「都議会×LGBT」都庁が、LGBTについての質問に公に回答するイベントに行ってきた。

LGBT×都議会

「都議会×LGBT」

都庁がLGBTと公に意見交換をしたのは初の試み。しかし、がっかりする部分も・・・現役大学生のXジェンダー当事者が参加してきました。

イベント概要

LGBT×都議会

1月27日に行われた「都議会×LGBT」というイベントに行ってきました。(正式名称:第18回 市民と行政の協議会 東京都×LGBT 東京都における性的指向および性自認に関する課題解決のために)

このイベントは、さまざまなLGBTに関する団体による実行委員会が質問を準備したようだ。ちょうどLGBT法連合会の要望発信もあって、国会の方でも、超党派議連にて動きがあるだけでなく、各党独自の動きが始まっているタイミングでもある。この機会に、都庁にも色々聞いてみたい。「法律上は問題がないのに、実際の生活現場ではLGBTがストレートと同等に扱われていない、LGBTの存在を無視した政策しかない」ことって、実感がない方もいらっしゃるかもしれないが、沢山ありますね。それらの質問に対し、都庁の様々な部署の方に話を伺うというイベントであった。

同居の同性パートナーと別居の親族、重視されるのはどっち?

当事者Q:都立病院において、認知症・意識不明状態の患者にどのような治療を行うかを決める場合、その患者の同性パートナーの意向はどこまで考慮されるか。(略)

都の担当者A:ケースバイケースでルールはない。たまたま連絡先があればそのパートナーを呼ぶが、最終的には家族も呼ぶ。配偶者は真っ先に優先されるものの、お互いにもめる場合は、キーパーソンを決めてもらい、対応している。

「家族」って?

また、この問題については、以下のような内容の追加質問がありました。

当事者Q: 厚生労働省「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」には、本人が認知症・意識不明状態になった場合「家族」が、意思決定の代行者となるべきと原則を定めたうえで、「家族とは、患者が信頼を寄せ、終末期の患者を支える存在であるという趣旨ですから、法的な意味での親族関係のみを意味せず、より広い範囲の人を含みます」との注が付けられています。

当事者側がキーパーソンを決めておくのが望ましいのは、もっともです。しかし、当事者が病院に入るときに、小さい文字ででも、どこかに注があると、「あ、同性パートナーのことを告白して、戸籍上の家族でなくても、意思決定者として指定して良いのだな」とイメージを持つことができますし、あらかじめその点を諦めている人は多いです。同性パートナーを意思決定者に決定することが可能なのだということを、初めてその場で知る場合もあります。社会の目を気にして同性パートナーを指定したいのに言い出せない患者を作らないように、工夫していただきたいのです。

また、同性パートナーを成年後見人に指定している場合にも、親族より優先がされるのかについてもお答えいただきたいです。

この追加質問に対しては、以下のような答弁が帰ってきました。

都の担当者A:「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」については、もちろん家族の範囲については、単に法律的な意味での親族関係だけではないと記載があるが、具体的には家族が患者の意思決定の代行ではなく、推定するというプロセスを示したものです。延命治療に関する患者の意思の尊重という、生命に関わる重要かつ特殊な状況です。本当のぎりぎりのところの判断をする際の対応方法を示しています。一般的な医療行為の意思決定まで普遍的・一般化するかについては、すぐに適応するのは難しいと思っています。

成年後見人についてですが、法務省の窓口にも確認しましたが、手術の同意とか治療方針の決定につきましては、成年後見の制度もここには及んでいません。医療行為に関する同意の委任・後見ではないと考えられています。医療行為の決定については親族に後見人の意見が優先するかどうか、制度的には難しいです。話し合いの中でキーパーソンが後見人になることもあるでしょうけれども、コミュニケーションの中で決めてほしいです。

結局、都の担当者は「意識のある間の当事者にも、キーパーソンとして同性パートナーを指名する気づきを与える措置」など、踏み込んだ答弁は避けているのだと思われます。

公正証書にも「医療における意思表示」は盛り込める

また、LGBTのためのコミュニティサイト「2CHOPO」永易至文さんの連載「老後の新聞 〜こちら東中野さくら行政書士事務所〜」から、記事「公正証書としての任意後見契約」によりますと、公正証書としての任意後見契約の中には、「医療における意思表示」も盛り込むことができます

今回の都のイベントでは、ここまで詳細に論じることは無理だったかもしれません。しかし、

  • 同性間の任意後見契約に医療まで明確に書き込んである場合
  • 広く渋谷区・世田谷区のような、公的な場でパートナーシップを表明しているカップルの場合

などは、その法的根拠を尊重して、

  • 「そういう根拠ある文書が存在する場合、同性パートナーをキーパーソンとして尊重する方向の施策を考えたい」
  • 「根拠ある文書があるのに、戸籍上の家族が、同性パートナーをキーパーソンとすることに無根拠に反対した場合には、冷静に再考を促す」

といった位の対応まで、東京都としては踏み込むことを考えてほしいですね。

Xジェンダーとして必要だと思ったことを意見させて下さい。

ここでご紹介しなかった質問ですが、

Q:子供たち、青少年への学校教育では性自認や性的指向に関する情報は入っているのか。

というものもありました。それに対する回答は

A:東京都人権施策推薦指針には、性同一性障害と性的指向を取り入れている。今後とも東京都人権施策推薦指針に基づき、人権教育プログラムを作成していく。

この回答では、性同一性障害と性的指向の問題が、人権教育プログラムに取り入れられていくという事のようだ。しかし、「性同一性障害(性別適合治療を受けたり戸籍変更をするための診断名)」は、「トランスジェンダー」と同意義ではない。私のようなXジェンダーの課題は、教育プログラムでは語られないことになる。現在国会議員の中にも、LGBTという概念ではなく、性自認・性的指向(SOGI – Sexual Orientation and Gender Identity)に従って考えるよう、意識転換が起こっているようだ。

Xジェンダーの課題は、性自認には色々なあり方があり、その一つのあり様がXジェンダーだと把握しないと、理解できない。Xジェンダーのみではなく、LGBT以外のセクシュアリティを理解することに繋がるため、SOGIの概念を取り入れてほしい。

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