英連邦での同性愛合法化を目指す
英国のキャメロン首相が、11月27日から29日にかけてマルタで開かれる、英連邦首脳会議で、英連邦の40の国が同性愛を違法化していることを議題にあげようと考えている。
キャメロン首相の考え
デヴィッド・キャメロン(David Cameron)英首相は、今年の英連邦首脳会議において、LGBTを話題にのせるという個人的な目的を持ってのぞむ姿勢だ。彼は、英連邦において、同性愛の禁止による悪影響を強調した報告書を用い、各国に対応の必要性を迫る意向をみせている。
現在、英連邦に含まれる国は53カ国あるが、そのうち40カ国で同性愛が禁止されており、それは英国の植民地時代に制定された法律によるものが多い。比較的軽い罰則で済む国もあれば、同性間の性行為で投獄されたり死刑になったりする国もある。
同性愛の違法化
キャメロン首相は、個人的にLGBTの人権について取り組んでいる団体Human Dignity Trustに対して、報告書を出して欲しいと求めていた。その報告書では、同性愛を禁止することによって
- ・殺人、暴行、集団のレイプや自殺につながる
- 経済や商業の発展を妨げる
- 若いLGBTへの暴力、結婚の強要、家族からの拒絶、また彼らの教育や健康への悪影響につながる
- 国際人権法の違反である
- LGBTを二流市民として位置づけてしまう
などの点が考えられると指摘されていた。
キャメロン首相から個人的に報告書の発行を頼まれたジョナサン・クーパー(Jonathan Cooper)氏は、以下のようにコメントをしている。
「首相はよく理解している。彼は禁止することが人間の尊厳を傷つけているということがわかっている。…面白いのは、英連邦首脳会議で起こることだろう。彼らは積極的に議題にあげることができるか、またそれに何が続いていくのか。
前回の英連邦首脳会議から、状況は悪化してきている。インドでは再び非合法化されてしまった。…しかし、それと同時に希望もある。モザンビークでは禁止が解かれている。」
英連邦首脳会議に向け
現在、英連邦の事務局長が同性愛の違法化について、非公式に英連邦の国々に対して問題提起している。しかしこれまで英連邦は、その構成する国々に対して、LGBTの権利についての影響力をほとんど持っていなかった。
また、キャメロン首相が議題を提示するにしても、議論には繋がらない可能性もある。英連邦の国々は以前、英国支配のもとに置かれていたが、現在では英国は、他の国と対等な立場にあるからだ。英国は他の国に対して強い影響力を持っているが、議題を強要することはできず、議論するためには他国もその議題に賛成しなければならない。
画像出典:The Telegraph