゃん?

康介;ああ(笑)。なんかね、自分たちにもちゃんと結婚式ができるんだと思ったら感無量でさ。

かなこ;すごくびっくりしたよ。「えー、私もまだ泣いてないのにもう泣いてるの?!ま、まだ始まってないよ?!」って。もらい泣きしそうだったんだけど、ここで泣いたらずっと泣いてることになるからぐっと堪えて。でも、結婚証明書にサインしてる時は泣いちゃいましたね。ああ、ちゃんとできたって。

外山;親御さんとかとはそのときどうでした?

康介;もうね、あの人たちのいるほうは式中は一切見てない。披露宴中も。

かなこ;私も康介くんの親を見れなかったな。俯いてたらどうしようって。

外山;かなこさんの親御さんは終わったあとどうでした?何かおっしゃってました?

康介;「良かったよ~!」って言ってくれた。

かなこ;そうだっけ?お父さんからは直接言われなかったな。お見送りしてるときにも見かけなくて。
後から聞いた話だけど、私の友達がお父さんと弟が話してるのを見かけて、「二人が幸せそうで良かった」って言ってたんだって。
それを聞いてすごく嬉しかった。

両親、兄弟の反応

外山;親御さんの目線とかって結構変わりましたか?

康介;かなちゃんの親とうちの親が会ってよかったと思う。
かなこ母が「あちらの御両親はちゃんとしてるから、かなこも嫁として向こうの親にちゃんと気を使いなさい」って言ってくれて。

かなこ;うん、そうだね。「嫁として」みたいなのを言ってくれるようになったのは結婚式をしてからだね。

康介;最初は、うちの親の拒絶反応が強かったから、もしかしたら「娘(かなこの事)を受け入れてもらえてない」みたいな不安があったのかもね。けど、うちの親が式にも出てくれたから、かなちゃんのご両親も少し安心したのかな。

外山;康介さんの親御さんも何か変わりましたか?

康介;後で「宮崎帰ったよ」って電話がかかってきました。お兄ちゃんが着いたら電話をしろって言ったみたいなんです。

外山;お兄さんは何かおっしゃってましたか?

康介;お兄ちゃんは特になにも。
昔から、多くを語るタイプではないので。

かなこ;でも、お兄さんは終始うちの家族にも気を遣ってくれてて。すごく見ててくれるんですよ、お兄さん。私たちが挨拶している時やビンゴしてる時とかもね。

康介;あと、お母さんに「お兄ちゃんのお嫁さんには(あんたのことは)言わないでね」っていうのをずっと言われてたのね。かなちゃんの事を友達の体で通してって。けどあとで兄ちゃんに聞いたら「知ってるよ。あたりまえじゃん。」って言われて。だから、親は隠すことに必死で「本人達が幸せか」どうかよりも先に自分たちの世間体が気になっていたみたい。

かなこ;隠すことが、唯一できる守るってことだったのかも。
でも時代も移り変わるし、お父さんたちが考えてるよりも、まわりの人たちは柔軟性があるのかも知れないね。

康介;この間、お父さんが親戚のおじさんに「ちゃんと話してみようかな」って言ってた。

外山;自分たちの世間体みたいなものを気にしていたところから、そういう二人を受け入れてくれるってことがわかって、隠さなくなった?

康介;これからは必要以上に隠さなくてもいいのかもしれない、って感じたのかもね。

会場側の配慮

外山;会場側のサービスで良かった点や改善して欲しい点はありますか?今回は親御さんへのサポートとして個室を用意して頂いたりとか、ドレスの試着のときに個室を用意して頂いたりとか、案内されるときは人目につきにくい一番奥のブースに案内されてましたよね。あと、パーティー会場に男女じゃなくてだれでも入れるトイレを用意するとか。

康介;全部嬉しかった!!というか、何も気にしないで打合せに行けたのが良かった。自分たちから言わなくても、行ったらきっとそういうふうに対応してくれるだろうっていう安心感。打合せのときも自然に奥に通してくれるだろう、とか。

外山;それはプランナーの方に対する信頼感ですか?

康介;うん、あと式場のスタッフの人たち。きっと白い目で見られないだろうとか、試着に行けば個室に通してくれて配慮してくれるだろうっていう前提で行ってたかな。

かなこ;だから何の気負いもなかったよね。

康介;うん。だから、今日どうしよう、タキシード着るけどどうしよう、とか全然なかった。

かなこ;「任せておけば大丈夫だよね、あそこのスタッフなら」と。

康介;みんなウェルカム!な感じで迎え入れてくれたからね。

かなこ;あとは自分たちがこうして欲しいっていうことに、ひとつひとつ応えてくれた。パーティー会場のトイレの件にしても、招待客の更衣室にしても、自分たちが不安に思ってることを汲み取ってくれて。

康介;むしろこっちが気にしてないことまで気にしてもらえたかな。実際当日使うトイレだって、トイレに行ったって3回くらいでしょ。でも、見た目で性別の判断が難しい人のために「全てを合わせますよ」って言ってくれて、そこまで?!って。自分たちはそのくらい我慢できるって思ったけど。

かなこ;もしも気にする方が居たらとても残念に思うからって。当日は、本人達は勿論だけど、来てくださる方にも心から楽しんでもらいたいって。

康介;こっちがあまり気にしてなかったことを気にしてくれたのは安心だったかな。そこまで?!みたいな。逆に申し訳ない気持ちでした。

かなこ;そうそう申し訳ない。
けど、本当に自分達の事を真剣に考えてくれて、本当に嬉しかったね。

外山;そういうことを気にしてくれた相手のセンシティブさが、毎回の安心感に繋がっていたのかもしれないですね。

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