英国、米国もLGBTの難民受け入れを表明
カナダに引き続き、英国のキャメロン首相と米国のオバマ大統領も、LGBTの難民を優先的に受け入れていく方針を明らかにした。
「イスラム国」で避難を強いられるLGBT
テロリスト集団「イスラム国」(IS)は、統制下のイラクやシリアで、男性同性愛者の公開処刑を行っている。そのため、現地のLGBTのコミュニティは、迫害を免れるため避難を強いられている状況にある。
内戦でシリアの状況がさらに悪化していく中で、多くの国で第三国定住(難民キャンプなどすでに難民となっている人々を、別の国が受け入れて定住させる制度)を通じたシリア難民の受け入れを約束している。そんな中、LGBT当事者に対しても、女性や子どもなどと並んで優先的に第三国定住を認めるという動きが見え始めている。
英国政府が受け入れを表明
キャメロン首相は今年9月に、弱い立場にある難民を優先しながら、シリアから2万人の難民を受け入れることを明らかにしていた。また10月末には、労働党のメアリー・クレイ(Mary Creagh)議員がLGBTも弱い立場にある難民として考慮するよう求めていた。
12月9日、内務省大臣は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の脆弱性指標によると、性的指向やジェンダーアイデンティティが原因で身の危険が高まる可能性のある人々も脆弱な立場に置かれているということから、通常の認定過程においてLGBTであるかどうかも確認すると発表した。
政府の方針に関して、英国のレズビアン・ゲイ移民団体のポール・ディレイン(Paul Dillane)氏は、これを歓迎するとした上で
「特にヨルダンやレバノンなどLGBTの人々が深刻な危機に直面している国において、英国政府が弱い立場にあるLGBTの難民を認定しようと動き出していると示すことは、極めて重要だ。」
と述べた。
米国政府も
米国政府もまた、LGBTのシリア人を含めた最も弱い立場にある人々(女性、子ども、障害を持つ人、暴力を受けた人など)を優先的に受け入れるという方針をオバマ大統領は明らかにしたと、Washington Bladeが報じている。特にLGBTの難民の受け入れ人数を明確に設定することはないが、最も弱い立場にあると考えられる人という枠組みでとらえることになる。
「第三国定住に関して米国としては、最も弱い立場にあると考えられる人々、つまり迫害の標的にされやすい人や、何らかの面でマイノリティであるがゆえに孤立してしまっていた人など、を優先する。」
「(「イスラム国」は)さまざまな方法で、そういった人たちの基本的な権利を侵害し、踏みにじっているのは疑いようがない。」
と、米国政府の報道官ジョシュ・アーネスト氏が伝えた。米国政府はさらに1万人のシリア難民を受け入れることを約束している。
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