うつ病の人への接し方
「LGBTに多い”うつ病”とその対処法」そして「薬だけじゃない!うつ病に効く”認知行動療法”とは」と、自身がうつ病や抑うつ状態になった場合について書いてきましたが、今回は周りにいる人がそのような場合にどのように対応するのが望ましいかを書いていきます。
自分の心身が不調である時にそれをしっかりと伝えられて、悪化しないように仕事や生活の場で適切な配慮をされるのが一番ですが、うつ病であると言いづらいのが現状です。そのためとても不安で辛い思いをしているのにも関わらず、配慮の無い言葉をかけられて傷ついてしまう事が大変多いです。また発症している事に自分でも気付かず、上手くいかないのは努力が足りないと思ったり無理をして誰にも頼らないようにしたりと、かえって悪化してしまう事もあります。
そうした時こそ周囲の正しい理解と配慮がうつ病の回復に繋がります。そこで本記事では家族や職場、友達など周囲が気付きやすいうつ病の兆候、そして配慮すべき接し方のポイントなどを挙げてみました。セクシュアリティを隠して生活をしたり家族などに理解されなかったりと、精神的に負担が多くうつ病リスクが高いと思われるLGBTだからこそ、いま一度うつ病について知り、LGBTの友人などを助けられるようになっていくことが肝要です。
うつ病の人との接する上での3つのポイント
もし実際に自分の身の回りの人がうつ病にかかってしまったらどうしたらいいのか。ここでは以下の3つのポイントを基にその対処法を説明したいと思います。
1.特別扱いしない
あくまで普段どおりに接する事が大切です。急に腫れ物に触るようにしたり励ましたりはしないでください。世話を焼き過ぎると本人も周囲も辛くなる事があります。すぐに良くなる病気ではないので、適度な距離感でゆっくり時間をかけて接する事に努めましょう。
2.話を聴く
相手の話を否定せずにしっかりと聞く事が大切です。症状で一番辛いのは当人である事を周囲がしっかりと認識し、こちらからアドバイスをする事は控えてあくまで話を聴く側となりましょう。
3.できなくなっている事を助ける
何もできないと落ち込む事が多いのがうつ病なので「今は病気でできなくなっている」という事、そして「手助けしたいと思っている」と伝えて、できない部分だけを手伝いましょう。回復の過程でできる事が増えてきたら、少しずつ手助けも減らしていくように心がけてください。
これだけは厳禁な5つのフレーズ
もし実際に周囲の人がうつ病になってしまったら誰もが焦ってしまったり困惑してしまったりするもの。ですがそういった時だからこそ周囲の人がしっかりとその人を支えてあげなくてはいけません。だからこそ、以下のようなフレーズだけは絶対に言わないようにしましょう。
「いつ頃になったら治るの」
「怠けているからじゃないの」
「皆だって毎日しんどいんだよ」
「落ち込む事なんて誰にでもある」
「どうして病気になってしまったの」
うつ病で苦しい時は、他人そして元気だった時の自分と比較し落ち込みがちです。過去の要因や先の事など、本人でも判断したり解決するのが難しい事で責めるのはいけません。気力体力ともに落ちている状況なので、ゆっくりとエネルギーを貯めていき、まずは自分の今の事を考えるだけにしてもらえるようにしましょう。
LGBTやうつ病など外見で判断するのが難しいものは理解されづらく、周囲から配慮を欠いた言葉をかけられがちです。これを読んでいるLGBTの方の中には、デリカシーの無い人から「どういうセックスするの?」「女装するの?」「異性と結婚したら治るんじゃないの?」さらには「少子化はセクシュアルマイノリティのせい」など、勝手な決め付けや根拠のない事を言われた経験があるかもしれません。
そうした事を言われた場合、相手の無理解に呆れたりとても嫌な思いをして傷ついたりするはずです。うつ病になった人も同様に、「気持ちの問題」「弱い性格だからそうなった」など、決め付けられた言葉をかけられる事で悩み、それが回復の妨げとなってしまいます。予断と偏見は捨てましょう。
何より大事なのは、寄り添う気持ち
基本的なうつ病に対しての接し方を書いてきましたが、原因や症状などで人の数だけうつ病があるといってもいいと思います。全ての人に安心して使えると断言できるマスターキーのような言葉や接し方ありません。
「完全に病気の事を理解するのは無理かもしれないけれど、何か手伝える事があれば力になるので、思った事や言えそうな事を少しでも話してみてほしい」
そうした寄り添いたいという気持ちを真摯に伝えて、ゆっくりと本人のペースで話してもらえるような雰囲気を作って欲しいと思います。LGBTでありうつ病を抱えている人がいる可能性はストレートより高いです。うつ病の友人などいらっしゃる方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。