LGBTにフェアな企業”Netflix”の魅力 その1

2015年9月に日本上陸したNetflix、ご存知ですか?

日本や海外の名作から最新ヒット作まで、映画・ドラマ・アニメーション・ドキュメンタリーなど様々なコンテンツを楽しめる世界最大級の映像配信サービスです。
LGBTに関する作品の日本での配信もどんどん増えているNetflix株式会社の中島啓子さんに、作品のこと、そして世界中で事業を展開するNetflixという会社の多様性についてお話しを伺いました。

その1では、Netflixの大きな魅力であるオリジナル作品について伺いました。

■聞き手:榎本悠里香(Letibee LIFE)、いたる

<メニュー>
その1
①Netflixってどんなサービス?
②Netflixオリジナル作品に関して
その2
③Netflixの社風とは?
④Netflixで求められている人材とは?

①Netflixってどんなサービス?

まずはご存知ない方のために、Netflixの簡単なご紹介をいたします。

■どうやれば見られるの?
パソコン、スマートフォン、タブレット、スマートテレビやゲーム機などインターネットに接続できる環境のものならすぐに視聴可能です。

・パソコンは公式サイト
・iOS、androidのモバイルデバイスではアプリをダウンロード
・ご自宅のテレビで見たい方はこちらを確認 

■料金はどれくらいかかるの?
支払い方法はクレジットカードが必要です。

毎月の税抜金額はこちらです。
ベーシック  650円(標準画質SD・同時に視聴可能な画面数1台)
スタンダード 950円(高画質HD・同時に視聴可能な画面数2台)
プレミアム  1450円(超高画質4K・同時に視聴可能な画面数4台)
※配信されている作品は全て見放題

日本でのサービス開始(2015年9月)から1年半、配信される作品数は日々増加しています。
日本でも劇場公開された映画、アニメーションや、テレビで放送されたドラマ、アニメーションなどはもちろん、日本では未公開の映画、ドキュメンタリーなども、日本語字幕や日本語吹き替えで配信されています。それだけではなく、Netflixが圧倒的に人気を集めているのは、オリジナル作品の豊富さとクオリティーの高さです。

■充実のオリジナル作品
世界中で人気を集め、かつ高い評価を得ているNetflix製作のオリジナル作品の一部をご紹介しましょう。

「ハウス・オブ・カード 野望の階段」House Of Cards
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<作品紹介>ホワイトハウスで上り詰めるという野望を抱く政治家フランクと、その妻で気高く美しいクレア。陰謀や周囲の人間を利用しながら一歩一歩階段を登っていくのだが、次々と目の前に立ちはだかる敵はどんどん強大になっていく。フランクのバイセクシュアルの面もきちんと描かれている。世界中で大きな話題を呼んでいるNetflixの代表作。日本ではシーズン4まで配信中。
2017年5月30日よりシーズン5配信開始

「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」Orange Is New Black
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<作品紹介>アメリカの女性刑務所を舞台。ニューヨークの裕福な家庭で育ったバイセクシュアルのお嬢様が、過去に犯した些細な罪で投獄され、人種も様々で個性豊かな女囚たちに揉まれながら、たくましく刑務所内で次第にのし上がっていく様が描かれるコメディ。内容面の評価も高い大人気シリーズ。日本ではシーズン4まで配信中。
2017年6月9日シーズン5配信開始予定

「グレイス&フランキー」Grace & Frankie
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<作品紹介>ガチガチ保守の共和党員グレイス(ジェーン・フォンダ)と、ヒッピー上がりの民主党員グレイス(リリー・トムリン)はともに70代。本来交わらないタイプの二人だが、夫同士が共同で法律事務所をやっているために表面上の付き合いをしていた。ところがある日、夫二人が20年来のゲイカップルで同性婚するために離婚すると二人同時に告げられた。衝撃を受けた二人の女性は、共同購入していたビーチハウスでともに暮らし始める。シーズン2まで配信中。
2017年3月24日よりシーズン3配信

②Netflixオリジナル作品に関して

いたる(以下”I”):2016年は東京レインボープライド2016やレインボーリール東京をスポンサーなどされ、Netflixオリジナルドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」を大プッシュされていましたね。

中島(以下”N”):「オレンジ・イズ・ニューブラック」をとても大切にプロモーションしている理由の一つには、非常にNetflixっぽい作品だということがあります。ストーリーが面白ければ、キャストが無名の方たちであってもきちんと作っていきたいという考えでNetflixオリジナルを製作しています。「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」に出演されている女優さんたちは、あの作品に出たことで有名になった方がほとんどなんです。そういう意味ではNetflixが大きくなっていくのとともに、「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」も成功していきました。Netflixのオリジナル作品を作るという姿勢にリンクしているという意味で、非常に大切な作品です。

I:「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」だけじゃなく、「グレイス&フランキー」「ハウス・オブ・カード 野望の階段」など、当たり前のようにLGBTキャラクターが登場するオリジナル作品が多いという印象がありますが、それは意識されているのですか?

N:そこを特に意識しているということはないと思います。例えばアメリカの日常を普通に切り取ると、様々な人種、様々なセクシュアリティの方々が当然、作品の中に登場するということだと思います。

I:なるほど、確かにおっしゃる通りですね。「テラスハウス」や「深夜食堂」の新シーズンなど、日本でもNetflixオリジナル作品を作られていますが、日本らしくBL的な作品など作られる可能性はありますか?

