トランスジェンダーの少年の男子トイレ使用禁止に、オバマ大統領は少年を擁護
バージニア州のトランスジェンダーの少年が、学校から男子トイレの使用を禁止されたという事件について、オバマ政権は少年をサポートするという立場を明らかにした。
学校が男子トイレの使用を禁止
バージニア州・グロスター郡高校に通うギャビン・グリム君(16歳)は昨年、学校から差別的な対応をとられたという。学校が彼に男子トイレの使用をやめるよう命じたのだ。グリム君とその家族は、学校が自分の性別とは異なるトイレを使わせようとしているとして彼の権利の侵害であると主張し、学校側の対応をめぐって訴訟を起こした。
少年の擁護
この問題について、連邦政府の2つの部門が少年側の主張を支持する姿勢を明らかにしている。教育部門と司法部門がグリム君や米国全体の10代のトランスジェンダー当事者の権利を擁護するために、40ページにわたる簡単な声明を提出した。
声明の内容は、以下のようになっている。
「トランスジェンダーの少年の男子トイレ使用を禁止することは、単に彼が男子トイレを使えなくなるという不自由や制限がもたらされるということ以上の問題であることが多い…事実上、完全にトイレを拒否することにもなりうるのだ。」
「グリム君に与えられたもうひとつの選択肢―女子トイレを使うこと―は、現実的ではない。グリムくんのように自分を男子だと自認して生活し、その他の場合では学校も男子として扱っているような生徒が女子トイレに足を踏み入れたとしたら、同級生の女子は混乱し、そして彼自身は屈辱を味わうことになり、そのような提案は非現実的である。」
また、声明文では学校側の論理を一蹴した上で、以下のように続けられた。
「懸念事項であったほかの生徒の安全については、グリム君が男子トイレを使用することでのほかの生徒への安全上のリスクがもたらされると結論づけられるほどの、事実に基づいた情報が提供されていない。」
トランスジェンダーの生徒と学校生活
トランスジェンダーの生徒は、学校生活を送る上でも様々な問題に直面する可能性がある。提出された声明は以下のように続けている。
「そのような(学校側がとったような)対応の結果、グリム君のようなトランスジェンダーの生徒は学校の教育プログラムに十分に参加し、利用する能力を否定されてしまうのだ。」
「常識的に考えて、生徒が一度もトイレを使用せずに、学校での1日をやり過ごすことができると思う人間はいないはずだ。そうしようと試みたとしても、生徒は不快感や不安を感じたり、授業中の集中力に影響が出たりしてしまい、更には彼らの教育経験の価値を下げてしまうだろう。」
「(学校は)男女で分けたトイレを設置しているかもしれないが、その場合、トランスジェンダーの生徒は彼らの性自認に合った扱いをされるべきである。」
日本でも教育の現場においてトランスジェンダーの生徒に対しての対応が求められるようになってきている。今年4月には、文科省が全国の学校に性同一性障害とされる児童生徒に対しての対応例などを通知していた。
画像出典:Pink News