切っても切れない関係。それが家族の絆です。
自分のセクシャリティに気づいた時、驚きや不安と共に
「家族にどう話せばいいのだろうか?」
「家族には絶対秘密にしなきゃ」
そんな相反する思いを抱いた方も少なくないでしょう。
この「LGBTと家族」は、
セクシャル・マイノリティの家族への考え方、関わり方を
より多くの方へのアンケートから探っていこうという企画です。
様々な方の体験したこと、考えたことの中には
あなたが共感できる事例も見つかるかもしれません。
※「LGBTと家族」では、様々なセクシャリティの様々な世代の皆様の家族との関わりをご紹介したいと考えています。セクシャル・マイノリティの皆様、是非アンケートにご協力ください。
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LGBTと家族 No.019
人間には「分かりたくない」こともある
パンセクシャル(21歳)家族構成:母、父、弟
Q, 自分のセクシャリティを自覚したのは何歳の頃でしたか?
高校1年生、15歳
Q, 自分のセクシャリティを自覚した当時、どう感じましたか?
それまで何となく自分は異性愛者じゃないんだろうなと思っていたくらいですが、「あ、私これだ」と思ってからは少し安心しました。
Q, 自分のセクシャリティを家族の誰かに伝えたことはありますか?
はい
去年(2015年)、まず弟に。
そして他人からのアウティングで母に伝わり、カマをかけられたのできちんと伝えました。
おそらく母から父にも伝わっているはずだと思います。
両親が共に同性愛に差別感情を隠さない人だったので、そのたび反論はしていましたが伝えるつもりもありませんでした。
家族の仲も良いとはいえず、大学進学を期に家を出てからはあまり会っていませんでしたが、実家に帰ったときに弟から恋愛相談された流れで弟には伝えておくことにしました。
弟は親から「お前もそっちか」等とからかわれることを面倒くさがって今まで両親の差別発言をスルーしてきただけで本当は止めて欲しかったと言い、私が母と父に伝える気がないなら自分からは話さない、と言って来ました。
もともと友人にはオープンにしているのですが、母の知り合いが私の噂を聞いたらしく心配して母に伝えたようで、母に飲みに誘われてついていくと、平静を装って「最近の女優で誰が可愛い?もしあんたが男なら誰と付き合いたい?」等と今までしたこともないような会話をされ、ああ誰かから聞いたんだなと思いました。
「カマかけなくていい、私のこと聞いたんやろ」と言えば「あんたはレズなん」と聞かれたので「恋愛する上で性別は関係ないと思っているだけ」と伝えましたが、そこで「両刀ってこと?」と聞かれ、「それでお母さんが分かるならその表現でもいい。好きになって、相手も私を好きになってくれたら、みんなと同じように恋愛するんよ。相手が男でも女でも、それ以外でも」と説明しましたが、そのときは母は目に涙を溜めていたし、おそらくあまり内容は飲み込めていなかったと思います。
