中国の家庭内暴力に関する法律、同性パートナーは除外
中国で、同居するカップルの間での暴力に関する法律(反家庭暴力法)が初めて成立した。しかし、同性カップルの間での暴力は法律の適用範囲からは除外されているという。
反家庭暴力法
これまで中国では、家庭内での暴力(ドメスティック・バイオレンス)に関する法律を制定してこなかった。しかし、12月27日の中国議会において、初めて反家庭暴力法が成立した。
この法律は婚姻関係にあるカップルや同居しているカップルを対象に、肉体的・精神的な暴力や虐待などに適用され、また暴力を受けている配偶者やパートナーが相手にやめるよう要求するまでの手続きも整備される。
法的保護を受けられない中国の同性カップル
中国議会の立法委員会のメンバーであるグオ・リンマオ(Guo Linmao)氏は、今回議会が成立させた法律は、今までで最も広い範囲の問題の解決を試みようという姿勢の表れであると話す。しかし、同性カップルの間での家庭内暴力はこの法律の適用範囲からは除外されている。そのことについて、リンマオ氏は以下のように語った。
「家族の間や同居している人たちの間で起こるドメスティック・バイオレンスの事例はたくさんある。
私たちの国における同性愛者に関して、私たちのもとへは、まだそのような形の暴力の報告がされていない。だからもし私が何かしらの回答を述べるとしたら、(法律の意味する)同居している人々の中には同性愛者は含まれていないと言うことができるだろう。」
中国では、現在同性愛は違法ではなくなっている。しかし、今回の法律を見てもわかるように、ゲイやレズビアン、またバイセクシャルの人たちへの法的な保護はない。同性婚法制化に向けた動きもみられているが、中国での同性婚の実現は、現在のところ困難を極めそうだ。
日本では?
日本ではこれまで、同性パートナー間の暴力について、配偶者・パートナーによる暴力防止法(DV防止法)を適用させた事例がある。
2010年8月31日付けの産経新聞の記事によると、同性パートナーから暴力を受けたと申し立てた女性に対し、同性カップルを事実上の婚姻関係にあると判断したうえで、DV帽子法に基づき保護命令を出したという。2001年に施行されたDV防止法に同性カップルの間での暴力に関する明らかな記述はないが、裁判官の判断によって法律の適用が認められた。
また、電話相談などのサービスに関しても、同性パートナーからの暴力に関する相談を受け付けているという。