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「CYBORG009 Call Of Justice」©2016 「CYBORG009」製作委員会

N:BLとはちょっと異なりますが、アニメーション「CYBORG009 Call Of Justice」(サイボーグ009の新作3DCGアニメ)がNetflixオリジナルとして海外に配信されました。BL読者の方の中にはお好きな方が多いですよね。そういう意味で、直近ではこの作品になると思います。

 

「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」も原作小説があるのですが、同じように原作次第ということにはなると思います。日本のオリジナルでは今はまだないです。

I:日本でNetflixオリジナル作品が作られる場合は、制作会社からアプローチしてくるのですか?

N:それはいろいろなパターンがあります。まだ日本のNetflixは1年半くらいしか経っていませんし、私たちがスタートする前に企画が進んでいた作品があるわけです。そういう中からご縁のあった作品をご一緒させていただきました。『火花』はよしもとクリエイティブ・エージェンシーさん、「深夜食堂 -Tokyo Stories-」はアミューズさんです。ぜひNetflixで製作したい、と企画が持ち込まれることもたくさんあります。
内容的に地上波では難しく最後まで描けなかったアニメーションの完全版というのは今後出てきます。それから、お客様から料金をいただくというビジネスモデルだからこそできる表現の自由があります。今の世の中の闇の部分を取り上げていて、広告モデルのサービスではストレートに描けないというものはいくつか進んでいますね。

I:今後も日本のオリジナル作品はどんどん増えていきますか?

N:増えていきます。2017年は全世界で数日間に1作品くらいの割合で、どんどん新作が来るんですよ。ドラマ、映画、あとはバラエティショーも出てきます。
日本関連でいうと2月24日から配信している「アルティメット・ビーストマスター:ジャパン」も注目です。日本、韓国、アメリカ、ドイツ、ブラジル、メキシコの6カ国で予選をして通過したトップ・アスリートがアメリカに集まって、過酷で巨大な障害物が待ち受ける難関コース「ビースト」に挑むという番組です。

アルティメット・ビーストマスター:ジャパン

アルティメット・ビーストマスター:ジャパン

エンターテインメントであれば、映画やドラマに限らず、いろいろな作品が増えていきます。

I:ということはオリジナルのコンテンツに関しても、日本やアメリカだけじゃなく世界中のNetflixが、それぞれ作っていくということですか?

N:そうですね。スペイン、イタリア、ポルトガル………、すでに、100近い国がオリジナルを作り始めていますね。全世界の人どこでも、やっぱり自分の国の番組が好きみたいです。

I:世界各国のオリジナル番組の中から、日本発の「CYBORG009 Call Of Justice」のように世界配信される番組も出てくるでしょうね。ますます様々なコンテンツを見られる機会が増えていくようで、すごく楽しみです。
Netflixオリジナル作品ではないですが、日本では配給を通じて劇場公開されていないLGBT関連の未公開映画も取り上げていらっしゃいますよね?

N:はい、「タンジェリン」はそうですね。Netflixでの配信のあとに、劇場公開が決まったんです。
本当にそういうところで、喜んでいただいているって声は実際にありますね。なかなか劇場では公開できない作品もありますし、DVDレンタルショップでセレクトされる量にも限界がありますから。本当にその作品が好きだからと海外から個人輸入しようとしても送料とかものすごく高くなってしまう。今まで見たかったけどなかなか手に入らなかったとか、見られるまでに時差があったものに対してNetflixがご要望にお応えでき始めたのいは嬉しいところです。
日本未公開のドキュメンタリー作品にもすごく面白いものがありまして、そちらに関しても喜んでいただけているようです。

■Netflixで配信中のLGBTに関するドキュメンタリー作品

「ブライドグルーム」Bridegroom
同性婚を考えていたパートナーの突然の自殺。葬儀に出席すら認められなかった男は、いかにして悲しみを乗り越えようとしたのか。

「私たちの娘、コーイ」Growing Up COY
男の子の身体を持って生まれたが、心は女の子の6歳児コーイ。性同一性障害を持つ小学生の権利を巡る訴訟は米国中の注目を集め、判決結果は大きな反響を呼んだ。

「テルアビブの男たち」ORIENTED
ゲイに優しい町として知られるイスラエルのテルアビブ。この大都会に住むゲイのパレスチナ男性3人の姿を追い、その日常、葛藤や苦悩を映し出す。

Netflixには、オリジナル作品や日本未公開のドキュメンタリーなど他ではなかなか見られない魅力的なコンテンツが揃っていることはお分かりいただけましたか。
その2では、Netflixという会社自体に迫ります。グローバル企業ならではのフェアな社風や、働いてみたいと考える方へのアドバイスなど伺います。


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ABOUTこの記事をかいた人

いたる

LGBTに関する様々な情報、トピック、人を、深く掘り下げたり、体験したり、直接会って話を聞いたりしてきちんと理解し、それを誰もが分かる平易な言葉で広く伝えることが自分の使命と自認している51歳、大分県別府市出身。LGBT関連のバー/飲食店情報を網羅する「jgcm/agcm」プロデューサー。ゲイ雑誌「月刊G-men」元編集長。現在、毎週火曜日に新宿2丁目の「A Day In The Life」(新宿区新宿2-13-16 藤井ビル 203 )にてセクシャリティ・フリーのゲイバー「いたるの部屋」を営業中。 Twitterアカウント @itaru1964