マルタでのLGBTの権利向上
ヨーロッパの南部に位置する小さな島国、マルタ。この国は、この10年間でLGBTの権利向上に大きな成功をおさめた国だという。このマルタの10年間のLGBTの権利向上の流れについてLGBT支援団体のガビ・カリェハ（Gabi Calleja）氏はGAY STAR NEWSで語っている。
マルタ国内の変化
カリェハ氏が代表を勤めるMGRM（Malta Gay Rights Movement）は、2001年に設立されてから、LGBTの権利向上を目指して活動を行ってきた。最初の数年間は、支援ネットワークの形成やLGBTについての社会的関心を高めることを重視していたが、2009年頃からは、特に同性カップルの可視化に向けた運動を行ってきたという。
2011年には、同棲しているカップルに一定の権利を与える法律が施行されたが、その法律で認められていた権利は最低限のものだった。2013年に政府がその法律を改正し、それが2014年には同性カップルのシビル・ユニオン（パートナーシップ）が認められることにつながった。これは、保守的で、厳格な宗教的価値観が、リベラルな方向へ急激に変化していったことを表しており、マルタにとって大きな進歩だったという。
離婚の合法化とLGBTのイシューとの関連
2011年当時、離婚が禁止されていた国は3つあり、マルタはその国のうちの1つだった。
国民投票で、離婚が認められるようになったことは、LGBTの権利にも大きく影響を与えていると彼女は考えている。投票で離婚を認めるという結果が出たときに、カトリック信者はとても驚いていたという。しかし、それによって社会情勢が変化した。LGBTの権利に関しても、シビル･ユニオンの導入に繋がったのだという。離婚という点について、一度教会側の主張が負けてしまったため、かつてほど教会の力がそれほど強くはなくなっていることに市民が気づいたのだ。それがLGBTの権利向上にとって追い風となった。
マルタの先進性
今年、マルタはトランスジェンダーやインターセックスの人たちの保護に関して、世界で最も優れていると評価された法律を成立させた。
LGBTの権利に関しては、マルタはヨーロッパで一番だと彼女は話す。しかし、それは主にマルタの法整備の面についてであって、社会的な面ではまだまだ取り組むべきことは残されていると考えている。
また、その法制度に関しても、労働環境についての法律を整えたり、女性の健康やリプロダクティブライツについての社会関心を高めたりすることも必要だと彼女は主張する。また、シビル･ユニオンが社会に上手く浸透していけば、同性婚などの結婚の平等についても取り組んでいくべきだとの考えを示した。
さらにPink Newsの16日の記事によると、マルタは同性愛やトランスジェンダーを「治す」ために治療を受けさせることを禁止した。同性愛やトランスジェンダーの治療を禁止したのはEUではマルタが最初の国だという。
