那覇市、「性の多様性宣言」
私の地元は沖縄県なのですが、とても嬉しいニュースが舞い込んできました。先日行われたプライドイベント「Pink Dot Okinawa」で、那覇市が大阪の淀川区に続き、全国で2例目となる「性の多様性を尊重する都市・なは」宣言(通称レインボーなは宣言)を発表しました!
以下、全文です。
人がどのような性を生きるか、また、誰を愛し・愛さないかは、すべての人が幸福に生きるために生まれながらにして持っている権利、すなわち人権であり、誰もがその多様な生き方を尊重されなければなりません。那覇市は、市民と協働し、性自認及び性的指向など、性に関するあらゆる差別をなくし、誰もが安心して暮らせる都市をめざして、ここに『性の多様性を尊重する都市・なは』を宣言します。
実に素敵な宣言だと思います。特に目を引く点は「誰を愛し、愛さないか」というこの言葉。「人がどのような性を生きるか」という点において、いわゆる性的指向や性自認などは尊重されるべきポイントです。しかしよく見落とされがちなのはこの「愛さない」ということばです。人を愛する権利があるのならば、人を愛さないという「在り方」ももちろん尊重されるべき重要な事柄でしょう。この「レインボーなは」宣言において、その「愛さない権利」を明文化したことはとても画期的かつ重要なことではないでしょうか。
沖縄は狭い島国だからこそ、”鎖”を感じる
私は生まれも育ちも沖縄のうちなーんちゅ(沖縄人)です。これまで沖縄で過ごしてきた中で、自分がゲイであることは「隠さねばならない重大な罪」な気がしていましたし、バレたら生きていけない「最重要機密」でした。沖縄ではセクシュアルマイノリティピアグループを立ち挙げ、その代表として活動していましたが、表向きは「異性愛者」として活動をしていました。なんともまあ、本末転倒な気がしていましたが、仕方がなかったんです。狭い島で、自らのセクシュアリティをオープンにして生きていくことはかなりリスキーな行為です。
実際、両親とのけんかも幾度となくありました。沖縄で「ゲイとして」生きていくことにはうんざりしていたんです。東京へ出てきたのは、それが一つの理由にもなっていました。私と同じ心もちのひとは他にもたくさんいるでしょう。沖縄から離れ、「鎖」のようなものから外されたような開放感を感じている人も、少なくないはずです。そのような沖縄でなされたこの「レインボーなは宣言」は私にとっては「全米で同性婚が合憲」となされたくらいの喜びです。那覇市は私の生まれた地ではありませんが、県庁所在地である那覇市のこの宣言は、沖縄にとっても重く、意義のある宣言であることには間違いありません。あの頃、世界中が敵のような世界で生きていた私にとっては想像もできないような変化です。たった10年で、ここまで社会は変わるんです。これから生まれてくる次の世代の仲間たちは、私たちのような苦しみを負って欲しくないものです。いじめやハラスメント等、生き辛さてんこもりな生活は、私たちの世代でおしまいにしましょう。
これからの私たちの役割
この宣言は「ただのスタート」でしかありません。沖縄だけでなく、日本各地に息苦しさを抱えた仲間がいます。この波をもっともっと拡散することも大切ですし、那覇市自身もセクシュアルマイノリティにとって住みやすい都市にするためにももっともっと考えていかねばなりません。今、日本は大きなうねりの中にいます。現在の政権や不安定な経済の中、私たちは不安な毎日を過ごしています。しかし悪いニュースばかりではありません。渋谷の条例に続き、今度は那覇。ものすごいスピードで色々なことが進んで行きます。わたしたちは一歩ずつ進んでいますし、着実に社会は変わりつつリます。その大きなうねりの中で、平和を信じて、自分の大切なものを信じ抜くことが、いまの時代に必要とされているのかもしれません。