後日調べたようで、電話で「なんとなく意味が分かった」と言われました。
今では全く恋愛の話を私に振ってきません。私のセクシャリティを伝えてからは少し腫れ物に障るような態度が伺えます。
Q. あなたが伝えた後に家族から言われた言葉で印象にのこっているものは?
「親としては普通の子供を産んでほしい」と母から言われたことです。
この「普通の子供」にどんな意味が含まれているのが、両親のもとで育った私にはよく分かったんです。
まず、男性と結婚すること、子供を生むこと、子供に障害がないこと、そして子供の肌の色が日本人として一般的なものであること、それを親が望んでいることが分かりましたが「どういう意味?」と一応聞き直したら、その通りの答えが帰ってきました。
さすがに怒りましたが、私が怒っている意味が全く分からないようで、我が母ながら会話することを諦めてしまいました。。
Q,セクシャル・マイノリティに関して、あなたの家族の中で印象的なエピソードがあったら教えてください。
私のセクシャリティを知ってから、両親がショーパブやゲイバーやビアンバーなどLGBTsが集まりやすい場所に行き、お店の人と会話してはそれを報告してきたこと。
会話といっても相手はお店の人で、あくまでサービス業の上での接客なので、お店の人が両親の言葉に全力で反対してくることなんてほぼ無いという前提が抜けてるんです。
お店の人に「レズビアンは結局は男にトラウマがあるんよね」「バイセクシャルって男と結婚する方が多いよね」「こういう世界って狭いし面倒くさいよね」という偏見ある質問をして、相手が否定するよりスルーするほうが得策として「そんな人もいますねぇ」と言ったことを肯定と受け取って、私に「ほら、あんたのことは分かってるんやで、こうやろ?」と言ってきたんです。
止めて! と強い口調で言ってからは無くなりましたが、あの一連の行動は忘れられません。
Q, ご自分の家族に対して感じること、考えていることなどを教えてください。
人間には分かること、分かりにくいこと、分からないこと、分かりたくないことがあって、たとえ家族でもそれはどうしようもないんだと思ってしまいました。
それでも分かり合えると歩みよることも出来るかもしれませんが、私はもうこの件に関しては父母とはこれ以上何かを話したくないと思っています。
LGBTと家族 No.020
カミングアウトで激変した親の印象
FtX,ポリセクシュアル(27歳)家族構成:父、母、兄2人
Q, 自分のセクシャリティを自覚したのは何歳の頃でしたか?
ぼんやりとは小学2年生。
大学に入って「まさかな…でもな…違うよな…」と否認を繰り返す。
23歳で自認。
Q, 自分のセクシャリティを自覚した当時、どう感じましたか?
まさか、認めたくない! と感じた。
でもこれから逃げられない、逃げたら自分は幸せになれない、認めるしかないと感じた。
「被差別者」になるのが、ほんとうにつらかった。怖かった。
Q, 自分のセクシャリティを家族の誰かに伝えたことはありますか?
はい
親の無神経な態度にもう耐えられないと追い詰められ、23歳ぐらいの時にメールで伝えた。
親への自分のイメージが激変した。
それまでは「そうはいっても、自分のことを伝えたら受け容れてくれるだろう。あれだけ普段から『自分達は超立派な親だ。』という態度を取っているのだから、私のことを知ったら、受け容れようと思いやった態度を、行動を取ってくれるに違いない、と思っていたのが、一瞬にして糞差別主義者の毒親であると気づいた。
最初は自分を責めていたけど、カウンセリングなどを通して、徐々に彼らの糞さに気づいていった。
私は、なんにも悪くないんだ。
Q. あなたが伝えた後に家族から言われた言葉で印象にのこっているものは?
「カミングアウトしてくれちゃって(嫌味笑い)。」
Q,セクシャル・マイノリティに関して、あなたの家族の中で印象的なエピソードがあったら教えてください。
私が母からヘイトスピーチの言葉の暴力を食らっても、止めもせず傍観していた、普段「俺はお前の味方だ」的態度を取っていた糞親父。
とてつもない卑怯者の夫婦だった。
二人とも60代だが、差別を残酷なものとも何とも思っていなかった。
私は、親を勘当しました。
Q, ご自分の家族に対して感じること、考えていることなどを教えてください。
ただちに死ね。
財産だけ残して消え失せろ。
いつか民事訴訟を起こす。
LGBTと家族 No.021
家族として扱ってもらえなくなる恐れ
ゲイ、トランスジェンダーとも感じるようになった(39歳)家族構成:母、自分、妹、弟の4人
Q, 自分のセクシャリティを自覚したのは何歳の頃でしたか?
13歳(中学一年生)の頃
Q, 自分のセクシャリティを自覚した当時、どう感じましたか?
女性も好きになるだろうと軽く考えていた。
Q, 自分のセクシャリティを家族の誰かに伝えたことはありますか?
いいえ
家族に話すと、かなり深刻に受け止められ、家族の一員として扱ってくれなくなるおそれがあるから。
…以前、別件で家族に打ち明けたら、それだけで家族と疎遠になったことがあったから。
Q,今後、家族に話す機会があると思いますか?
いいえ
上記の理由で。
Q,セクシャル・マイノリティに関して、あなたの家族の中で印象的なエピソードがあったら教えてください。
父は生前、私が結婚したら…と頻繁に語り、私が恋愛や結婚に対して少々気が重く感じることがあった。勿論、家族の誰にも打ち明けていない。
Q, ご自分の家族に対して感じること、考えていることなどを教えてください。
私には幸い、妹が結婚して子供を授かり、弟にも彼女がいて、母親は安心して暮らしています。
自分はこのまま性的マイノリティーの立場にいますが、きっと母親は私の結婚や孫の姿を見なくても大丈夫だと思います。
LGBTと家族 No.022
セクマイに肯定的な家族だけど
ゲイ? バイ?(21歳)家族構成:下に弟3人、母、父
Q, 自分のセクシャリティを自覚したのは何歳の頃でしたか?
