新婚旅行中のゲイカップルを襲った悲劇
デビッドさんとマルコさんの英国人のゲイカップルが新婚旅行でオーストラリアに訪れていたところ、デビッドさんが亡くなる事故が起きてしまった。しかし悲劇はそこで終わらなかった。デビッドさんの死亡証明書は同性婚を認めていないオーストラリアで発行されたため、2人の関係が認められず、それには“未婚”と書かれてしまったのだ。
オーストラリアへの新婚旅行中に
Pink Newsによると、デビッド・ブルマー・リッツィ(David Bulmer-Rizzi)さんは、階段から落ち、頭蓋骨を骨折するなどの事故で、亡くなってしまった。夫のマルコさんとともにサウスオーストラリア州での新婚旅行を楽しんでいた最中の出来事だったという。
同州では同性婚を認めておらず、デビッドさんの死亡証明書には“未婚”の文字が書かれていたという。マルコさんは近親者であることもみなされず、葬儀の手配はデビッドさんの父親が行うことになってしまったという。
同性婚を認めないサウス・オーストラリア州では、夫婦関係は認められず
マルコさんは夫のデビッドさんを失っていたとしても、サウス・オーストラリア州政府から見れば、「自分は何者でもなかったのだ」と感じたとBuzzFeedに語っている。
英国・イングランドのサンダーランドに住んでいたこのカップルは2015年6月に結婚し、12月にオーストラリアでの遅めの新婚旅行に出かけていたのだという。
オーストラリアの首都・キャンベラにある英国大使館は今回のサウス・オーストラリア州政府の対応について、「とても悲しい」と話し、政府は今回の件について調査を進めるべきだと述べた。
残された夫の思い
マルコさんは
「法律は国や州によって異なりますが、…死亡証明の時にも、現地政府は結婚していたということを認めてくれないのです。」
と述べていた。彼はデビッド・キャメロン首相や外務省に宛てた手紙を書き、海外でも英国の平等法を守りぬく必要があることを英国に対し、要求したという。
「政府がオーストラリアの法律を変えられないことは分かっています。でも私はそれを要求しているわけではないのです。
私は自分の国が、その法律を貫いてほしいと思っているのです。もし英国政府が他国で同性婚を認めていないと認知したら、政府は自国の法律で認めていることを堅持できるように努力すべきだと思うのです。」
オーストラリア側の反応は
今回の件に関し、オーストラリアにおける結婚の平等を訴えている団体で、サウス・オーストラリアの代表を務めるハーレー・シューマン(Harley Schumann)さんは、以下のように述べた。
「デビッドさんとマルコさんの関係における愛と契約を州の法律で認めることができず、多くのサウス・オーストラリアの人々は彼らに同情を寄せています。
私たちがすぐに行うべきは、サウス・オーストラリア州政府に働きかけを行い、このようなことは二度と起こらないようにしていきます。」
同性婚の話題は、オーストラリアではホットトピックとなっており、今後2年間の間に同性婚についての国民投票などが行われるのではないかと予測されている。