ボツワナで発見されたライオン
アフリカ南部・ボツワナのオカバンゴ・デルタ(Okavango Delta)の平原で、オスとメス両方の身体的特徴を持ったライオンが発見された。そのライオンはムマモリリ(Mmamoriri)という名前がつけられている。
生き残っていくための「進化」
専門家によると、このライオンは、自然の過程によって生き残るためにメスがオスの特徴を獲得していったと考えられるという。タテガミを生やして、低い声で唸り上げる様子は、一見ムマモリリがオスライオンであるかのように思わせる。
ムマモリリは2012年に初めて発見されたが、オスとメスの特徴を持っていると報告されたライオンは、ムマモリリだけではなかった。他にも4匹のライオンが同じ特徴を持っているといると科学者は考えている。
さらに、科学者はこの現象は次の世代にも引き継がれるだろうと予測している。このような進化していく上での変化は、アルファ・メイル(群れのリーダー的なオス)が殺されたり、あるいは死んだりといった、群れにとって最も危機的な状況がおとずれても、群れを存続させていくことができる可能性を示しているのだという。
また、このような生き残るためにオスの特徴を取り入れていくという変化は、今回のライオンだけに限られた話ではない。シカなどのほかの動物にも見られるという。
動物世界における同性愛
動物界における「セクシャル・マイノリティ」というところから話を広げ、ここでは同性愛について考えてみる。
同性愛を批判し、同性愛者の権利に反対しようとするときに、「自然の摂理に反する」などといった主張が頻繁になされる。日本でも、最近「同性愛は異常だ」といった発言が見られた。しかし、動物世界がその主張が間違っているという事実を証明している。
例えば、ペンギンが同性愛行動を取ることは比較的よく知られている。また、イルカのオスの多くはバイセクシャルであるという研究結果もある。このように数千種の動物で同性愛行動が観察されている。
それにも関わらず、「同性愛は異常だ」といった発言が繰り返される。「普通」とは、「自然」とは何だろうか。動物界の例を踏まえて考えると、むしろ同性愛が含まれている社会の方が「自然」と言えるのではなかろうか。