14歳くらい
Q, 自分のセクシャリティを自覚した当時、どう感じましたか?
当時は特に感じなかった。
Q, 自分のセクシャリティを家族の誰かに伝えたことはありますか?
いいえ
私がまだ完全に自身のセクシャリティについて受け入れられていないから。
Q,今後、家族に話す機会があると思いますか?
はい
頭のモヤモヤ感を取り除きたいから。
Q,セクシャル・マイノリティに関して、あなたの家族の中で印象的なエピソードがあったら教えてください。
テレビでセクマイの人が出演しても、「別にいいじゃん」と言っていた。
また、「ゲイなんでしょ?」と言われたことがあるが、否定してしまった。
家族全員が私のセクシャリティについて気づいているようで、特に母親がテレビ番組でゲイの出演者が出ていると、自分に話を振ってくる。
Q, ご自分の家族に対して感じること、考えていることなどを教えてください。
家族全員がセクマイについては肯定的な考えを持っていると思う。
しかし、母親が男の人が少しでも女々しいと「あの人ゲイかな?」といった「ゲイ=女々しい」というステレオタイプがあるもよう。
上記にも書いたが、私がストレートではないことは周知のよう。
しかし、自分がカムアウトすることで今までの関係が崩れそうで、踏み切れない。
LGBTと家族 No.023
個人主義な家族ゆえの問題のあり方
レズビアン(40歳)家族構成:父、母、弟
Q, 自分のセクシャリティを自覚したのは何歳の頃でしたか?
セクシャリティとしての自覚は14歳。
Q, 自分のセクシャリティを自覚した当時、どう感じましたか?
ガツンと頭を殴られたようだった。
ブラックアウト、目の前が真っ暗。
人生終わったと思った。
ひとりぼっちで生き、孤独に死ぬのだと思って怖かった。
Q, 自分のセクシャリティを家族の誰かに伝えたことはありますか?
はい
弟には高校生の頃に。カムアウト以来負け犬扱いされるようになった。
女性と付き合っていたことは私が22歳の時に家族全員が知ることとなったが、当時は気の迷い扱い。
両親へのカムアウトは33歳の頃。
父はショックだが受け止めると肯定的。
母は興味ない様子だった。
両親との関係性に変化はなし。
Q. あなたが伝えた後に家族から言われた言葉で印象にのこっているものは?
ただカムアウトしただけなのに、母は「私は普通に育てた」とひとしきり責任放棄発言を放った後、そんなことどうでもいいと言わんばかりに自分の話をエンドレス(笑)
Q,セクシャル・マイノリティに関して、あなたの家族の中で印象的なエピソードがあったら教えてください。
日本には珍しく徹底した個人主義の一族なせいか、セクシャルマイノリティに対する肯定的な意見も否定的な意見も聞いたことがありません。
パートナーとの幸福な性的関係が人生において非常に重要と考える家族なので、真面目にお互いの性について話すことはありますが、そういう時にもセクシャリティの違いによる行き違いや疎外感を感じたことはありません。
セクシャリティよりパートナーがいないことの方が大問題になる家族ですが、私には長年円満に連れ添っているパートナーがいるのでそういう面でも疎外感はありません。
Q, ご自分の家族に対して感じること、考えていることなどを教えてください。
弟よ、姉は男性にモテないからレズビアンなのではなくて、女性が好きだからレズビアンなのよ。
だから「モテない=負け犬認定」はやめたまえ。
ロマンスの経験は君に負けてない筈だし、男性とも何人かと付き合ったことがあるのは君も知ってる筈。
それでも私は女性が好きなのよ。
しかし私が男性にモテないのはいかんともしがたい事実だ。 そこだけは君が正しい(笑)。
※「LGBTと家族」では、様々なセクシャリティの様々な世代の皆様の家族との関わりをご紹介したいと考えています。セクシャル・マイノリティの皆様、是非アンケートにご協力ください。
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