『アサシンクリード』の最新作にトランスジェンダーのキャラクターが登場
Ubisoftから発売されるステルスゲームの最新作『アサシンクリード シンジケート』では、同シリーズで初めてトランスジェンダーのキャラクターが登場すると発表された。“Ned Wynert”というキャラクターはトランスジェンダー男性で、ゲームの主人公のサポートキャラクターだ。
更に2007年にシリーズ初回作が発売されてから使われてきた、『アサシンクリード』のオープニングメッセージも初めて変更され、「様々な宗教的信仰や信念を持つ、文化的に多様なチームによってゲームが開発された」とのメッセージが入る。
人気ゲームシリーズの多様性への配慮
Ubisoftの今回の決定は、人気ゲームシリーズの多様性における大きな前進ともいえる。『シンジケート』は、ミッションをこなす主人公の性別を男性か女性で選べるようになった最初の作品でもあるのだ。
「多様性を考慮することは、私たちのチームとしてはとても大切なことです。」と『シンジケート』のクリエイティブディレクターであるMarc-Alexis Côtéは語る。
「多様性を良い方向に押し進め、ゲームの中で今までとは異なるテーマへどのようにアプローチしていくかについて、私は考えています。」
社会的・文化的な変化を反映
また彼は、過去8年間に「社会的・文化的変化」を反映させるために、オープニングメッセージを変更した経緯についても話した。「私たちが『アサシンクリード』の初回作についてメッセージを書いた時には、とても多様性に配慮できているように感じていました。」
「今回の『シンジケート』では、12人以上の方と一緒にメッセージを考える機会がありました。その時、ある方が私に、多様性が十分に配慮されていないと言ってきたのです。」と彼は説明する。
「私は彼らとの会話をすべて見直し、2つの性別を選べる主人公に満足していたのですが、彼らはゲームの初めのメッセージについて話していました。そのメッセージが一部の人々を排除していると言うのです。だから、私は新しいメッセージを作ることを提案しました。」
ゲームとLGBT
最近ではスクウェア・エニックスから発売されているファイナルファンタジーシリーズの前作、『ファイナルファンタジーXIV』では、昨年にゲーム内で同性婚ができるように更新されている。また、2016年発売予定に欧米で発売予定のファイアーエンブレム最新作では同性婚がデフォルトでできるようになっている。以前、任天堂がトモダチコレクション(英語版はTomodachi Life)を製作した際に同性の人と結婚ができないことが、批判されていたという経緯があり、様々なゲームでLGBTの存在が登場するようになってきている。同性婚に関しては今までもゲームで取り上げられることはあったが、トランスジェンダーのキャラクターを”多様性を重視する”という文脈でゲームキャラクターに取り入れられるのは、初めてのことではないだろうか。今後のゲーム業界の動きに注目だ。
画像出典: POLYGON