ハーバード大、 “He”でも”She”でもない “Ze”を性別欄に利用開始

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ハーバード大で”Ze”が利用開始

ハーバード大の生徒は、大学に自分を登録する際に、”Ze”や”They” をジェンダー・ニュートラルな選択肢として選べるようになった。実はこのようにジェンダーニュートラルな呼称を利用する大学はハーバード大が初めてというわけではなく、アメリカにある数々の有名大学で、ジェンダーニュートラルな選択肢を取り入れようという動きが起きている。

アメリカの有名大学でジェンダー・ニュートラルが広まっている

ハーバード大の担当者はこう語る。

「もしある人が、性別欄において適切でない選択肢を選ばざるを得ず、それによってアウティング(暴露)が起きてしまうというのであれば、私たちはそれは適切ではないと判断した。」

アメリカでは、様々な有名大学が同じような動きをしている。アメリカ大学では、ウェブサイトにて”ey” というジェンダーニュートラルな言葉をどのよう使うか説明している。カーネル大学やMIT(マサチューセッツ工科大学)も同じようにウェブサイトで説明している。オハイオ大学では今年ハーバード大と同じようにジェンダーニュートラルな性別を選べるようにしているし、ボストン大学でも同じトピックについて議論されている最中なのだという。先週、ニューヨーク大学では「トランスジェンダー」、「クエスチョニング(性自認が定まっていない人)」、「ジェンダークィア(既存の性別にとらわれない性自認をもった人)」などといった選択肢を含めた、合計7つの性別を生徒が使えるようにするため、データ収集をしているのだという。

「見た目で性別を判断することは間違っている」

今回の件に関して、様々な見解が、大学におけるLGBTに関する専門家たちから出されている。
たとえば、マサチューセッツ大学のLGBTの生徒たちのために設立されたストーンウォールセンターのジェニー・ビーミンは今回の件に関してこう語る。
「見た目で性別を判断することはそもそも間違っているように思う。(今回のハーバード大の件は)ここ数年起きているトレンドが加速してきているようだ。」

キンゼイレポートから始まり、学術界では長年、ジェンダーとはグラデーションであり2つの性別に分類することはできないということが提唱されてきた。2009年の初めには、バーモント大学ではすでにジェンダーニュートラルな選択肢を学生が選べるようにしていた。

既に4,000人が”Ze”で登録

ハーバード大では既に4,000人の生徒が性別欄を”Ze”で登録しており、これは全生徒のうちの1%にあたる。そのうちの1人であるライラ・スミスはこう語る。
「現在に至るまで、ジェンダーというものは流動的なものであるということがわかっている。私たちはムーブメント全体の中のうち、始まりの方にいるのだと思う。このことが、私の学生生活にもっともっと関わるようになっていって欲しい。」

日本ではどうか?

アメリカでは最近、ジェンダーニュートラルなトイレを設置する大学も出てくるなど、ジェンダーニュートラルな動きが広まっている。「ジェンダーはグラデーションである」ということは1948年と1953年に発表されたキンゼイ報告から提唱されていることだ。男性、女性と二元的に性を分類することは文化的に作られたものであり、本来的に人間のセクシュアリティは男か女かにわけることはできないというものである。学術研究ではこのようなことが長年のジェンダー研究で言われ続けているが、日本の大学では男女以外の性を選べるという大学を、筆者は見聞きしたことはない。ジェンダーを社会学の一つとして学ぶ大学は日本でも少なくないが、日本の大学でもこのようにジェンダーニュートラルにしようという大学での流れが、生まれる日は訪れるのだろうか。

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