ゲイの3大パーツ “短髪、ヒゲ、筋肉”
逞しい肉体、セクシーなヒゲ、そしてみなぎる性欲!どれもゲイの世界では多くの人の目に魅力的に映るものです。男らしさというものを社会から押し付けられる事に辟易しながらも、それを持ち合わせた男性に惹かれたり、自分を近づけようと努力しモテ要素を強めようと日々のトレーニングに励む事の多いアンビバレンツな存在、それがゲイかもしれません(※勿論全員がそうというわけではありません)そうした性的魅力を感じさせるポイントに大きく作用するのが男性ホルモン(テストステロン)です。ヒゲをはじめとする体毛の成長や筋肉の形成にも働き、また肉体だけでなく決断力を高めるなどの行動にも影響するホルモンです。
更年期障害は男性にもある!
しかしそのテストステロンが減り、心身に不調をきたす「男性更年期障害」が問題になっています。一般的に更年期障害と言うと女性を思い浮かべますが、男性の更年期障害は年齢層が広く、容姿や性格の変化をもたらす大変深刻な問題なのです。男性ホルモンが減るなんてゲイとしての魅力が激減してしまう!と危惧する人も多いかもしれません。しかし40代あたりからは更年期障害のみならず、様々な事に気をつけなければなりません。世界保健機関によると「健康」とは、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態と定義されています。決して体を鍛えていれば、病気をしなければ健康と言うわけではないのです。
【男性更年期障害】
正式な名称は「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」と呼ばれ、加齢に伴ってテストステロンが減少し、肉体や精神に様々な影響が出る事を指します。その潜在患者は日本には600万人もいると推計されています。20代で最も分泌されるテストステロンは、個人差があるものの加齢とともに減少していき、ストレスがかかるとさらに分泌量の減少に拍車がかかります。
具体的に起きる症状
男性ホルモンが減る事は、力強い肉体や性欲が失われてしまうイメージが強いですが、意欲や集中力の低下、抑うつ症状などが出てくるなど精神面にも大きな影響があります。また血管内皮を再生して動脈硬化を防いだり、脂質の代謝を活発にして太らないようにしたりと言う働きもあるので、分泌量減少は肥満へと繋がる傾向にあります。太る事で「それはそれでゲイの中ではモテるから良いかも!」と前向きな気持ちが出る方がいるかもしれませんが、腰や膝などへの負担による関節障害、脂肪肝や通風、そして突然死の原因ともなる睡眠時無呼吸症候群のリスクも高まるので注意が必要です。また、喫煙や過度の飲酒、運動不足なども更年期障害の症状を発症しやすい事がわかっています。
疲労感がとれない、頭痛やほてり、記憶力の低下や性欲減退、頻尿など加齢だから仕方ないと思われがちですが、うつ症状などで苦しんだり日常生活に支障をきたす事もあるので、気になった方は男性更年期の専門外来などで検査をしてみてはいかがでしょうか。男性更年期障害の対策として今すぐできるものの中に、テストステロンの分泌を促す働きがあるタマネギを食事に取り入れるというのがあります。血液をサラサラにする効果があると聞いた事がある方もいると思いますが、タマネギに含まれている成分は精巣でのテストステロン分泌を増やす働きもあるのです。長ネギやニンニクにも男性ホルモンの改善効果があるので、ぜひ適度に摂取して更年期対策をしていきましょう。
更年期障害だけじゃない!40代から増える”孤独死”
40代後半から60代の単身男性は、孤独死や自殺の高いリスクにさらされるという結果が東京都監察医務院が分析しています。孤独死とは「異常死(自殺、事故死、死因不明(病死も含まれる))のうち自宅で亡くなられた一人暮らしの人」という定義です。東京23区の男性の数値ですが、1987年では788人だった孤独死が、2006年では2362人と増加しています。また亡くなってから発見されるまでの日数も、男性は平均12.01日で女性の平均6.53日の約2倍となっています。
男女差について、男性は女性よりも他人とのコミュニケーションを自ら取ろうとしない事が関連しているようです。例えば地域に高齢者が集まる場所を作っても、男性高齢者はそこに参加しないケースが多くあります。これは仕事にずっと打ち込んできて地域との関係を構築してこなかったために、コミュニケーションの取り方がわからないと言う事が考えられます。この数値が同性愛者か異性愛者かにによって変化するのかはわかりませんが、単身世帯や生涯未婚率が増加し男性をとりまく環境が変化してきているため、孤独死を他人事ではないと感じる方が多くなっているようです。
40代は先に書いたテストステロンが低下しがちな世代にも関わらず、仕事で責任ある立場に就く、プロジェクトを任されるなど強いストレスに晒される機会が増えたり、若い時の不規則な生活や偏った食事を続けてしまったりと、自らの心身に負担をかけがちです。見た目が若く見られがちなゲイですが、過信しない事が一番です。
1人暮らしは32%も死亡リスクが高い!
最近は孤独である事と死亡率の関係もわかってきています。調査では、人との繋がりがない「社会的孤立」では29%、「孤独感」で26%、「一人暮らし」では32%も死亡リスクが高まると言う結果が出ました。興味深い所は、孤立しているだけでなく、孤独感もリスクの率が近いと言う事です。ゲイの一人暮らしは、婚姻している同世代よりも可処分所得が多いと言われ、一人暮らしで好きなものに囲まれたり、パーティーなどのイベントに数多く参加したりと華やかなイメージがありますが、「一人で気楽に過ごしている」も「コミュニティに参加して一人ではないけれどそこで孤独を感じる」も、同様に死亡リスクが高まる結果となっています。
孤独と言うのは日本の社会病理だと考えられます。ユニセフがの2008年に発表した『先進国に住む子どもたちの「幸福度」に関する調査報告』では「孤独を感じる」と答えた日本の15歳の子供の割合は29.8%と、対象国の中で第一位となっています。続くのはアイスランドが10.3%、ポーランドが8.4%、一番低いオランダが2.0%なので、いかに日本の孤独が突出しているかがわかります。セクシュアルマイノリティとなると若い頃から自分を偽ったり認められなかったりする事が多いため、孤独を示すこの数値はまた変わってくるかもしれません。これらを合わせてみると、孤独を感じやすい社会環境である日本で、一人暮らしでストレスを溜め込みやすいタイプ、テストステロンが減少しやすい世代で飲酒や喫煙、偏った食事など不規則な生活を続けると、心身の調子を崩しやすいだけでなく、死亡リスクや自殺リスクがさらに上がると考えられます。不規則な生活は”若い時はなんとかなる”ものであって、いつまでも続くものではありません。自分に当てはまると思う場合は、身体のためにぜひ生活を見直してみて下さい。